表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/72

第1話 農業村リリンの危機

 震える手でローブを掴み、部屋の扉を飛び出した!

「エステル様!」 

扉の前に待機している侍女が声を荒げる


「あなたはそこにいなさい! 災害の夢よ!   王に伝えるわ」

「仰せのままに」



 カラスの霊獣「ヨハネ」の予知夢は二回訪れる。

数週間前にその地域に何が起きる警告の夢、

そして災害が起きる直前に何が起きるか明確な夢となって現れる。


そして何も対策をしなければ、予知夢は現実となる。


(夢のハンナは憎しみの感情に支配されていた……大切な人を奪われ、自分を制御出来なくなっていた……)


(ミカエルの魂を滅ぼす魔法とハンナの霊力が合わされば世界が滅びてしまう!!)


(絶対そんな未来は起こさせない!!)



 エステルは寝間着のまま王の間へ駆け込んだ。


「深夜にどうした、エステル……」


「陛下! 農業村リリンが危険です、そして報復として王国サハラからリザエルへ攻撃をしている未来が……! 農業村リリンと国をお守りください!」

 


「このままでは戦争が起きてしまいます!」

 

国王ザビエルは目を細め、静かに言った。

 


「……お前の予知夢は確かだからな。だが、急には動かせん。ハンナとバビロンは今、ノルディアに配置してある」


「ですが!」


 

「ノルディアは王都に近い。防衛の要だ。農業村ひとつのために、王都の守りを手薄にはできん」


「……陛下、お願いです。せめて、ヤコブ副総監だけでも……!」


「ダメだ。王都に万が一があれば終わりなのだ。」



「霊獣管理協会にも黙っておく。リザエルからの攻撃があれば、バビロンとハンナでも苦戦するだろう」

「霊獣と霊獣使いは王都からノルディアに向かわせるのだ」

 

「そんな!」 


「下がれ! 以上だ」


 

エステルは唇を噛みしめ、静かに頭を下げた。

「……仰せの通りに」



───


 扉の外に戻ると、侍女が椅子に座って待っていた。


「……ヨセフの様子からして、また重大な夢を見るわ。夢の邪魔をしたら……どうなるか、わかっているわよね」


「エステル様……私はただ、ここで待機するだけです」

「決して扉を開けないように」

「……心得ております」


エステルはパタンと扉を閉め、鍵をかけた。



───


 深夜の風にあおられ、エステルは自室の窓を開け放つ。



「……クソみたいな王」


ローブを翻し、彼女は低く囁く。


月明かりに照らされたその瞳は、燃えるような決意を宿していた。



─────


 農業村リリン

ユダは湖の森の中に潜んでいた。


「……これが終われば私の家族は自由だ……」


「………あの男が約束を守ると思っているのか?」


「私は常に監視されている……逆らえば家族が殺される……」

「一度逃亡しようとした時、娘の髪を投げつけられた……次は髪では済まないと……」



「……家族……」


「ふっ……お前は魔物のくせに知性があり、人語を話せるのだな。保管中は知らなかった」


「私は500年………生きている……からな」 



「さて、始めるか……」

「この村の霊獣と霊獣使いには恨みはないが……」 

 

「しかし、赤の他人よりも自分の家族の方が優先される……」

「霊獣と霊獣使いは始末し、この農業村を壊滅状態にしろとの命令だからな」 



「私はどうでもいい……人間を始末……出来ればそれでいい」





続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ