case.11 猿王神降臨
リステが好きすぎる今日この頃
爆炎の間に到着した。
見ると、マノンが困った様子でこちらを見ていた。
そんなマノンの目の前には、掌の上に雷を出しているゼリドが居た。
「アアアァッ! 私はッ! 我はッ! 何故?! どうして!?」
やはり、突然変異したかのようにキャラが変わってしまったようだ。
まだ頭を片手で抑えながら、唸っていた。
「お、おいジジイ! なんだテメェ、いきなり現れて突然叫び始めて!」
どうやらマノンも相当困っているようだ。
正直割り込みたくないが、行かないと始まらないもんな。
はぁ……。
「あー、おい。ゼリド?」
「貴様はッ! 魔王ッ! 魔王魔王魔王魔王魔王魔王魔王魔王魔王ォォォォォォォォッ!」
俺を見るなり、突然身体に雷を纏いながら殺意を剥き出しにしてきた。
本当に、どうしたというのだ……?
今までのゼリドとは何となく雰囲気が違うような……というか違いすぎるような……。
特に深い関係では無いのだが、何となくムカつくヤツだとは分かってきた。が、今のコイツはまるで理性のない獣のような、そんな感じがする。
「クソッ! クソクソクソクソクソクソクソクソッ! アァァァァァァァァァァァァダムゥゥゥゥゥゥゥッ!」
アダム……?
コイツ、まさか……?
いや、だがまさかそんな事は……。
「神も魔王も何もかも下らないッ! 消えろ消えろ消えろ消えろキエロッ! “猿神之絶雷”ッ!」
俺が考え事をしている最中に、ゼリドは雷を放ってきた。
突然放たれたので、俺は対応に少し遅れてしまった。
のだが、
「“無魔の境地”ッ!」
目の前にマノンが現れて、その雷をその身で全て受け止めた。
「マノンッ! 無事かッ!?」
「クハハハハハハハハッ! 神の雷を受けて無事なワケがあるかッ!? クハハハハ……ヒ……?」
高笑いを続けていたゼリドは、ある光景を見てその高笑いを突然止めた。
「アァ痛ェ……なァ!」
それは、シンプルに立ち上がるマノンを見て事だった。
「何故、何故生きているッ!? 我の……神の雷を受けて生きているのだッ!」
神の……?
と、いうことはやはり……!
「神だか雷だか何だか知んねぇけどよ! ウゼェんだよッ! いっぺん爆死しろ! “爆発炎魔”ッ!」
マノンは問答無用でゼリドに向けて魔法を放った。挨拶代わりの爆発炎魔だ。
「グァァァァァァァァァッ! クソ! クソ! 老害め……我が本体なら、こんな事には……ッ!」
……やはり、そうだったか。
もう今の言葉で確信した。
やはりコイツは……ゼリドではない。
「なあ、お前は―――」
そう、聞こうとした時だった。
「もういいッ! クソ共がッ! 我の本体を喚ぶッ! 生贄は十分揃った……今こそ主神の儀を行う時だ!」
主神の……儀ッ!?
まさか、コイツ……ッ!
「クハハハハハハハハッ! さあ、来たれ……我が肉体よッ! もうこんな老害の身体とはおさらばだッ!」
刹那、ゼリドの身体を一筋の光が包み込む。
そしてその光はゼリドの後ろにも放たれ、さらに真上に伸びる光も勢いを増す。
後ろに伸びた光から黒い粒子が流れていき、その粒子はそのまま真上へと流れていく。
「これで、全ての準備が整ったッ! さあ今こそ降臨の時だッ! 我が名は……我が名はッ―――」
ゼリドを包み込む雷が、さらに勢いを増す。
空には黒い雲が埋め尽くされており、そこからも雷の鳴る音がしている。
「我が名は猿王神ハヌマーン……偉大なる十二神将が一人であるッ!」
光が……雷が収まり、目がなれてくる。
目の前には、もう既にゼリドはいなかった。
代わりに居たのは……
「お前が、猿王神ハヌマーン……?」
まず巨大な身体が目に入った。
次に、辺りを覆う強烈な落雷と黒雲が。
最後にハヌマーンの、その醜い顔が。焼跡や顔の様な歪み。とにかく、醜いの一言が十分過ぎるくらいだった。
「その通りだ……我が猿王神。貴様は、魔王だな?」
「ああ、だったら何だ」
「魔王……魔王、か。創造神サマのご命令でな……貴様を殺させてもらう……そして、そして我のこの身体を……何よりもこの顔をッ! クハハ……クハハハハハハハハッ!」
創造神サマ……やはり、そうか。
俺の予想は、全て正しかったのか……。
「さァさァ……おっぱじめようか?」
巨大な猿の様な身体で、その掌の上に雷を出しながら……コチラを見て不敵に笑っている。
「マノン……いけるか?」
「おうとも。魔王こそ、俺についてこれるかァ?」
「フッ……ほざけ。俺を誰だと思っている? あまり俺をナメるなよ」
「じゃあ、頼むぜェ?」
マノンは異空間から一本の杖を取り出した。
赤い赤い……燃え盛るような杖を。
「ほれ、魔王! お前も武器を出しな!」
「……ほいよ」
俺は、マノンに言われて異空間に収納していたアレを取り出した。
“魔改造シリーズ”第二弾。
弓の次は……もちろん“杖”だ。
“ケーリュケイオン”、“ヴァナルガンド”という神話の杖を俺の病を患っていた時代の記憶を引っ張り出して、それを創ってみた。
それがこの杖、“黒神覇杖”だ。
杖に関しての知識は、ほぼ無かったのでもうとにかく名前だけ思い出して、弓の時同様に自分のその武器に対するイメージだけで何とか創り上げた。
そしてその出来た二つを、合体させた。
それで出来たのが“黒神覇杖”だ。
これも見た目がカッコいいから創ったが、特にそれといって何か特別な事が出来るようになるわけでもないし、なんならコッチは急ピッチで創り上げたせいで、バフデバフの付与が出来ていない。
まあ、魔王としての威厳を持たせるための飾りみたいな物だと認識してほしい。
「おい、魔王……」
マノンが、俺……の持っている杖に熱い視線を送っていた。
このパターンは……見たことあるな。
「ああはいはい、欲しいんだろ? 後で作ってやるから、今は目の前の戦いに集中しろ」
「うおおおお、マジか! やっべぇ! めっちゃやる気出てきたわ! おーし、早くブッ潰すぞ!」
こんなんでやる気出していいのか……?
ま、まあ本人がやる気になっているからいいのか。
「待たせたな、神ハヌマーン」
「フッ、構わんさ。それよりももう準備はいいのか?」
「ああ、十分だ」
「そうか……なら」
その言葉で俺とマノン、そしてハヌマーンは少し距離を離していく。
そして俺は杖をハヌマーンに向けながら、言った。
「―――勝負開始、だ」
明日は夜です
定着させていけ〜?




