epilogue
これは、支配の物語。
これは、未来を変える物語。
これは―――転生の物語。
「―――ああ。その方向で頼むよ」
『了解……っと。それじゃあ後の事は“俺ら”に任せて、お前はお前のやるべき事をやってくるといい。―――世界を、支配するんだろう?』
「当然。俺がこの世界を支配する。―――だからちゃんと俺が支配する世界が消えてしまわないように、“管理”しておいてくれよ?」
『任された。ってか俺らを誰だと思ってんだよ』
「……そうだったな。破壊神に―――創造神、だったな」
『そういう事だ。それじゃあな』
「ああ、またな」
◆
「―――主様っ!」
「おお、ルイン。ただいま」
「おかえりなさいっ! えへへ……久しぶりの主様成分補給です〜!」
「ちょ、いきなり抱きつくなって! は、恥ずかしいだろ……!」
城に帰ってくるなり、俺は出迎えられたルインに飛びつかれて服に顔を擦り付けられていた。
いい匂いがするし……顔が近いし……それに、む、胸も当たってるし……恥ずかしさを極めているが!?
「っと……そうだった。皆は今どこに?」
「あ、それなら皆さん出発準備を終えて、庭の方で待機していると思いますよ?」
「そうか。それならすぐに向かおう。ついでだから全員庭まで集めといてくれるか?」
「了解ですっ! ―――行ってきて。私の“分身”!」
俺がそうルインにお願いをすると、彼女は自分の分身を城内や街の中へと放った。
「それじゃあ俺は先に庭へ行こうと思うけど」
「お供します!」
「ん。分かった。なら行こうか」
「はいっ!」
■
庭へ向かう道中。
俺は一人、考えていた。
―――あの瞬間。俺はイヴを“支配”する道を選んだのだ。
イヴを支配して、再び“世界の管理者”としての道を歩ませる。そうして俺は、表から世界を支配して、完全な『世界の支配者』となる事ができたのだ。
正直な話、世界の管理者なんて責任が重そうでやる事も面倒くさそうな事はやりたくなかった。
し、どうやら俺に自由が無くなるらしいのでこの道を選んで正解だったみたいだ。
そして。
イヴを支配したことで、長く続いていたこの決戦にも幕が下ろされたのだ。
赤く不気味な空は再び、穢れを知らない純粋な青色に戻った。
俺はそんな空の下、支配したイヴを始め、今回の戦いで負傷した沢山の仲間たちの治療と、魔王城への移送を一人で行った。
それから数日後。
目覚めた一部の仲間には、新魔王軍結成当時から考えていた“あの作戦”を実行する事を伝え、その了解を得た。
他にも行く宛の無い仲間や、心変わりをした仲間には進路相談のような事をして、その人の今後を決定した。
そして現在―――
「―――おっと、大将のおな〜り〜、だぜ?」
「皆、待たせたな」
俺は、魔王軍関係者を城の外の庭へと集めていた。
ここで、とある事をする為に。
「全員、揃っているか?」
「ああ。確認したが、ちゃんと全員居るっぽいぜ?」
「それは良かった。それでは早速始めようか」
俺は言葉通り、早速それを始める事にした。
「―――まずは、始めに一言言わせてほしい。皆、本当にお疲れ様。そして、ありがとう。こうして世界が救えたのは、他でもない、それぞれ一人ひとりの力があったからこそだ。だから俺は何度だってお礼を言う。本当に、ありがとう」
心からの言葉だった。
何にも取り繕う事のない、素直な言葉。
俺は、コイツらに感謝してもし切れないのだ。
「そして。今回こうして皆をここに集めたのには、一つ理由がある。それは、俺がこの魔王軍を結成した当初からの目的を果たす為だ」
覚えている人の方がむしろ少ない気はしているが。
ただ、この世界の新たな向かう先として必ず必要な事だ。
だから俺は、告げた。
「―――この世界を、完全に俺の支配下に置くことにする。だが、当然だが俺はこの世界を崩壊させるつもりなんて一切無い。もちろん、いい方向に導く為の、“支配”だ。それだけは最初に理解しておいてほしい。その上で、話を聞いてもらいたいのだが」
この世界には、八つの国が存在している。
そう言えば、忘れている人も多くが気づくのではないだろうか。
そう。
俺は、そいつらを名指しで呼んだ。
「まずは。―――サタール。そしてラフィーナ。前に」
「うぃ」
「はい」
一人の鬼人と、青髪の天使が前に出てくる。
「お前たちには、《戦帝国フラウ》の王となる事を命ずる。まず、これに異論はあるか?」
「ねェよ、当然。その話をもらった時から、逆に楽しみで色々と妄想してたくらいだしなァ?」
「私も大丈夫です。ただ、お姉さまが一緒じゃないのは少し不安ですが……」
その返事をきいて、俺は一つ頷いて応えると。
「それでは、この瞬間をもってフラウは《鬼ノ国 イラ》と名前を変更し、その王としてサタールが就くこととする!」
「おう! 任せときな!」
そう高らかに宣言をし、俺とサタールは固く握手を交わした。
そして下がっていいぞと、アイコンタクトで伝えると。
「次はマノン! そしてウリエナは前に!」
新たな二人を呼んだ。
今度は一人の獣人と、小柄な天使が前に出てくる。
「さて、ここからは要領は同じだ。サクサクといかせてもらうぞ?」
「ああ。そうしてくれ。オレもサタールと同じで楽しみすぎてどうにかなっちまいそーだからよ」
「くくっ、お前らしいな。それじゃあ早速」
そうして俺は、先程の様に二人に新たな使命を与えた。
「お前たちには《魔導王国サルナラ》の王となる事を命ずると共に、国名を《獣ノ国 アワリディア》へと変更する事とする!」
「おっしゃ! これであのクソ親父をボコボコにできるぜェッ!」
「ちょっと……親子喧嘩はほどほどにしてくださいね……?」
そう言いながら下がる二人。
続けて呼んだのは、ベルゼリオとガブリエラだ。
「我が主よ。何なりと御命令を」
「私も準備はできてるよ〜」
前に出てきた二人に、俺は告げる。
「お前たちには、《護王国シュデン》の王となる事を命ずる。それと共に、国名を《龍ノ国 グラ》と変更する事とする!」
「ハッ。彼の国は私にお任せくださいませ」
「ああ、頼んだぞ。それじゃあ下がってくれ」
下がるベルゼリオ達に変わって呼んだのは、ルヴェルフェとラージエリだ。
「もう腹は決まったか?」
「まあね。あんまり向いてないのは自覚してるけど……」
「困ったことがあったらいつでも頼ってくれ。それじゃあ、始めるぞ?」
「うん、いいよ」
コイツにはある時期にとっても助けられたからな。
せめて最大級の感謝の気持ちを込めて、贈らせてもらおう。
「お前たちには、《死国ディブリビアゼ》の王となる事を命ずる。そして、その国名を《邪ノ国 アケディア》と変更する!」
「邪って……まあいいけど」
「いただいた大役……そして助けられた恩義。ここでしっかりと返そうと思いますね!」
「ああ。頑張ってくれ。それじゃあ次だ」
次はレヴィーナとラグマリアだ。
「お前たち二人には、《森ノ大国》の王となる事を命ずる。そしてその国名は、《妖ノ国 インヴィディア》と変更する事とする!」
「誰よりもデカい大国にしてやるわ。アンタたちがそれに嫉妬するくらい、とーっても大きくて栄えてる国を、ね」
「心残りはあるけど……ま、しょうがないわね。私も助けられた恩義、ここでちゃんと返そうと思います」
「二人とも、しっかり頼むぞ。あんまりデカくしすぎて他の国とのいざこざに発展しないようにな?」
ちょっとした皮肉を言って、二人を下げた。
さあ、残りは三つだ。
次に呼んだのはアスモフィとメタリアだ。
「よーし、お姉ちゃんは魔王様のお願いなら何でも頑張っちゃうわよ〜!!」
「はは、だいぶ張り切ってるみたいだな」
「もっちろん! さあ、どんと来なさい!」
「ああ、分かったよ。それじゃあ―――」
張り切るアスモフィに、俺は告げた。
「アスモフィ。お前には《聖皇国ラーゼ》の王となる事を命ずると共に、その補佐にメタリアが就く事とする。合わせてその国名は《聖ノ国 ルクスリア》と変更する!」
「よーし! お姉ちゃんにまっかせなさい!!」
「この子……割と暴走列車ね。私が手綱を握っておくから、アンタは安心して任せときなさい?」
「くくっ! ああ、任せるぞ!」
下がる二人を見て、俺は次の二人を呼んだ。
「ルシファルナ、ミカエラ。前に」
「私には資格が―――」
「まだ言ってるのか? そんな事」
「ですが……」
「いいから。俺は、“お前”にお願いしたいんだ。いや、お前じゃなきゃダメなんだよ」
「……ッ! あ、ありがとう……ございます……ッ!」
悩んでうじうじしているルシファルナにそう頼むと。
ルシファルナは少し涙ぐんだ様子で俺の目をしっかりと見つめてきた。
「それじゃあ、命じるぞ。ルシファルナ、お前には《中央商帝国アルマス》の王となる事を命じる。そしてミカエラ。お前は自身の申し出によりこれの補佐を下りることを許可する。
ミカエラは、俺の補佐としてこれから尽力してもらう事になるから、皆もよろしく頼むな。
そして国名だが、《義ノ国 スペルビア》と変更する!」
そう高らかに宣言する。
ミカエラは下がらずに俺の背後に、ルインと並ぶ形で控えてもらう。
「お願い、聞いてくれてありがとね」
「気にしないでくれ。俺も補佐は何人か欲しいと思っていたからな。それにルシファルナなら一人でももう大丈夫だろうからな」
「そう言ってくれると気が楽でいいわ。頑張るから、改めてよろしくね」
「ああ。よろしく」
俺はミカエラとそんな会話を交わすと、最後の国の王となる者を呼んだ。
「最後は―――勇者、皇白夜。そしてその妹にして巫女の皇月夜。前に」
最後はこの二人だ。
「アニキ―――」
「覚悟は決まってるか?」
「はい。俺みたいな未熟者に務まるかは分からないですけど……やれるだけやってみようとは思います」
「私もにぃをサポートします! だから安心して、命じちゃってください!」
「分かったよ。それじゃあ、命じる―――」
覚悟を決めた、二人に。
俺は新たな使命を与える。
「お前たち二人には、《無法都市ムウラ》の王となる事を命じ、合わせてその国名を《夜ノ国 カムイ》へと変更する!」
白夜と月夜。そして神の力を持った二人にはこういう名前がぴったりだと思って名付けさせてもらった。
「そして、リガーテ。リガルテ。お前たちにはベルゼリオの配下として加わる事を命ずる!」
「はい!」
「……多大なるご迷惑をおかけした以上、私には何にも断ることは出来ませぬ。了解致しました」
洗脳が解けて元通りになったリガルテの手綱はしっかりとリガーテに握らせておいた。
そして龍であるという一点において、ベルゼリオの配下として働いてもらう事にしたのだ。
続けて、
「スレイド。お前には今まで通り、師匠であるルヴェルフェの下で働いてくれ」
「了解ッス!」
これも特に理由は無い。
ただ師弟関係にあるというだけだ。
「そしてクサナギ、ムラマサ、マサムネ。お前たちにはサタールの下で働いてもらいたいが。異論は無いか?」
「ええ。師匠の下で働けるのならもちろん異論などありません!」
「俺も問題ないです!」
「我もな!」
良かった。
……と、さて。ここまで来たらあとは少しだ。
「アルジャイル王。貴方には白夜たちのサポートをお願いしたいです」
「ほほ。任せておけ」
「ありがとうございます。―――次にセラ。君にはアスモフィの下で働いてもらいたいけど、それで大丈夫かな?」
「はいっ! 問題ないですわ!」
「うん。ありがとう。―――そして最後に、エターナル・マザー。ビッグ・マザー。お前たちにはルシファルナの補佐として働いてもらいたいと思っている」
『うん。ま、そうなるよね。いいよ』
『任せておきなさい』
「ありがとう。そのまま流れで申し訳無いが、五老の方々にはレヴィーナのサポートを。そして余ったダルフィーネには俺の補佐をお願いしようと思う。皆、これに異論はないか?」
俺はそう問いかけると、五老の人たちは「大丈夫じゃよ」と応えてくれる。さらにダルフィーネに関しては、
「なんか私だけ扱いが酷くない!?」
と一人嘆いていた。
「あら。私たちはどうすればいいのかしら?」
すると、最後まで残っていた三名の人物が俺の前までやって来てそう尋ねてきた。
それは、三人の神だった。
「ふむ……そうだな―――アルカナ。お前は俺の補佐だ。そしてヘル。お前は勿論白夜の下で。ムルは今まで通り海底都市を頼むぞ」
「あら。やっぱり私はここなのね」
とアルカナがちょこんと俺の肩に乗っかり、
「まあ私は言われなくてもそうするつもりだったけどね」
とヘルが白夜の元へ行き、
「私もなんだか扱いが酷いですわ……だ・あ・り・ん♡」
とムルがなんだか気持ち悪くて。
何はともあれ。
これにて全魔王軍としての今後の方針は決まった。
「さて。長らく続けてきたが―――これにて任命式は終了だ。皆、それぞれの使命を全うしてくれ」
『了解!!』
―――思えば色々とあった。
この世界に来て、良い事、悪い事、悪い事、悪い事……
なんだか不幸の方が多かった気がするな。
けど、その不幸を全て乗り越えた先に、今の未来があったんだ。
元の世界に帰ることも考えた。
だけど。俺にはコイツらを捨てて一人だけ帰るなんて事は出来なかったし、何より俺にとって大切な物がこの世界に出来すぎてしまった。
だから、俺はこの世界で生きていこうと思う。
これから、死ぬまで、ずっと。
「さあ。主様―――最後の言葉を」
ルインが俺を導く。
一つの大きな祭壇へと。
俺は懐から一つの宝玉を取り出すと、祭壇の前へと歩み出る。
全員が、俺の、その言葉を待っているようだった。
「フッ……」
ようやく、辿り着いたんだ。
ここまで、長かったな。
だけど、俺は成し遂げた。
この呪いの如き“転生”の力と。
―――俺が俺である所以。魔王の象徴たるこの“支配”の力で。
だから。
最後は、この言葉で締めようと思う。
俺が、支配した世界の象徴として。
この宝玉を贈りながら。
「さあ! お前も我が傀儡となるがいい! 未来永劫、な―――」
祭壇に捧げられた“支配の宝玉”は、七色に輝いていた。
ここまで応援ありがとうございました!!
後日、活動報告にて色々と語ろうと思います!
なのでここでは軽く一言だけ。
クソほどクソ展開が続いたゴミ作品ですいませんでしたァッ!!!
言い訳するとこれは骨組みの段階なので、また期間をあけて、これをもとにした新たな作品を作り上げようと思っております!!
ともかく、一年と約二ヶ月。ほとんど毎日投稿で頑張って参りましたが、ついに完結でございます!!
本当にここまで応援ありがとうございました!!
これからはぜひ最弱姫プの方を応援してくださると、こちらとしてもありがたい限りです!!
残りは、活動報告の方にて後日……!
それでは、本当に本当にありがとうございました!!
俺は怠惰の罪 テトラより




