表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lycoris radiata  作者: 緋泉ちるは
5/34

名付け

 食事を終える頃だった。


 〈主人様。フォレストウルフに名前を与えては如何ですか?〉


 精霊さんがいきなりこんなことを言い出した。元リーダーはお腹いっぱいになったからか、私の隣で眠っている。


 (名前を?確かにあったら楽かもしれないけど)


 私もフォレストウルフは思考共有を持っている。なので、特別不便と思ったことはないので今更という感じだ。


 〈主人様は現在、2本の尾を持っております。これにより、名付けが可能になりました〉


 (尻尾が増えると名づけができるの?)


 〈尻尾が増えたことにより、名付けによるクラスアップが可能です〉


 私の尻尾は魔力のタンクのようなもので、尾が増えることにより魔力タンクが増えていくようだ。


 その魔力タンクにより、名付けに必要な魔力を確保できるようになったと精霊は言っていた。


 (う~ん。折角リーダーになったのに強化したら抜かされちゃわない?)


 〈問題ありません。主人様とフォレストウルフでは埋められない差が開いておりますし、名付けにより逆らえないように支配することも可能です〉


 私ってそんなに強いの?実感がないんだけど。


 (ちなみに、メリットとデメリットは?)


 〈メリットはフォレストウルフの能力向上及び新たなスキルの獲得の可能性と……。…デメリットは能力向上による燃費です〉


 (燃費って魔力が回復しにくくなるとか)


 〈いえ、単純に食事です〉


 食事か…。現段階で困ってはいないが、それでも全員に平等に配ると物足りない日があるからなぁ…。


 〈心配には及びません。能力向上により、獲物の獲得が容易になります。更に、知識も向上するので畑等も作っていけると思うので食料問題も解決できる予定です〉


 予定は未定。だけど、精霊が言うのなら有言実行だろう。


 (別に一気にやらなくてもいいんだよね?)


 〈まずは、一匹ずつ行うのが良いかと。その後、任せていただければ魔力の譲渡を管理することも可能ですので、一気に済ます事もできます〉


 まず、一匹やってみてそれから考えればいいのか。


 視線を落とすと元リーダーが眠っている。


 呼び方に不便はないけど、元リーダーって口に出さないにしろ侮辱しているようで可哀そうだよな。


 「ねぇ」


 頭を撫でながら声をかけると、すっと身を起こしお座りをする。


 「名づけしてみたいんだけど、どう?」


 元リーダーは首を傾げた。そりゃ、名づけなんて聞いたことないからわからないよな。


 「名づけをすると、アナタの力が向上して、強くなれる可能性がある。その代わり、私の支配下に置かれることになって逆らえなくなるみたい」


 「オンオン!」


 支配下に収まるのは良いらしい。もっとも現時点で私がリーダーであるので変わらないという認識か?それよりも強くなれるのは生物としての本能か、迷わずに力強く頷いた。


 「それじゃ…名付けるね」


 あ、名前考えてなかった。


 どうしよう、何かいい名前が…犬だからポチ?いや、それじゃペットみたいだし…。


 色々名前を考えている間も元リーダーは尻尾を振って目を輝かしている。


 「フォレストウルフだからフォルフ…いや、森狼を略して…モカ…」


 「オン!」


 どうやら、気に入ったようだ。


 モカ…可愛らしくていいかもしれない。


 「よし、今日からアナタはモカ!私を支えなさい!」


 〈名付けに成功しました。フォレストウルフは個体名モカに命名。フォレストウルフは妖樹狼へと進化しました〉


 精霊とは違う声が頭に響いた。


 その瞬間、モカの体が光に包まれその体に光が入っていく。


 「ん…」


 魔力が放出されたらしい、一瞬体に倦怠感が宿り、尻尾を見ると一本に減っていた。


 〈名づけにより魔力を消費したため、尾が減りました。明朝には復活します〉


 よかった。魔力が溜まれば自然と尾は復活するらしい。


 モカを確認すると、パチクリと瞬きを繰り返していた。


 〈進化の影響により活動休止状態へと移行しております。朝には状態は安定すると予想されます〉


 「そっか、それじゃ今日は危ないから一緒に寝ようか」


こうなった責任は私にある。ならば、朝までモカは守らなければいけないだろう。


 焚火を消し、新居に入る。


 流石に家の中に何もないのは淋しいので簡易なベッドだけは作っておいた。


 ベッドと言っても防虫済みの葉を引き、以前手に入れた布を引いただけだが。


 それでも、地面に直接横たわるよりは大分楽だ。


 ベッドに横たわるとモカも隣に横たわる。掛け布団はないものの、モカのふさふさな毛と体温のお陰で抱きついているだけで温かい。


 モカには迷惑かもしれないが、抱き枕の様にして私たちは眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ