case.18 神の裁き
―――遂に、アイツも参戦します。
「誰に刃を向けているのか、解るのか? 鬼の子よ」
うっ……やっぱ怖えよ。
神相手に調子乗りすぎたかァ……?
「わ、わかってらァ!」
俺は自らを鼓舞する様に、言った。
「おい何動揺してんだよ。今更ビビってんじゃねぇ! 魔王を助けんだろ!」
「うるせぇな、怖えモンは怖えんだよ!」
目の前には神が。
隣には頼もしい相棒が。
後ろには眠っている糞騎士が。
そして、あの神の中には我らが大将達が居る。と、マノンが言っている。だから俺はそれを信じて戦う。
「愚かな。我に刃を向けたこと、必ずや後悔させてみせよう」
俺のスキルは、戦士固有スキル『身体強化』とさっき使った『鬼神化』、それに『剣鬼』という3つのスキルを持っている。
魔法は回復魔法以外使えない。
一応、自分の手当てができる様に、この隣に居る女に鍛えてもらったんだ。
「こっちこそ、俺らに本気を出させたことを後悔させてやるよ……」
「おっ、良いじゃねえか。ノッてきたな!」
えっと、そういえばコイツのスキルって何だったかなァ。
気になった俺は、すぐにマノンに聞いた。
「おい、マノン。テメェ、何のスキルを持っている?」
「アン? スキルだと……? 俺のは固有スキル『魔力回復』に、『獣神化』……それと『究極魔道』に『空間支配』の4つだな」
『獣神化』ってのは、俺の『鬼神化』と似たような物だ。
己の潜在能力を全て引き出し、全能力値を限界まで引き上げる。それに伴い見た目も、大きく変化する……というスキルだ。それに、このスキルを使用している間は、専用スキルが種族ごとに解放される。
鬼族なら『未来視』というスキルが解放される。
これは文字通り、1番近い未来を、“1度だけ”見ることが出来るスキル。
物理の俺と、魔法のマノン。
どうにか、上手いことやりゃ……勝てるかもなァ……!
「もう、いいのか?」
俺達が話している間、律儀に待ってくれていたゼウス神。
それが、強者の余裕ってぇヤツなのかねェ。
「ああ。いいぜ。とっとと始めようじゃねぇか……」
「良いだろう。ではこれより、汝らを裁くとしよう。まず手始めにこれを受けてみよ」
そう言って、ゼウスは手を上に上げる。
「―――神雷」
ゼウスの手の上、そこに黒雲が現れ雷の音がする。
あれは魔法かい……?魔法なら俺達にゃあ効きゃしねェが……。
相手は神だ。あんまりナメない方がいいかもな。
雷の音が激しくなる。
そろそろ来るねェ……!
「マノン、仕掛けるぞ。最初っから全力で頼むぜェ?」
「おう、任せとけ。多分今の魔帝八皇の中で1番強えのは俺だからよ!」
「ヘッ……言ってくれるじゃねぇか! おら、来るぜ!」
溜まっていた雷が落ちてきた。
ただ一点、俺達を目がけて。
俺達はそれを、走りながら躱していく。
「『身体強化』ッ……!」
さらに自分の身体に身体強化をかけることで、『鬼神化』による能力値補正を向上させる。
そしてゼウスの近くまで来たところで、高さを合わせるように、俺は天に飛んだ。
隣には、同じくマノンも来ていた。
「ヘッ……見せてやるぜッ! 『獣神化』ァ……ッ!」
マノンは『獣神化』を使ったようだ。
俺は『鬼神化』によって、見た目が身体中に棘の生えた鬼の様になったが、マノンはもうまんま狼みたいな見た目になっていた。
「行くぜッ! “八雲”ッ!」
鬼龍流剣術……俺と糞騎士が使う剣術流派。今までは何だかんだで使ってこなかったが、今回ばかりは出し惜しみなんてしてる場合じゃない。
左、右、左、右……連続に高速で斬りかかる技。これが“八雲”。
そして、俺の攻撃に合わせてマノンも攻撃準備を開始した。
「“高速詠唱”、“二重詠唱”、“魔法暴走”、“魔法障壁”」
アァ、一体この女は何を言っているんだか。
高速詠唱に二重詠唱、魔法暴走に魔法障壁。
全部文字通りの効果を持つ、補助魔法だ。どうやら準備は万端のようだな。
「まずは一発喰らえや……」
手に持つ杖に魔力が集中している。
あれは、マズいかもな……。
「フッ、愚かな。その程度の剣技で我に届くとでも思ってるのか?」
「んな訳ねェだろうがッ!」
俺は攻撃をする手を止め、ゼウスから離れる。
その直後、
「装填完了……爆ぜろッ! “爆発炎魔破獄裂破衝”ッッ!!!」
マノンから、全力の魔法が放たれる。
聞いたことのない魔法。それが超高速で超威力で、それに二重になって放たれた。
それが神を襲う。
「グゥゥッ……! 何だ……この威力はッ!」
届いている……!マノンの魔法が神にダメージを与えたんだ!
これなら、俺もやれる!
「ヘッ……そういうことかよ……! “敏速”、“見切り”、“鋭剣”、“無剣”……」
自分を強化する技を、マノン同様使用した。
鋭剣は、剣技の威力を上げる技。
無剣は、剣が無くても剣技を使えるようになる技。
そうして俺は、刀を握り直し、神へと向かって再び飛んだ。
「俺の全力も受けてみろ……! “破獄斬”ッ!」
両刀による、俺の全力攻撃。
しっかり、確実にゼウスへと斬りかかる。……よし、当たった実感はある!
さァ、どうだい?
「ヌゥゥゥッ……! 何故だ……何故!」
降臨直後で、身体が鈍っているのか、全く避ける動作を見せない神ゼウス。
ダメージは、通っている!
この調子でいけば……
「―――勝てるとでも、思っているのか?」
ッ……!何故、余裕ぶっている?
今の状況なら、明らかに俺達の有利なのに……。
「今この時を以て、手加減する事を止めさせてもらう。裁きの刻だ。貴様ら全員、地獄に落ちろ……」
手加減を止めるだァ……?
全く攻撃して来なかったくせに、何をほざいてるんだか……
「“天空神之絶対判決”」
そう、ゼウスが言った直後だった。
「ガァァァッ!」
突如、上から潰されそうになるような高圧がかかる。
「だ、大丈夫か?!」
マノンは、何ともないようで、これは俺だけにかかっている物のようだ。
「待ってろ……! 『空間支―――』」
「させぬ。“天空神之激昂”」
「ウァァアッ!」
ゼウスによって、マノンは吹き飛ばされてしまう。
「ガァァァッ…………ッ!」
その間も、俺にかかる負荷はどんどんと大きくなる。
マズい……マズいマズい!
このままだと、負けちまう……ッ!
「さぁ、死ね―――」
ゼウスが、死の宣告ともとれる言葉を吐き、手をかざした。
(もうダメなのか……ッ!)
俺とマノンが死を覚悟した、その瞬間だった。
「―――諦めるなッ!この馬鹿者共がッ!」
俺達の前に、無謀にも神に立ち向かう馬鹿が一人、増えたのだった。
「ベル……ゼリ……オッ!」
「―――勝つぞ、何としてもなッ!」
そういえばノアがしましたね。めちゃくちゃ使ってます。最高に強いです。あざす。




