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第14話 捜索と裏切り者のユダ


──ユダの自宅


ガンッ!!


乾いた破裂音とともに、ヤコブは玄関を蹴り飛ばした。



「………。少々荒っぽかったかな」

背筋を伸ばし、落ち着いた声音で呟く。



彼の両脇には二人の部下。



霊獣「犬神」使い指揮官ダニエル。

霊獣「フクロウ」使い長官マタイ。



「すまないな、君たち。こんな夜中に付き合わせて」



ダニエルがにやっと笑う。

「なーに言ってるんですか! 副総監は自分で仕事を抱え込みすぎっすよ!」



マタイが静かに言葉を添える。

「その通りです。夜なら、私をもっと頼ってください」



ヤコブはゆるやかに目を細め、二人を見渡した。

「……良い部下に恵まれた。私は幸せ者だな」





だが――次の瞬間、表情が堅くなる。


「さて……世間話はここまでにしよう」

「ユダの家族は二年前から行方不明。手がかりは皆無だ」


「家、綺麗っすね……本当になんかあるんすか?」

「そうだな……ただの空き家のように見えるが……」



ヤコブは軽く指を弾き、マタイをみる。

「鑑定を頼む」



「承知しました。おい、フク!」

霊獣フクロウが舞い上がり、


数秒後、フクロウの右目の周りにが光の円が現れる。


「……見つけました。床下に、血痕。ごくわずかですが」



「……血、だと?」

マタイの声は低く、底冷えするような響きだった。


フクロウが淡々と告げる。

「拭かれていますが……私には見えます」



ダニエルが頭をかきながら前に出る。

「ってことは……ユダやユダの家族になんかあったんすかね……」



「犬神で匂いを追います!」 


犬神ララがじっと睨む。

「ダニエル……追跡の前にあんた汗拭きなさい……」

「わかったよ! 神経質なお犬様!」

「二年前の匂いなんて、私の鼻じゃなきゃ追えないからね」 


「はいはい……お犬様、感謝してますよっと」 


ダニエルは真剣な顔に戻り

「副総監! 俺はユダの家族の所持品探します」

「必ず見つけ出してみせます!」



ヤコブはゆっくりと頷き、口元にわずかな笑みを浮かべる。

「……頼もしい限りだ」



「ユダの身になにかあったか……だかお前が敵に手を貸すなら容赦しない……」




────




──地下室


棚に並ぶ薬瓶、ガラス管を伝う液体の音。


その中で、ひとつの試験管を振る音だけが妙に響いていた。


「さてと……そろそろ効果が出てくるはずだ……」



淡く濁った液体を電光灯にかざす。

中では微細な生物がうごめき、蠢きながら光を反射していた。



ユダの口元が歪む。



そのとき、背後から声が響いた。


「……どうだ?」


振り返ると、そこには影のような男が立っていた。

顔はフードに隠されている。



ユダは一瞬息を呑み、すぐに笑顔を作る。

「おや……こんばんは。もうすぐですよ。湖の霊力は間もなく尽きるでしょう」

 


「霊力を食い尽くす魔物のミジンコか」


「そうです……数カ月かけて湖のゆっくり霊力を削ります。霊獣や霊獣使いも気づかないでしょう」


「そして湖の霊力が尽きれば………魔物も普通に集まります」

 

「そうか……」



 

ユダの表情が曇る。

「……ひとつ確認させてください」

「何だ?」


「全てが終われば……私の任務は完了でいいのですね」



影の男が薄く笑った。

「フッ……そうだな。ただ――お前が昨年、科学毒の調合をミスしなければ……」

「……!」


「ふふ……あの時、お前は家族と再会できていたのにな」


影の男の声は、冷たく湿った刃のように落ちた。


「……ユダ。お前が一度、逃亡しかけたことを思い出せ」

ユダの体がピクリと震える。



「あれは……」


「言い訳は聞かん」

影の男の声はさらに低く沈む。


「その時は娘の髪で済ませてやったが――」


ユダの拳が白くなる。


「次は……髪じゃ済まさんぞ」


闇の中、ユダの瞳だけがぎらりと光った。


「…………!」

声にならない呻きが喉を焦がす。



影の男は満足げに背を向けた。

「お前の行動は常に監視している。忘れるな」

「リザエルの為に死力を尽くせ。裏切れば……家族の骨の一本、どれから折るかは気分次第だ」


ユダは歯を食いしばり、血が滲むほどに拳を握りしめた。


(私は……科学者だった……)

(なのに、裏切り者のユダになってしまった……)






続く

◎霊獣「犬神」ララ 250歳 2m

警察犬のように嗅覚が鋭い 全身が白い

神経質で追跡中は他の匂いを嫌う

◎指揮官ダニエル 28歳 170センチ

霊獣「犬神」ララの使い

明るい性格 霊獣管理協会の指揮官


◎霊獣「フクロウ」 フク 110歳

鑑定スキル持ち 夜の視察が得意 


◎長官マタイ 35歳 168センチ

霊獣「フクロウ」フクの使い

※第一章第2話に訓練官として登場済み


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