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case.5 【急募】2対1で1の方が勝つ方法

もう少しで100話達成―――☆





「さてと……ルールは簡単だ。2対1で、技や魔法、スキルの使用は可。ただしお互いに装備品は、全て訓練用の物で統一する事とする。勝利条件は相手が指定された範囲の外へ出ること、もしくは相手が降参すること。この二つだ」



 俺は、すめらぎ兄妹に実戦訓練のルールを説明した。

 二人は俺の説明を聞いて、肯定の意を示すため一つ頷いた。



「あとは……そうだな。一つハンデをあげよう」


「ハンデ、ですか?」


「ああ、レベル差を埋めるためのな」



 俺が200超えなのに対して、二人は合わせても俺のレベルには届かないだろう。

 だから、ハンデだ。



「具体的には、お前たちの好きなタイミングで、観戦してる魔帝八皇のメンバーたちの中から一人、5分間のサポートをお願いしてもいい。これは任意だから、使ってもいいし、使わなくてもいい。お前たちの判断に任せるぞ」



 まあ、妥当なところだろう。

 これなら、多少の戦力差は埋められるはずだ。



「分かりました。でも、そのハンデは俺たちが本当にピンチになった時に使わせていただきますね」


「ああ、それでも構わないぞ」



 それにしても……本当に逞しくなったな。

 この二人、数週間前まで日本で学生してたんだぞ?

 それが、たった二週間程度でこの状況を受け入れて、しかもその上守る力を得るために努力をし続けてきた。

 本物の剣なんて持ったこともない学生が。

 魔力なんて感じたこともない学生が。


 普通ならありえない話だ。

 しかも俺みたいにスキルの力でどうにかなった訳じゃない。

 俺の言葉を素直に受け入れて、何にも無い状態……ゼロから積み上げてきたんだ。この二人は。



 そんな二人が、強くなったから戦いたい……なんて可愛いじゃないか。いや……カッコいい、か。


 俺はそんな二人の想いに応えないといけない。

 手加減はしない。壁があれば、それを乗り越えようとまた努力できるだろ?



 だから、俺は“魔王”として“白夜ゆうしゃ”と戦う。“魔王”として“月夜みこ”と戦う。


 本来なら敵同士のはずの役職。ありえない組み合わせのバトル。

 だが、それがこうして現実に起こっているのだから、全力でやらなきゃ損だろう。



 俺を信じてくれた皇兄妹ふたりの為に。




「全力で来い。出し惜しみはするな。この僅かな期間で学んだ全ての知識を吐き出せ。そして、見事俺を倒してみろ」



 俺は、訓練用の鉄剣を二本取り出した。

 今回は双剣で戦う。



「分かりました。俺がこの世界に来た意味、勇者になった意味……何もかもがまだ分からないけど、こうなった以上はやるしかない……ですもんねッ! 『まずは目先のことから』、never give up!です!」



 白夜が、一本の鉄剣を右手に構えてそう言った。



「私も、まだまだ分からないことだらけだけど、せめて自分の身は自分で守れるようにしなくちゃ、ですから! 最善を尽くせるように頑張ります!」



 月夜が、木の杖と鉄盾を構えながら言った。



 二人とも、準備も……覚悟も出来てるみたいだな。

 眩しい……二人とも眩しいな。


 少し、そのポジティブさが羨ましいくらいだ。



「それじゃあ、始めようか」


「はいッ!」


「はい!」



 俺は、同じ訓練場に呼んでいたルインに目配せをした。

 ルインは、俺の合図を見て頷く。



「―――それでは。これより魔王ルミナス様対勇者白夜様・巫女月夜様の実戦訓練を行います! 始めっ!!」



 ルインは声高々に宣言した。



 ―――試合開始、だ。




 まず動き出したのは俺。

 最初は相手の出方を伺うために、何もせずに突進してみた。



「月夜ッ! 強化魔法をッ!」


「分かった! ―――精霊よ、彼の者に力の加護を与え給え!“強化ブースト”!!」



 俺が辿り着く前に、白夜の指示で月夜は強化魔法を兄にかけた。

 

 “強化”……戦士固有スキルの『身体強化』のような物だ。一時的に身体強化をかける魔法。



 俺は、そんな“強化”がかかった状態の白夜に斬りかかった。



「“流星”ッ!」



 双剣を、同時に同じ方向に凪ぐ技……それが“流星”。

 


「クッ……!」



 だが、白夜はそれを剣で受け止める。

 そして、その瞬間に月夜が動き出した。



「おにいちゃんっ! 今助けるよ……っ! “暴風ストーム”ッ!」



 月夜から放たれた風魔法によって、俺は後方へ吹き飛ばされてしまう。

 だが、ダメージを受けるほどでは無かった。



「今度はこっちの番ですッ! “付与エンチャント : ファイア”……“炎剣フレイムソード”ッ!!!」



 そして、その隙を突いて白夜が突撃してくる。

 “付与エンチャント”……その名の通り、属性を付与する効果を持つ魔法の名前だ。


 白夜も、サタールに教えられた影響か、魔法が……それも炎属性の魔法が著しく成長していたのだ。


 そんな炎が付与された剣で、白夜は斬りかかってくる。



「“炎鎧えんがい”ッ!」



 俺はすぐさま炎技ダメージ軽減の魔法を身に纏い、剣で対抗する。



「いいコンビネーションだ……だがッ! そんなんじゃまだ俺には届かないぞッ!」



 俺は白夜を力任せに弾き飛ばして、そう叫んだ。

 しかし、そんな白夜の表情は笑っていた。



「まだですよ……! “付与エンチャント : ドラゴン”ッ!」



 ッ……!?

 龍、だと……?


 まさか、龍属性も使えると言うのか……?

 しかも、それを使いこなせるということは……



「ベルゼリオ……か」


「その通りです。行きますよ……“鬼龍流きりゅうりゅう咆哮ほうこう”ッ!!」



 そう言って、龍属性の宿った剣を直線状に投げてきた。

 剣に宿る龍の魔力は、やがて龍の形となり、まさしく技名通りの“龍の咆哮”となって俺に向かってくる。



「チッ……俺も使えない属性を平気で使いやがって……! 勇者様は何でもありかよ……ッ!」



 俺は悪態をつきながら、横に飛んでそれを避けた。のだが、



「月夜ッ!」


「おっけー! ―――精霊よ、彼の者に鉄槌を下す加護を!“追尾ホーミング”ッ!」



 壁に向かって飛んでいた、白夜の剣は急に方向転換し、こちらへ向かって飛んできた。


 もしかしなくても、月夜が何かしたな。



「クッソ……撃ち落とすしかないかッ! “炎天えんてん”ッ!」



 俺は、そう判断して“炎天”を放った。

 空から、白夜の剣に向かって炎の魔力弾が降り注ぐ。



「チッ……これで落ちてくれれば―――」



「―――剣ばっかりに気を取られないでくださいよッ! “鉄拳アイアンフィスト”ッ!」



 ッ……!後ろから……ッ!



 背後を取られ、不意を突かれた俺は、そのまま白夜の拳を背中でもろに受けてしまう。



「ガハッ……!」


「まだです! “打ち風”っ!」



 さらに、月夜は俺の上から風魔法を叩きつけるように放った。

 それも、対処できずにもろに受けてしまう。



 俺が怯んでいる隙に、白夜は落ちている剣を拾った。



 それは、白夜がさっきまで使っていた剣ではない。

 俺の使っていた双剣だ。



「―――形勢逆転、ですね」


「ハッ……まだ終わっちゃいないぜ?」



 俺は立ち上がりながら、手に魔力を溜めていた。



「まだ、余裕そうですね。それなら、ここで一気に畳み掛けます。サタールさん、力を貸してください!」



 ……なッ……!

 コイツ、ここでサポート権を使いやがった、だと?


 クソ、騙された……。なにが「ピンチの時に使う」だよ……!

 全然普通に使うじゃねぇかッ!



「―――ほいよ、大将。すまねぇな……一時的に敵になることをお許し願うぜェ?」



 そう言いながらサタールは、フィールドへやってくる。

 もちろん、装備品は訓練用の鉄剣だが……それでも脅威には他ならないだろう。



「チッ……3対1、か」



 俺は、少しだけ絶望していた。

 こんなん、勝ち目はあるのか……?



 まず、サタールが居る5分間を耐え凌ぐ。

 そしてその後また、武器無しの状態で皇兄妹を相手しなきゃならない。


 う……む、どうしようか、これ。



「最初から全力で行くぜッ! ―――『鬼神化』ッ!」



 そうこう考えている内に、サタールは『鬼神化』で己を超強化していた。


 まずいな……いよいよもって勝ち目が薄くなってきたぞ……?



「さあ、兄貴ッ! 俺たちに勝ってみてくださいッ!」



 そんな、確かな煽りを受けて俺は。




「いいぜ……? この状況を打破してやるよ……」



 と、何にも策が無いのに、煽りに乗ってしまったのだった。



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