case.2 建国、開始!
眠いですね〜……
護王国シュデンでのあの壮絶な一件の後、あれから気づけば一週間も経っていた。
その間、皆は日々ぐーたらな生活を送っていた。
しかし、そんな事をするのは今日で終わりだ。そろそろ動き始めないと、予定に支障が出る。
「よし、お前たち! 集合だ!」
俺が城内で、そう叫ぶとルインを始めとしたパーティーメンバーが全員会議室へ集まった。
これぞまさに王の号令である。
……全員、すごい眠そうだ。みると半目の奴も居る。サタールだ。
ちなみに今は朝である。
「すまないな、こんな早くから。そろそろ、行動を開始しようと思う」
ベルゼリオとアスモフィには、これからラーゼとシュデンに行ってもらって、王様になってきてもらう。そうして、実質的な俺の支配下に置くために。
「なるほど。確かにな……。早く終わらせるとするか」
ベルゼリオがそう答えた。
そしてアスモフィも、
「私も早く終わらせることにするわ……早くルミナス様とイチャイチャしたいもの……」
と。コイツは、もう包み隠す気がねぇな。
これが平常運転となってしまった。
「よし、それじゃあ準備が出来次第向かってくれ。頼んだぞ! 褒美も用意しとくからな!」
俺は早速2人を送り出そうと、言葉をかけたのだが、俺のその言葉を聞いて2人の目は輝きを放ち始めた。
「褒美、だと。これは俄然やる気が出てきたな。ククク……クハハハ……ッ!」
「うふふ、うふふふ。何して貰おうかしら。アハハ、アハハハ!」
2人ともキャラが急変し、背筋が凍るような言葉を残して転移していった。
余計なこと……言ったかな……。まあ、それがやる気になるなら、別にいいか……。
「さて……残ったメンバーだが」
見回すと、ルイン・マノン・サタール・ルシファルナ・リガーテ・リガルテ・レオンの7名が居る。
ちなみにレオンと一緒に居たダレスは完全に死んでいて、この男だけ連れてくることにした。
とりあえず今は、意識が全くない人形モードにしてある。
俺は、この残ったメンバーの中のリガーテ、リガルテの方を向き、そして“あの事”を伝えることにした。
そう……レヴィーナの事だ。
実は話すタイミングを見失って、まだ話してなかったのだ。
「リガーテ、リガルテ……聞いてくれ」
「はい、何でしょうか」
リガルテが俺に応えた。
俺は一息置いてから、その話を始めた。
魔帝八皇の一人、【嫉妬】の罪を冠する妖精族の弓使い、レヴィーナ。
彼女が、俺たちの前に現れた……ということ。
彼女が別れ際に放った言葉、「森ノ大国」「神に気をつけろ」……これも一応伝えた。
するとリガルテは涙を流しながら、言った。
「……そう、でしたか。あの、魔王殿……」
言いたい事は分かる。想像できる。
きっとこう言うだろう。
「妻に……レヴィーナに会いに行ってもいいでしょうか……?」
と。
やはりな。
その問いに対する俺の答えは決まっている。
勿論……
「いいぞ。リガーテと2人で、行ってこい!」
「あ……ありがとうございますッ! おいリガーテ、早く行くぞ!」
「えっ、ちょ、父さん! あっ、待って! 魔王様ぁぁ、またすぐ帰ってきますからぁぁ!」
俺の答えを聞いてリガルテは、息子のリガーテを引っ張って飛んでいってしまった。
向かう先は、当然《森ノ大国》だろう。
「行ったな……さて、これでだいぶメンバーが減ったか」
残ったのはルインとマノン、サタールとルシファルナの4人だ。使い物にならないレオンは数に入れてない。
「で、残った俺達ァ何するんでい?」
「ああ、そんなの勿論……」
ああ。ここから、歴史が始まるんだ。
「―――俺達の国を、造りに行くんだよ」
■
「やっと来ましたね……? 待ってたんですよ!」
開口一番叱られてしまった。
相手はムルだ。
転移先は海底都市リュグウにしたのだが、何故か海底ではなく、地上に出ていた。
……地上?
「おお、おおおお! すっげぇ!」
陸が、出来ている!
しかも結構広いし!
「魔王様に喜んでもらうために、私頑張っちゃいました!」
「ありがとう!ありがとう!」
うわぁ……これだけ広いと色々作れそうだなぁ。
どうしようか。
「もう、私の『扇舞』スキルが無かったら―――」
「おい大将! これァ俺達の領地か!? これからここに何かを造るんだよな!?」
「ああそうだぞサタール! これからお前には力仕事を頑張ってもらうからな!」
「ふぉぉぉぉぉ! すげぇすげぇ!」
「は、はしゃぎ過ぎですよサタール……。わくわく」
「なんでい! 軍師サマ! アンタもわくわくしてんじゃねぇか!」
「……魔王様……私に現場監督をさせて下さい……!」
「って無視かよ!」
「アハハ、仲いいですね皆様」
「あぁそうだなぁー! てか俺も色々つくりてぇぞ!」
「私もです! 主様との愛の巣とか、主様と一緒の家とか……えへへ、楽しみです!」
「よーし! やるぞー!!!」
「「おー!!!」」
ムルの話なんて、誰一人聞いちゃいなかった。
勿論、そんな態度を取られればムルだって、
「おこですよ! 消しますよ、この陸地ッ!」
扇を構えて、威嚇大勢に入ったムル。
流石にこれはマズイと思った皆は、止めに入る。
「まあまあまあまあ」
「ムル様落ち着いて下さい!」
「ああそうだぜ神サマ! そりゃ無いって!」
「え、ええ。我々が悪かったです、ですので、どうかお許しを!」
「アッハハ! オメェら何謝ってんだよ! アハハハ! 面白え!」
マノン以外のメンバーが、土下座をする。
ムルは、仕方ないと、許してくれた。
「はぁ、それじゃあ……私は帰って寝るわね。何だか疲れちゃった」
そう言い残して一瞬で消えるムル。
やっぱり転移魔法は便利なんだな……。俺も覚えよ。
「んじゃあ、俺達もぼちぼち始めますか!」
「おう、それでまずは何から始めるんだ?」
「そりゃ何って……城でしょ城。俺達の、俺達だけの城を造るんだよ!」
そう。まずは城だ。城から始めようと思っていた。
これは、完全に俺の好みを詰め込んだ、完全なロマン城にしたいと思っている。
「俺は、設計を考えることにする。勿論手伝うが、メインの力仕事はサタールに頼みたい。いいか?」
「勿論! 俺に任しときなァ!」
「では、私は全体の構成を考えながら、スキル『蟲繰』で、皆さんの補助をしましょう」
スキル『蟲繰』……。この前の虫の軍隊はそのスキルだったのか。
しかし、虫が手伝ってくれる……ってどういう事なんだろうか。でも、その虫の力によっては、完成のスピードが変わるだろうからな。
結構大事かもしれない。
「じゃあ俺も力仕事するぞー、任せとけー!」
と、後ろではマノンも張り切ってるようだ!
よしよし、これで少しは早くなるか。
「では、私は主様のサポートを。頑張りましょう、主様!」
ルイン……。そうだな、これで体制は整った。
まずは城作りからだ!
「いっちょやりますか! まずは俺の魔王城建設だ!」
「「「おぉぉお!」」」
こうして、俺達の魔王城建設始まったのだった。
ほんとに夏休みが終わりそう




