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case.11 【暴食】の騎士ベルゼリオ(1)

―――ベルゼリオ戦開幕。

「着きました。ここが、護王国シュデンなのですが……これは?」



 “魔界之扉デモンズゲート”を使って、東に位置する竜と騎士の国、護王国シュデンへと転移してきた。……のだが。


 何か様子がおかしい。


 転移先は、シュデンの前……毎度の事ながら外壁前にした。そしてこれまたいつも通り、大きな門が通り道としてあるのだが、今回はそれを守る門兵が居ない。



(おいおい、これじゃ盗賊とかが入り放題じゃないか)



「何か、国内で事件が起きているのでしょうか」


「そうねぇ……あっ、もしかしたらサタールかもね」



 げっ。まさかな。いや、でも可能性はあるか。サタールとベルゼリオが争っていても、なんらおかしくないからな。


 もし本当に2人が街中で戦っているのだとしたら、早く行った方がいいだろう。



「ルイン、アスモフィ。俺は単独でサタールを探してみる。2人は一緒になってもらって、今から俺の頼むことを調べてきてほしい」



 俺は、転移するちょっとの間に考えた作戦の内容を話し始める。



「一体、何を調べるのですか?」


「レオンとダレスが何処にいるか、そしてリガルテの言っていた《主神の儀》に必要な“5つの偉大なる存在”というのが何か、その2つを調べてきてほしい」



 そう、今回のキーとなる事だ。アーサーやマーリン、そして本命のベルゼリオに関しては俺がどうにかする。そして残った問題はレオンたちと主神の儀の2つだ。


 だが、リガルテたちから聞けたのはその存在があるという事だけで、その詳しい情報はまだ分かっていない。


 だから、分かれて行動し、効率よく行こうという作戦だ。と、俺は2人に伝えた。



「なるほど。そういう事なら、そちらは私たちにお任せください!」


「うん、私もおっけーよ。でもルミナス様、ベルゼリオには気をつけてね? 彼の能力は―――」



 ベルゼリオの能力……『時間停止』の事か。まだ、実際に確定した訳ではないが、あの状況でレオンたちを回収できて、俺や能力の事を知っていたサタールたちが対処出来なかったとなると、ほぼ『時間停止』か、あるいはそれに類似した能力ということで、確定だろう。



「ああ、分かってる。それに、今回のサタールはガチっぽいからな。そんなに心配するな」 


「……分かった。おねえちゃん信じてるからね」


「フッ、任せろ」



 不安そうな目で見つめてくるアスモフィ。最近ずっとこの調子なんだよな……コイツ。恐らく、あの一件からだとは思うんだが。


 それに、ルインも大きく変わった。

 具体的にはその性格が。いつからかは分からないが、随分と逞しくなったものだ。


 最近はこの2人を見てると、俺の内に秘めたる母性というか、父性というか……そういうものが目覚めてきて、ダメになりそうだ。



「よし……それじゃあ、各自行動開始だ」


「「了解」」



 気を取り直して、俺たちは早速行動に移ることにした。


 ルインたちは何か思い当たる事があるのか、2人で足早に去っていった。



(さて……俺も動き始めるか……)



 正直、この世界に来てから休みなしに動いてるから、もうダルさが半端ないのだが……。それでもやらなきゃいけない事はやらないとだし。あーだこーだ言って逃げても自分の為にならない。

 それに、国を1から作るっていうのはすごい楽しみだから、それが終わるまではなんとしても頑張らなきゃいけない。


 まずは目先の目標から。そう自分に言い聞かせるように、頭の中で繰り返し唱えながら、街中で起きている騒ぎの中心地へと向かって走っていくのだった。






 少し走ったところで、サタールたちを発見した。やっぱりあの野郎、ベルゼリオと街中だっていうのに、派手に戦闘していた。


 周りの家は半壊状態、見えている魔力……というかこれはオーラに近いようなものの気もするが、そういうのがとてつもない状態になっている。

 ……というのに、すごい観客の量なのだ。そしてその観客を取り囲むように、鎧を着た……騎士が大きな盾を構えながら人々を守っていた。



(うーん……絶対避難したほうがいいんだけどな)



 俺はそう考えるが、実際これは建前だ。本心はこうだ。



(人が居ないほうがやりやすい)



 嘘をつく必要のない所で、何故か嘘をつく男、それが小さい頃からの俺の癖だったのだ。

 今回もそれが発動してしまったようだ。


 ……っとと、んなこと言ってる場合じゃないよな。


 俺は、行きたくないという気持ちを抑えながら、サタールたちの方へと歩いていった。





「なァ、おいコラ騎士野郎。いいからとっとと雇い主を吐きやが……れッ!」


「それは無理だと……言ってるだろうがッ!」



 ―――キン……と鳴る斬撃音。見ると、刀と剣を打ち付けあっていた。



「なァ、テメェまさかあの男に“洗脳”されてんじゃねぇのかァ?」


「そんな訳ないだろうが。あまり俺をナメるなよ。このクソ鬼が……ッ!」


「ンだとこのクソ騎士野郎ッ!」



 再び両者は、手に持つ武器を打ちつけようとする。

 俺はすぐさま飛び出した。



「―――そこまでだ。“双雷そうらい”」



 左右に大きく開いた両手から、それぞれサタールとベルゼリオに向かって、一筋の雷光線が放たれる。



「アァ!? “魔断”ッ!」


「チッ……“魔防”ッ!」



 しかし、これは2人とも刀と盾の技で打ち消されてしまう。



「おい……大将。邪魔すんじゃねぇよ……」


「フッ、魔王。また性懲りも無く現れたのか」



 おお、俺氏相当な嫌われようですな。

 ただ喧嘩を止めただけなのだが。



「……まあ、一旦落ち着けよ。もしこれ以上、街中でこんなことを続けるなら、俺も参戦させてもらうが」


「ああ? 好きにしろよ」


「……サタール。申し訳無いが、俺は一度力を示さなければならないようだ」


「ハァ?!」



 サタールを横目に、俺の方へと歩いてくるベルゼリオ。



「……魔王。あまり我らの戦いに水を差さないでほしいのだが」


「悪いな。だが、これは俺の偉大なる計画の完遂の為に、お前も必要なのだよ。だから、止めた。それだけだ」


「そうか。なら、こちらも抵抗はさせてもらうぞ。それに、サタールとの戦いを邪魔された怒りもあるしな」



 そんなになのかよ。なら決着がつくまで待ってれば良かったか?

 あーいや、でもそれだと駄目なのか。もしベルゼリオが負けたら、サタールにどうにかされそうだし。



「おい、サタール。俺が言う台詞じゃないかもしれないが、俺たちの邪魔をするなよ?」


「……アァ!? ふざけるなよ……それはこっちの台詞だッ! 俺は、俺はコイツと決着を……!」


「―――邪魔をするなよ」



 俺は、そう言いながら『支配』の能力を使う。今までは全くと言っていいほど使ってこなかったが、今回は使うしかないだろう。


 サタールの行動を支配する。俺と、ベルゼリオの戦いに決着がつくまで。




「『そこで大人しく見ていろ―――』」

今日も2回行動宜しくです!

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