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感情が天候に反映される特殊能力持ち令嬢は婚約解消されたので不毛の大地へ嫁ぎたい ~魔物を薙ぎ倒す国王陛下に溺愛されて幸せです~  作者: かのん


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初めての川あそび 【天候令嬢発売記念】

色々なことをして遊んでいるシャルロッテが書きたかったのです(*´▽`*)

びちびち。

 シュルトンでの日々は、私に人生で初めての穏やかな日常をくれた。


 これまで生きてきた中で、私は朝から晩まで自分の感情のを露にしてはいけないと、喜怒哀楽全てを押し殺していた。


 楽しいことさえも大きな声で笑うことの出来ないそんな日々。


 だけれどシュルトンに来てからは違う。


 心のままに笑い、驚いたり、困ったり、そうした一つ一つの感情を私はストッパーをかけることなく露に出来る。


 こんなに日常とはきらきらしたものだっただろうか。


 今日は、街の近くに流れる小川へとアズール様と一緒に遊びに来ていたのだけれど、水遊びをして遊んでいた。


「シャルロッテ。ほら、冷たくて気持ちいぞ」


 初めて入る川は、思っていたよりも冷たくて、私は驚いた。


「すごく冷たくて、びっくりしました」


「そうだな。俺も、少し前までこの川でこんな風に遊べるようになるとは思わなかった。これもシャルロッテのおかげだな」


「そんなことはありませんわ」


「実際に川の魚も生き生きとするようになった。前までは小さな魚しか取れなかったのに……お! ちょっと待っていてくれ!」


「え?」


 アズール様が巨大な魚を手づかみで捕まえた時には衝撃を受けた。


 びちびちと撥ねる魚。


 それを豪快に笑いながら見せてくるアズール様。


「ほら! シャルロッテ! 見てみろ! いい魚だ!」


 私は生きた魚を川で捕まえるということだけでも衝撃的だったので、声も出なかったのだけれど、アズール様はそんな私に言った。


「大きいぞ! 持ってみるか?」


 首を、今までない程に早く高速で横に振った。


 大きな魚と視線が合い、私はあまりに衝撃過ぎてふたりとよろけてしまう。


「シャルロッテ!」


 そう言い、アズール様が私のことを抱きとめてくれるのだけれど、その代わりに魚が宙へと舞った。


「あぁ! お魚が!」


 私がそう声を上げると、ローリーが片手で意図も容易く空中でキャッチし、私に見せる。


「大丈夫です! ちゃんと捕まえました!」


「助かる」


 私はその光景を見つめて、くすくすと笑い声をあげ、それから堪えきれずに大きな声で笑ってしまった。


「ふふふ。ふふふふふ。す、すごいですね! アズール様の魚、空を飛びました! ふふふ。それにローリーったら空中で捕まえるなんて! ふふふふ!」


 おかしくて笑い声をあげた瞬間、空に虹がかかり、キラキラとした光が舞い落ちる。


 すると魚もきらきらと輝き、不思議な光景になり、皆が笑い声をあげた。


 皆で笑い合うと楽しいのだということも、私はシュルトンにきて実感した。


 今までは他人が笑っていても眺めているだけだった。


 笑いたくても笑えなかった。


 けれど今は違う。


「ふふふふ」


 ただ、人生笑い合うだけではない。


「よし、では捌いて焼いて食べるか」


「へ?」


 雷が、近くの地面にドドンと勢いよく落ちた。


「あ、あ、ご、ごめんなさい!」


 空が突然ゴロゴロと音を立てて鳴り、それを見てアズール様は頭をぽりぽりと掻いてから言った。


「すまん。そうか……魚をさばいて食べるなんて、やったことないよな」


 私はその言葉にうなずく。


 ただ、私は内心、誰も私が天候を変えてしまったことや雷を落としてしまったことに何も言わないことに驚く。


「あの……ごめんなさい。驚いて、天気が」


 そう告げるとアズール様は首を傾げた。


「ん? いや、あのくらい大丈夫だ。それに、シャルロッテに直接的に気概を加えない限り空も俺に雷を落とすようなことはしないだろうよ」


 にやっと笑ってそう言うアズール様に、私は唇を噛み、それからうつむいた。


 優しいなぁと思う。


 普通、こんな女嫌だろう。


 私はこんな私を受け入れてくれるのだからと、よしと気合を入れると顔を上げて言った。


「魚の捌き方! 焼き方教えてください!」


 郷に入っては郷に従え! 私もアズール様達に近づきたいと思いそう言った。


 アズール様は笑い、それからうなずく。


「よし! さばくか!」


 私は、その後、命のありがたさを感じた。


 魚をしばらくの間は食べられそうにないけれど、大切にこれからは出された時は食べていこうと思ったのであった。



「昨日は川の方で雷がすごかったな」

「あぁ、なんでもアズール様が色々とやらかしたらしいぞ」

「へぇぇ。シャルロッテ様大丈夫だっただろうか?」

「まぁ、なんだかんだで、ラブラブだからなぁ」

「「「「間違いない」」」」」


 そんな会話が街でされていることなど、シャルロッテは知らないのであった。


おかしいな?いちゃいちゃを書こうと思ったのに、何故か魚が。(●´ω`●)

読んでくださりありがとうございます。


書籍発売まであと少し!

よろければお手に取ってもらえると嬉しいです!

よろしくお願いいたします(/ω\)

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