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私は犯罪者ですか?  作者: 苗字名前
第2章――物語の始まり、”反逆者の誕生日”
18/53

玖叉充という男

残酷描写があります。ご注意ください。

 ズブリ。グリュ。そんなおぞましい音が広場に響いた。

 男――玖叉は体に埋まった鉄を次々へと引き抜いていく。その動作に感慨は無く、機械的に見えた。一つ一つ、鉄の欠片が体から抜けるたび、真っ赤な穴が黒いライダースーツ越しに覗く。その様は見れば見るほど酸鼻さんびの極みである。男の体は小さな穴だらけでまるで蜂の巣のようだった。だが男はそれを無視して、慣れたように衣の下――胸元を飾る白い十字架のペンダントに触れた。カチリ、中心を飾るボタンを押すとその裏から小さな針が突き出て男を刺す。瞬間、傷口が見る見るうちに塞がっていった。


――再生の能力ワイズ


 どうやら草地の勘は当たっていたらしい。数秒後には男の傷は全て消え、残ったのは穴だらけのライダースーツだけだった。ペンダントは男の機械マシンだ。メイの無骨なチョーカーと反して、その首飾りは繊細な作りをしていた。銀細工だろうか、白みのあるそれは見事に天井の明かりをキラキラと反射して輝いている。その様は雄々しい玖叉には不似合に思えた。


「……まさか、使うことになるとはな」


 ふっと、玖叉は嘲りのような笑いを漏らす。


 



 







♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢


 玖叉充くざみつると言う男は強靭的な体を誇っていた。


 どんな頑丈な壁を殴っても砕けることのない拳。鉄パイプで殴られようが折れることの無い腕。そして機械マシンが無くとも大体の怪我は自力で回復させられる活発な細胞。男は元から“化け物”だった。超人的な特性をもったそれは普通の人間から一脱していたのだ。

 だが、勘違いしてはいけない。


 玖叉充もまた、昔は普通の子供だった。







 2086年、春。少年――充は6歳だった。


 両親は離婚し、寂れた研究者の父親に引き取られて彼は英国に住んでいた。彼が居たのはピータバラ、英国の東部地方にある主教座聖堂都市、その周辺の村落だ。その都市には名だたる大聖堂があり、村落に美しい緑が多いことで有名だった。充の家もまた、緑で囲まれており、近くには大きな森があって、彼はよく其処で遊んでいた。


 だが、充は寂しい子供だった。父親により外界から殆ど遠ざけられていることもあって、友達はおろか、父以外の人間を彼はあまり知らなかったのだ。知っているとすれば偶に家を心配して来てくれる近所の老母だけ。


 そんな充は父とあまり似ていなかった。銀髪に染める以前の髪は当時涅色で、淡い琥珀色の瞳をしていた。対して父親は錆色の髪に緑の瞳――父親は英国人だった。そんな父と純粋な日本人である母の間に生まれた充は、日本人寄りの何処か浮世離れした容姿をしていた。だが、それに対して中身は中々芯の強い性格をしていて、活発な子供だった。そんな息子を父は愛し、慈しみ、”箱庭”と言う名の森と邸の中で彼を育てた。

 そうして、6歳の誕生日に彼を祝いとして森へと連れ出した。男は寂れた研究者だったけれども、その昔はそれなりに名は知れていた。その証拠に自宅には研究の設備がちゃんと整っており、家を囲む大きな森も所有地として持っていた。


 男は狩りが好きだった。


 近年、英国では火器免許を16から会得することが許されている。ただし、使えるのは散弾銃などの狩猟文化を保護するための武器と認められるものだけ。男が持っていたのはモスバーグMN500――低威力の空気銃に近いものだった。だが、それでもそれなりの威力はあり、小さな鳥類の命なら奪える殺傷力を有していた。

 男は充に狩りの仕方を教えた。100メートル先の枝に止まる鳥に照準を構え、撃つ。轟音と共に幾多ものの羽が宙に飛び散った。男は充に問いかけた。


――わかったか?


 何が、とは疑問に思ったが充はとりあえず素直にこくり、と頷いた。そんな彼には父親は朗らかに笑って頭を撫でる。


――じゃあ、悪いけど。あそこまで行ってきてくれるかい?


 その言葉に充はもう一度こくりと頷いて、鳥の元へと茂みを避けながら走っていった。そうして、地面に横たわる血だらけの体を見つけてそれを掬い上げようとする。その瞬間、


 足を撃たれた。


 突銭受けた衝撃に充の膝はがくりと崩れ落ちた。一瞬の間を置いて、ズキズキと痛み出す脹脛に、尻餅をついた充は目を向けた。黄金色に光る鉄が埋まっているのが見えた。その光景を見た瞬間、痛みが急激に増し、充は泣き叫んだ。疼痛を吐き出すかのように喉が枯れるまで声を上げる。

 そんな彼を絆すように父親は近寄って涙をぬぐってやった。


――ああ、痛かったね。だめだよ、次は避けないと……ちゃんと逃げなさい。


 優しく笑うその顔は何処か異質だった。

 その表情に充は得体のしれない恐怖を覚えたが、家に帰って甲斐甲斐しく治療してくれる父を見て、気にしないことにした。大丈夫だ、父さんは相変わらず優しい。


 けど、その思いは直ぐに撃ち砕かれた。


 父親は本当に狩りが好きだった。逃げ惑う”獲物”と言う名の息子に嗜虐心をそそられたのか、楽しげに火器を構える。その顔には何時だって笑みが貼り付けられていた。三日月に歪む頬と目は充の恐怖心を煽り、震える足を叱咤する。走れ、走って走って逃げ惑えと。


 狩りは毎日のように定期的に続いた。昼の3時から5時までずっと充は森の中を走らされた。涙を耐えて、荒い呼吸を零しながら必死に駆けずり回る。何故、と思いながら日が落ちるのを待った。充は何度も誰かに助けを求めることを考えた。学校、或いは何時も様子を見に来てくれる老母に、服の下に隠れる己の傷を曝して、真実を語ろうとも思った。けど、出来なかった。老母のしわくちゃで暖かな笑みを見て踏みとどまったのだ。この人を巻き込みたくない、とそう思った。きっと巻き込んでしまえばこの人は父に殺される。根拠も無く、だが直感的に子供ながらに彼は確信した。それは正解だった。何故なら、男はずっと息子を監視していたからだ。


 充は毎日走った。命からがらに弾丸を避け、茂みの中へと隠れる。来る日も来る日も、毎晩彼はベッドの中で涙を零しながら願った。どうか、父が元の優しい父に戻りますように。だけど、そんな願いが聞き入られることは無く、男は更に強い殺傷力を持ったMN510の銃を狩りに用い始めた。


 そんな日々が続き、充は等々捕まってしまった。背中から脇腹を撃たれてついに倒れこむ。瀕死の状態だった。父親はそんな充を抱き上げて家へと連れ帰り、治療をする。


 流石に限界だった。極限まで削れられた精神と体。充の容態は悪化していくばかりで、男は焦った。折角得た嗜好の獲物がこのままでは死んでしまう。ただでさえ、ずっと狩りが出来ず、謹慎症状が出始めているというのに、“これ”が死んでしまえば自分は狂って死んでしまう。


 男は本当に“狂っていた”。常識的な感覚は麻痺し、見当違いなことを心配する頭は精神病質の気を見せていた。

 

 男は思いついた。


――そうだ、壊れても簡単に治る体を作れば良い


 名案だとばかりに、息子が横たわる病室の様な部屋のベッドの傍で笑う男は“研究者の目”をしていた。


 男は以前、他の仲間と共にある研究を進めていた。アホロートル酸素に関しての研究だった。


 アホロートル――日本での一般名をウーパールーパー。

 3億年ほど進化が無く、食用で乱獲されたり、開発で生息域が狭まるなどして、絶滅が危惧されている両生類だ。通常は灰色の体をしているそれは、トカゲのように手足を切断されても再生でき、心臓さえも再生する。その再生速度は速く、手足を切断されても10週で元の状態に戻る程のものだ。


 ある日のことだった。この動物界でも稀有な再生能力は、ambloxというアホロートル固有の酵素によるものだと、男を含む研究者たちは突き止めた。そして試しに、この酵素を人間の皮膚の細胞に投与したところ、細胞が活性化され、傷が速く回復する事が判明したのだ。


 では、この酵素を人工的に作り出すことによって、人間の手足等も回復できるのではないか?


 男たちは目を輝かせた。

 生物は多かれ少なかれ再生能力が備わっているが、アホロートルは、四肢が切断されても血管がすぐに再生され、出血が止まる。皮膚の細胞は傷を速やかに塞ぎ、芽体を形成するのだ。それは正に多能性細胞(ES細胞)――全ての細胞に分化する能力のある細胞だった。


 男たちは実験を繰り返した。酸素を一人の人間に投与し、体を切り刻んでは再生させた。そうして、指や、足などを切断して、体が再生するのを待った。だが、何も起きなかった。否、血は止まった。傷も見る見るうちに塞がっていった。だが、それだけだ。そう、”傷が塞がっただけ”なのだ。実験体だった妙齢の男の傷口は、膝から先が無くなったまま元に戻ることは無く、再生する肌によって塞がれた。男も、研究者たちもその事実に悲観した。どうやら、細胞は足の先まで再生できなかったらしい。彼らはその実験体に多大の被験体費と慰謝料を払って捨てた。


 次の実験体に取り掛かる。子供だった。14,5歳ぐらいのその少年はまだ若く、とても健康的な肉体をもっていた。少年は貧しいことから積まれた大金に目が眩み、研究に協力することを了承したのだ。


 男たちは手始めに少年の指を切った。うっすら、と出来た血線はすぐに消えた。次は麻酔の打たれた足にのこぎりの刃を当てる。再生はすぐに始まった。細胞はボコボコトと泡のように動きながら新たな足を構築していった。


 実験は成功した。男たちは歓喜極まったように息を漏らした。

 やった、これで自分たちは人類に新たなる進化の道を指し示すことができる。皆がそう思った。あとはこれを立証して、国家医療機関に申請すれば自分たちは大きな名声を得ることが出来る。胸が高揚するのが、男には分かった。


 だが、数日後。少年が例の実験室で悲鳴をあげた。再生したはずの足が突然ボロリと崩れ落ちたのだ。落ちた肉は見るも無残に朽ち果て、異臭を放つのが分かった。何故だ、男たちは狼狽えた。実験は成功したはずだ、理論だって間違っていなかったはずだ。それなのに何故うまくいかない?


 答えは、簡単だった。”合わなかったからだ”。


 理論上、確かに酸素は人間に再生する力を与えることは出来る。その証拠に小さな怪我はすぐに回復させることが出来た。だがそれだけだ。大きな傷を癒すには大量の酸素が必要となる。だが、アホロートル酸素と言うものは本来、人には“合わない”ものだった。つまり、体の細胞が上手く適合しないのだ。


 酸素を与えても、あの妙齢の男性には相性の悪さゆえに細胞があまり再生出来ず、足を構築させることができなかった。また、少年とは相性が良くとも、形を継続する力が無いために足は崩れ落ちる。


 それが現実だ。人には決して体を再生させることはできない。


 けれど男たちにはその事実を受け入れることが出来なかった。何度も何度も色んな個体で実験を繰り返し、人間の細胞とアホロートル酸素が適合できる可能性を見つけようとした。だが、そんな気配は一向に見えず、実験は国家によって強制的に終わらされた。


 その時には研究者たちもだいぶ諦めがついていたようで、あっさりとそれを承諾した。

 けど、男は違った。彼にはどうしてもそれを諦めることが出来なかったのだ。例え、同僚や家族に見放されても彼は自分の夢を叶えたかった。


――人類に希望の兆しを、


 それが彼の口癖だった。そんな彼を充は尊敬し、慕い、何時も傍に張り付いていた。だが、彼の妻は違った。碌に仕事もせず、研究に明け暮れる男は正直、妻にとっては不気味でしょうがなく、迷惑だった。国家の後ろ盾なしに続ける研究に費用はかなりかかり、研究は一向に終わる気配を見せなかった。家族を振り返らないその姿勢に妻はホトホト呆れかえり、離婚を決意した。

 彼女はまだ幼い充を連れて日本へと帰国しようとしたが、それを充はいやいやと拒み、父の足にしがみついた。一か月も続くと、その強情な姿勢に母は渋々諦めの意を示し、近所の老母に頼んだ。「息子を頼む」と。


 そうして、彼女が日本へと旅立って数日。充の父親は狩りをしはじめるようになった。初めは唯の気晴らしだった。ずっと研究室に篭もる毎日は己の神経を削らせ、先の見えない研究に男は苛立ちを覚え始めたのだ。そんな自分に心配そうな表情を向ける充を見て、これはいけないと思い、何かストレスを発散できないかと考えた。そしてふと、自分が昔、まだ学生の頃、友達と共に火器免許を取ったのを思い出した。一度も試したことは無いが、試してみるかと人の少ない森で一人、狩猟を始めた。


 結果、意外なことにはまった。銃を撃った時の衝撃には爽快感を感じ、弾丸一つ一つに自分の日々の鬱憤を込めることで、心の曇りが晴れていくような気がした。男は狩りを趣味とするようになった。


 だが、それは間違いだった。


 一度、鳥を撃ち落した男は味を占めてしまったのだ。そうして、制限以上の狩猟量を行い、何時しか“狩る”ということに快感を感じ始めた。まるで、麻薬の様だった。獲物は逃げ惑う者ほど自分を興奮させ、気分を上昇させる。あの獲物を狩った瞬間の男の喜悦はなんと表したものか――。


 この時にはすでに、男は狂っていた。

 大切であったはずの息子も、何時しか完全な“獲物”として見るようになり男は着々と充を狩る用意を整えた。

 そして、その“獲物”を狩ってしまうと、コレは良いとばかりに再びアホロートル酸素の実験を試みたのだ。

 これで、実験が成功すれば一石二鳥だと――。


 と言っても、この結果には男は最初から期待していなかった。彼も薄々と気付き始めていたのだ。この研究はある意味、神の領域に踏み込む愚行であり、決してしてはいけないことだと。だからこそ神は己を止めるように、実験を妨げているのだと、彼はそう思った。自分の理想が実現することはない。その事実に彼は唯、眼を背けつづけていたのだ。




 男は息子に酸素を注射器で体に注入し、細胞を活性化させた。弾は幸い貫通していたので、何事も無く傷口は塞がっていった。三日たつと、充は起き上がれるようになり、また狩りに無理やり参加させられた。充は絶望した。また、あの地獄が続くのかと。それでもまたあの痛みを味わうのが嫌で、充は再び走り出した。父親は無情にも充を撃ち続けた。そうして怪我をするたびに酸素を投与して傷を癒させる。急激に消えていく傷に初め充は驚いたが、世間知らずの彼はこんな物もあるのかと一人納得した……自分が実験体にされていることに気付かずに。


 実験と言ってもそれは、一見ただの治療の繰り返しに見えた。体に風穴を開けられるたびに酸素を注入し、塞ぐ。ただ、それだけの繰り返し。男の実験を成功させるための意欲は何時の間にか消えていた。

 だが、その一定的なループの中、充の再生スピードが徐々に速まっていることに男は気付いた。それに一つの疑問を抱いた。


――まさか、充の体の中で酸素が作り始められているのか……?


 それは男が目指していたものの一つだった。切断された体の一部を出来ずとも、人工的に酸素を生み出すことが出来ればそれだけで人間は進化できる。研究者たちはそれに関しての研究も進めていた。だが、それについてはそもそも理論上解明できていないので、どうやって人の体でアホロートル酸素を生み出せばいいのか彼らには分からなかった。色んな無茶な実験を繰り返して、思いつくだけの方法と可能性を試したが、それがうまくいくことは無かった。だから、これは仕方がないと皆が早々に諦めたのだ。


 だが、今のこの充の再生速度。それは一つの可能性を示唆していた。男はその事実を確かめるように行動を起こした。


 翌日。男はM500の散弾銃ではなく、元の殺傷力の低いMN500を引っ張り取り出した。そうして、湧き上がる期待感を抑えながら、充を何度か撃つ。結果、傷は放っておいても一日で見る見るうちに消えていった。


――まさか、本当に……!


 男は歓喜した。諦めていた一つの希望が彼を指し示す。だが、それは決して“研究者”としての喜びではなかった。


――これで、俺は。


 自宅の居間。ソファに上に横たわる充の頭を撫でると、彼は壁に立てかけていた散弾銃に目を向けた。その顔には狂喜が見えた。

 どうやってそんな奇跡が起きたのかはわからない。酸素をずっと投与し続けた結果か、それが幹細胞に何らかの影響を及ぼしたのか。研究を進めれば恐らく偉大な発見が出来たろうに、男にそんな思考が走ることは無かった。ただ、この先の狩猟で頭がいっぱいだった。


 男は“永遠に狩れる獲物”を手に入れたことに感動で震えていた。



 それからは酷い毎日が続いた。今までの出来事が比べ物にならないぐらいに充は傷ついた。今迄僅かに残っていた加減は男から見事に取り去られ、残ったのは狩りに対する純粋な楽しみ。怪我をするたびに投与された酸素は充の自己修復能力を日々伸ばしていった。

 そうして、どんどんエスカレートしていく狩りに男の理性のタガはついに外れ、


――Da,d(父、さん)







 2066年、5月。男は見事な快楽殺人鬼へと変貌を遂げた。


 森の中。自宅から約400メートルほど離れた其処で、充は驚然としていた。

 自分を覆うふくよかな肉の塊。血濡れの胸は充を守るかのように彼の体を押しつぶしていた。しゃらり、目の前で白い銀細工が揺れる。十字架のペンダントだ。

 視線を上へと上げると歪んだ笑みを浮かべる父が立っていた。手にはもちろん黒光りする長い散弾銃。もう一度自分に覆い被さる体を見る。仄かな熱が残っている体はこと切れており、血で濡れているのが分かった。背中には風穴が開いていることだろう。 

 ”それ”は老母だった。何時も自分の様子を確かめに来てくれる優しいお婆さん。ポッコリと出たお腹で一生懸命歩く可愛い人。しわくちゃの手は何時だって慈しむように自分の肌を撫で、涎が垂れそうな甘い甘いラズベリーパイを作ってくれた。


 その人が死んでしまった、否、殺されてしまった。


 充の視界が歪んだ。思考は回ることを放棄し、唯呆然と目の前の男を見つめる。

 筆舌に尽くしがたい感情がうずきまわった。


――充!


 悲鳴が聞こえた。視線を右へ向けると黒い制服を着た男が何人かこちらに向かってきている。その後ろには日本に居るはずの母が見えたような気がした。






 ぐらり。充の視界が暗転した。




少し長くなりそうなのでこの話は二つに分けさせていただきます。

続きは本日中に投稿します。

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