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case.4 蹂躙

―――過去とは違う、真の魔王の降臨。






「突撃ィィィィィッ!」



 魔王軍おれたちの土地に上陸し、船に乗っていた戦士達が全員降りきる前に、突撃宣言が聞こえた。

 えっと、バカなのか?


 窓から見ると、降りた戦士から次々と俺達のいるこの魔王城に突進して来ている。


 さて、先頭集団はもうすぐ“地獄の落雷ゾーン”に差し掛かるぞ!



 存分に味わえェェ!




「「「ギャァァァァァァァ!」」」



「「「グァァァァァァァッ!」」」




 よし、まず第一のフィルターは起動した!

 何人か抜け出して来ていると言う事は、そいつらはかなりの強者であるか、もしくは魔法に対する何らかの“抵抗力”を持っているという事だ。


 そして、先頭集団が“招王雷しょうおうらい”によって倒れていくのを見た、後続集団は一度体制を立て直し始めた。


 見ると、どうやら数少ない魔法使い達に抵抗魔法をかけてもらっているようだった。

 その証拠に魔法をかけられた戦士が、次々と“招王雷ゾーン”を突破していく。



 ふむ、少しは頭が回るようだ。

 それに流石は戦帝国といったところか。俺の“招王雷”を抵抗レジスト出来るだけの魔法を使える魔法使いを連れてくるとは。



 フッ、そうでなくてはな……でなければ面白くない。



 さて、“招王雷ゾーン”を抜けた戦士達は様々な方法で城内へ侵入しようと試みている。



 城壁を登ろうとしている者……これは“壁雷”が発動して壁から落ち、そのまま水堀へ落下。

 するとどうなるか、答えは“死”だ。


 水面に張った“招王雷”が発動し、そのまま痺れされる。そして水中では“骨魚ボーンフィッシュ”が大量に居るため……。



 これ以上語るのはやめておこう。



 そしてそれを見て、シンプルに城門を通ろうとする者。

 これは初情報になるのだが、城門にはマノンの作った風魔法発生装置……つまり巨大送風機を設置してあるので、どうなるかというと……



「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」



 ―――ボチャン



 ―――ビリビリビリッ!



 水堀に落ちて、“骨魚ボーンフィッシュ”に喰われる。そしてデッドエンド。



 さあ、戦帝国の戦士たちよ。この布陣はどう突破するのか、見せてもらおうじゃないか。



「ほう、なるほど……」



 今度も魔法使いが活躍している様だった。

 詳しい魔法名は分からないが、魔法をかけられた戦士たちはゆっくりと、確実に城門の中へと入って行った。

 あれは、風魔法を抵抗レジストする魔法なのか……それとも、自分の身体を重くする系の魔法なのか。


 詳しくは分からない。だが、ここも突破されてしまった。



 さあ次は剣と大砲のカーニバルタイムだ。



 城門を突破してきた戦士達は、そのまま城内へ入るべく、全速力で駆け出し始めた。

 恐らくトラップを警戒しているのだろう。だが、もう遅い。 


 既に貴様らは、俺の術中にハマっているのだよ!



 どういうことかって?そんなの簡単さ。


 空から、壁から、地面から剣が戦士達を襲う。

 何とか避けようものなら、自動追尾型のレーザー大砲がそいつを狙い、さらにどこかしこと構わず乱射される鉄球発射型の大砲。


 ここを突破するには全身が強固な障壁バリアに包まれてないと、進めないだろう。



 おっと……どうやら早速気づいたようだ。

 先頭集団の何名かが、自分を包む丸いバリアを張ってゆっくりと進み始めた。


 しかし、その魔法を使える者が少ないらしく、そういう奴らはどんどんとふるいにかけられていく。



 さて、それはともかくとして、第三のフィルターも突破した奴らは次々と城内へ侵入していく。

 大体100人位か?正確な数は分からないが、見た感じ、そのくらいだろう。



 続いては第四のフィルター、甲冑虫兵ガーディアンズのお時間だ!


 作戦通り、“戦士”職の甲冑虫ガーディアンと“騎士”職の甲冑虫ガーディアンを一体ずつ組ませたペアを50組作り、城内を徘徊させている。

 

 マノンの偵察魔法で、その様子を見せてもらっているがなかなか面白いことになっている。


 十名程はとっくに負けて死んだみたいだが、頭のキレる奴は、仲間の死を見てから学び、そして戦士4人くらいでパーティーを組み始めた。


 4対2。それにここまで生き残った奴は相当の実力者という事になる。

 つまりは……



「グギ、ガガガァ……」



 甲冑虫ガーディアンが次々と切り倒されていく。

 しかし、甲冑虫達も負けじと何人も殺していった。

 だが最終的には鬼達の方が有利のようで、このゾーンも突破されてしまった。



 さて、そろそろ俺達の出番……か。



「皆、そろそろ出るぞ」



 俺は、後ろを振り返らずに自らの従者達に呼びかける。

 それに配下は応える。自らの主の命だ。



「了解、ようやく俺っちの出番ってかァ?」


「了解しました。それにしても……今回の襲撃で見直す点が結構ありましたね……」


「おっし、やっと俺の魔法が火を吹くぜ! ヒャッハァァァッ!」


「主様の為ならば。どんな時でもそばに居ますからね?」



 さあ、そろそろ突破してきた戦士達がこの最終防衛ライン、《決戦の間》に来る頃だろう。




 ―――ダァン!


 勢いよく扉は開かれた。


 予想通り来たな。数は……1、2……



「なんだ、たったの50か。ぴったり半分殺られたんだな」


「なッ……! 貴様ら化け物か! 7000も居た我らの軍勢を一瞬にして殺すなど、人の所業ではないぞ!」



 一番前に居た、一番ゴツい格好をした鬼戦士が声を荒げた。


 そいつに合わせるように、生き残った戦士達も「そうだそうだ!」と声を上げた。



 どいつもこいつも……アホなのか?

 本当にしょうもない。



「クソが……人の領地に勝手にズケズケと踏み込んできて、数千の死体を撒き散らして、ルシファルナの配下の虫たちを何体も殺して、それで挙げ句の果てには俺達のことを『化け物』呼ばわり。もううんざりだ、いいから早く死んでくれないか?」



 心の中で思っていた事がそのまま言葉になって出てきてしまった。

 が、まあいいだろう。


 多少の威圧にはなるはずだ。



「クッ、ひ、人の領地だと! ここは我々の領地だぞ!」



 ……ハァ?いい加減もううんざりなんだよ。



「寝言は寝て言え。ここは俺達の為に、海王ムルが作ってくれた、俺達の領地なんだよ。勝手にお前たちのモノにするな」


「そ、そんな筈はない! ハヌマーン様がそう仰ったと帝王ゼリド様が!」



 ハヌマーン様、帝王ゼリド様、ねェ。

 それがどうしたよ。現にコイツらはこうして俺達の城をめちゃくちゃにしながらやってきたんだから。



「煩い。もう黙れ。いいから早く終わらせるとしようか。お前たちの出番だ―――」



 ―――パチン!

 俺は指を鳴らした。


 これが、“死の合図”。死刑宣告と同義の行動だということは、さっき伝えたこの4人しか知らない。



「―――全てを切り裂く、最強無敵の剣鬼サマたァ俺の事よ。邪を撃ち滅ぼし、魔を突き進む……それが俺の流儀ッ! 故に俺はテメェらと、その主を斬り伏せる! 俺の名前はサタール、魔帝八皇の戦士枠にして、【憤怒】を司る大悪魔サタンの子孫! 冥土の土産に教えやるぜ。お前たちはこの後すぐ……死ぬぜェ?」



「―――私は魔族が守られればそれでいいのです。それが、我が先祖……ルシファー様の思し召しだから。私は魔帝八皇の言霊師枠、【傲慢】を司る大悪魔ルシファーの子孫……名をルシファルナと申します。そして、幻惑の蟲使いでも有ります。貴方達はこれから、真の恐怖を知る事になるでしょうが、どうか長く愉しませて下さいね?」



「―――俺ァマノン! 全てをブチ壊す破壊の神だ! ……知らねぇがな! 何でもいいが俺は早く新技を使いたくてウズウズしてんだよ! いいか、覚えておけ! 俺の名前はマノン! 魔帝八皇の魔法使い枠で、【強欲】を司る大悪魔マモンの子孫らしい! テメェらが簡単に死なねぇ事を期待するぜ!」



「私はルイン。魔王ルミナス様の、最初の従者にして、永遠の従者。故に、主様に敵対する者は私が滅ぼし、主様に好意を持つ者も、ついでに滅ぼします。……私に位は有りませんが、魔帝八皇の暗殺者枠……です。―――主様を怒らせた罪、重いですよ? 覚悟して下さいね?」




 これで……場は整った。

 後は俺を残すのみ。


 俺は手を広げ、声高々と宣言する。



「我は魔王! 魔王ルミナスである! この世界の全てを支配し、魔族が虐げられない世界を築き上げる者である! いいか、愚かなる鬼共よ。俺に歯向かった事、必ず後悔させてやろう。貴様らは俺の……俺の―――傀儡くぐつとなるのだ。未来永劫、な?」



 さあ、蹂躙パーティーの始まりだ―――

ツイッターでの告知通り、明日から約一週間お休みをいただきます!

【9/1(日)〜9/8(日)】


活動再開は、【9/9(月)】からで、更新タイトルは【転生魔王】になります!


お休み理由は、ストックを溜めるためです!

少しの間、お待たせしてしまうことになりますが、どうかお許しください。なるべく毎日投稿したいので、その為の準備期間ということで……!


それでは今日の夜20:00にまた!更新タイトルは【フラメモ】です!



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