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第1話 霊獣龍使いハンナ登場

お陰様で想像より多くの反応を頂きありがとうございます。

最初ダンゴムシの主人公は誰からも読まれないと思ってました(;_;)

一度完結にしましたが、第2章としてすこしずつ物語を進めます。

第2章は戦争の話が出てきます。暴力シーンが出てきます。※ご注意ください。

霊獣vs魔物バトル、そして今度は農業村リリンに危機が……。

ダンさんとリクが今度は国全体を救う!?

ぜひお楽しみに♪♪

 リクが農業村リリンに来て、もう一年。

気づけば毎日があっという間で――相変わらずのどかだ。


今は白霊米の管理で大忙し。

湖から水を引いて作った田んぼで、タロさんたちと苗を植えている。


 ダンさんはというと……浮き輪をつけて田んぼの上をぷかぷか移動中。


「うおぉぉ……腰が……!」

「タロさん、まだ半分も終わってないよ!」

「おじさんにはキツいんだよ、これ!」


汗だくの田植えがひと段落し、芝生の上で休憩。

 

 布を広げて、全粒粉のパンに白身魚のフライと野菜をはさんだ――即席フィッシュバーガーをかぶりつく。


「うまっ……」

ふうっと息を吐く 

「で、この米って収穫までどれくらいかかるの?」

 

「四ヶ月くらいで収穫できるぞ」

ダンさんが骨をかじりながら答える。


  

「普通の米って六ヶ月かかるんじゃないのか?」とタロさん。

リクが首をかしげると、ダンさんが真顔で言った。


「普通の米じゃない! この米から……霊力を感じる!」


「霊力?」


タロさんが眉を寄せた。

「この村はずっと普通の作物と酪農が中心だった。だが霊力持ちの作物は初めてだ」


「じゃあ……」

「魔物を呼ぶかもしれん。強いのが来るかも」


その時――


「カァ、カァッ!」


 空から黒い影。……でかい!

羽が魔力をまとっている!?


「リク! 違う! あれは魔物だ!」

「えっ、あれが!?」


タロさんが釣竿を構えた。

結びつけた重しを一気に投げる!


――ズドン!


直撃を食らった魔物カラスは悲鳴を上げ、空へと逃げていった。


「タロさん……魔法使えるの?」

「使えねぇ。釣りだけだ」


「今の……」

「慣れだ。雑魚くらいならな」


「でも、もっと強いのが来たら……」

 

リクの胸に不安が広がる。


ダンさんがいなきゃ俺は何もできない。



 

──その時。


空を覆う巨大な影。

「えっ! なんかでかい!」

 

「あんなにでかいの俺は無理だぞ!」

タロは細めで見つめる。


「リク! 今度は違う……ドラゴンだ!!」


 田んぼを覆う巨大な影に、足がすくむ。

心臓が鼓動し、足が震える。


風を切り裂き、巨体が舞い降りる。


(いや……無理だろ……俺は何もできない……)



 田んぼの脇に着地した瞬間、轟音とともに土煙が舞った。


「……やっと着いたわ。農業村リリン」


「──!」


 黄金の髪が陽光にきらめき、蒼い瞳が真っ直ぐこちらを見る。

背に跨っていたのは、一人の少女だった。


少女は静かに名乗った。

「霊獣 ドラゴン使いのハンナ。今日からこの村の護衛に来たの」


「霊獣使いなのか!」

「ご、護衛!? 」


「そう。白霊米は特別よ。霊力を帯びた作物は魔物を引き寄せる」

「さっきのカラスも……」

「ええ、あれは雑魚。これからもっと強いのが来る可能性がある」


そして、青い瞳をこちらに向けた。


「あなたがリクね」

「えっ……呼び捨て?」


「君、何歳?」

「19だけど……」

「私も同じ。ならいいでしょ?」


脳裏に浮かぶのは、契約の儀式の日。

(……あんな子、いたか? いや、絶対忘れないだろ普通!)


「ヤコブ叔父様から言われたの。“リク君から学びなさい”って」

 

「ヤコブ副総監の……姪!?」


驚く俺をよそに、彼女は淡々と続けた。


「リクは武術、できる?」

「……できない」

「学力は?」

「それもない……」


「……」


短くため息をついた後、彼女は笑った。

「でもいいわ。“自分で気づきなさい”って叔父様が言ってたし」


その笑顔はどこか無邪気で、けれど凛としていた。


「じゃあ決まり。私は“リク”、あなたは“ハンナ”って呼んで」

「……ハンナ」

「よろしくね、リク!」



───


 その頃、霊獣同士の対面も始まっていた。


ダンさんが巨大なドラゴンを見上げ、呟く。

りゅうドラゴンじゃ格が違う……竜が千年生きてやっと龍になるって聞いたぞ」


龍は無言で、ぎろりとダンを見下ろす。

その眼光に俺なら凍りつくが、ダンさんは平然としていた。


「で、お前、名前は?」

「……ドラコよ」


「えっ、メスなのか?」

「性別なんてどうでもいいでしょ?」


「お前……変わってんな」

「ダンゴムシの霊獣に言われたくないわ」


遠くから俺は声をかけた。

「仲良くやってね……頼むから……」


ダンさんが小さく笑う。

「まぁ、変わってるくらいがちょうどいいかもな」


ドラコはくすりと笑い、空を仰いだ。


――農業村リリンに、新たな風が吹こうとしていた。




続く

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