case.20 神の行方
明日からは、夕方と夜の更新になります。16:00と20:00です!
「いや、待て。そもそもがおかしくないか?」
ベルゼリオが、そう言った。
一応、ベルゼリオには気絶していた間の事も話したのだが……。
一体、何処がおかしいと言うのだろうか。
「どういう事だ?」
俺より先に、マノンが聞いた。
ベルゼリオは頷き、自分の考えを話し始めた。
「もし仮に、だ。お前たちの言う通り、主神の儀が行われ、“偉大なる存在”が5つ生贄にされたとする」
「まあ、それが実際に起こった話だしねェ」
「ああ。そしてその“偉大なる存在”……今回は魔王ルミナス、側近ルイン、【色欲】のアスモフィ、転生者のレオン、ダレス……だったな?」
「それで、間違いない筈だぜ」
「他には……他には何か生贄としていたか?」
ベルゼリオがそう言った。
他に……?
俺は思い当たる事を、とりあえず話して見る事にした。
何か、ベルゼリオには考えがあるようだし。
「っと……あぁ、そうだ。ありゃ、ゼウスが降臨した後だったんだが、アーサーとマーリンの野郎を喰っちまったんだ」
「アーサー王と、マーリン殿を? ……フッ、なるほどな。全て繋がったぞ―――」
一人で解決して、一人で納得してる様子のベルゼリオ。
勿論気になるので、俺とマノンは言った。
「一人で納得してねぇで俺たちにも教えろよ!」
「そうだぜ糞騎士野郎」
と。
ベルゼリオは「ああ。」と一つ返事で答え始めた。
「俺の考えはこうだ。まずあのゼウス神……あれは完全に偽物だ」
「アン? だから、そりゃ本物がどっかに居るんじゃねェのかよ」
「違う。そうじゃないのだ。あの神を降臨させる儀式……《主神の儀》その物が偽物だったのだよ」
……?一体、コイツは何を言ってやがるんだ?
「安心しろ、ちゃんと説明する。まず、今まで不思議に思ってた事がいくつかあるのだが、もし仮に、俺の考えが正しいと仮定すれば、全てに納得がいくのだ」
「不思議に思ってた事?」
「まず一つ……“偉大なる存在”の他に、共に降臨する天使たちの為の生贄……つまり、大量の魔族の死体が必要なのだが、それが今回は無かった。その証拠に、天使たちは現れてないだろう?」
ああ、確かに。言われてみれば、だな。
「二つ……本来神というのは、無差別に人を喰ったりしないのだ。それが、高位の神である程……な」
「だが、そんなの保証が無ェじゃねぇかよ」
「……まあ確かにな。これは文献上の話でしかない。次に行く」
そう言ってベルゼリオは話を進めた。そして、3本の指を立てる。
「三つ……あの神が異様に弱かったという事だ」
「ああ、その事かい。それに関しちゃ、俺も気になってた」
「詳しい事は、真偽を確かめなければ分からない事だが、一つ俺の中で結論が出た。これならば、可能性が高い」
「おいベルゼリオ! それは一体何だ!」
マノンが焦るように聞いた。
ベルゼリオは一息置いてから、話す。
「それは……あの神の正体は―――」
ゴクリ……。全員、唾を飲み込み、静かに次の言葉を待つ。
やがてベルゼリオは言った。
「―――恐らく、あの転生者達だ」
……ハァ?あの男達が、ゼウスの正体だって?
「ッ……おいおい、どういう事だよ」
「スキル『掌握』……一種の洗脳系スキルだ。それに『甘毒脳殺』……あの二人なら、やれるのだよ。この一連の流れを……」
「だけどよォ、転生者も生贄にされてたんだぜ? それを一体どう説明するってんだよ!」
「簡単な事だ。彼らにとって、やるべき事というのは2つ」
ベルゼリオは2本の指を立てながら言った。
「一つ、魔王の排除。彼らは魔王に打ち負かされそうになって、相当な恨みを持っていた。『私が来なければ殺されていたぞ』、『何故早く助けにこなかったんだ』、『あの魔王、絶対に俺が支配してやる』と言っていたのでな」
ひゅ〜、逆恨みも良いところだねェ。
元はと言えば、オメェらが始めた事じゃねェかよ。
「そして二つ……これも似たような物になるのだが、アーサー王とマーリン殿を排除すること……だ。こっちは、上から物を言われてイライラしていたようなのでな」
……理由がちっちゃいんだよな……。
そんな理由で騒ぎを起こされていたのか。
何かイライラして来たぞ。
「まだ、確定では無いが。これが俺の考えだ。どうだ、聞いていたのだろう? 転生者共―――」
ベルゼリオは、自分の後ろ……家の(残骸)の横の草むらに向けて言葉を放った。
まさか、そこに転生者がいんのか!?
ヤベェ、全く気が付かなかったぞ……
「バレて……いたのか……」
ガサガサッ!という音と共に、男が二人草むらから現れた。
「それで……今の俺の推論は全て正しいのだな? 証拠は貴様ら自身だ」
「……ああ。正しいさ。正しいとも。流石だと言わざるを得ないよ。ベルゼリオ殿……」
転生者……レオンは、一本の剣を取り出し、こちらへと歩み寄ってくる。
その顔や、腕には、いくつかの切り傷があった。
「さっきは、どうもォ? 俺に何度も何度も傷を入れやがって……」
傷を……俺が?ってこたぁ、やっぱりコイツらが……。
「もう手加減はしねェ。目的は全て達成された以上な―――」
……ッ?!目的が、全て達成された……?
まさか……まさかな。
ベルゼリオの仮説が全て正しいのだとしたら……コイツらの目的っていうのは……
「安心しろ、お前らの大将は滞りなく殺した―――」
は……?
おいおい、嘘だろ?
大将が、死んだ?
「……お前ら……ブッ殺す……」
マノンが、怒りを顕にして前へ歩み出た。
やっぱ、皆大将の事が絡むと……おかしくなっちまうんだな……。
それは……勿論。
俺も例外じゃなくな……ッ!
「おお怖い怖い。一体誰の前に立っているのか、一度思い知らせてあげましょう」
レオンは、戦闘態勢に入った。
隣にはいつの間にか、ダレスも立っていた。
こりゃ、本気でいかせてもらうしかなさそうだねェ……!
「マノン、ベルゼリオ……本気で、いけるか?」
俺は両隣に居る二人に問う。
この男たちは、本気で殺す。
「勿論だ。俺は魔王に思い入れなど無いが、お前たちの怒りは、嫌というほど肌で感じるのでな。俺も本気を出させてもらおう」
「俺も……ちょっとムカつくからよ。本気でブチかまさせてもらうぜ」
よし……2人共、準備万端みたいだ。
こりゃ、速攻で終わるかもねェ……?
「さぁ……始めようか。我ら転生者の力……その本気を見せてやる……!」
「なら、こっちも見せてやるよ……魔王軍の本気、ってやつをなァ……!」
是非拡散よろしくお願いします!




