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破壊神、降臨。

破壊神何体いるんだよって話よな





「殺した……だとッ!」


「ルヴェルフェっ!」



 ベルゼリオがイヴの言葉に驚くと同時に、近くに居たサタールはルヴェルフェの身体を守りに向かっていた。



『ああ。そこの僧侶でも、死者を蘇らせる事は不可能だろうからな。だから殺したまでだ』


「っ……た、確かにお姉ちゃんには死者を蘇らせるなんて事は出来ないけど……」



 悔しそうに歯を食いしばるアスモフィ。

 しかしそんな状況の中でただ一人、疑問の声を上げる奴が居た。




「―――おめーらはさっきから何を言ってんだ?」




 それは、マノンの口から出た言葉だった。



「ま、マノン様! 何を、って……それはルヴェルフェ様が死んでしまったから……」


「あ? ルイン、お前バカになっちまったのか?」


「アンタにだけは言われたくない言葉すぎるでしょう……」



 何かおかしな事でも言ったのかと、ルインは不安になる。

 しかしそんな彼女の隣にいるレヴィーナですら、どうやら安心しているような態度をしていたのだ。



『そこの獣人……お前はさっきから何を言っている? お前も“破壊”の力を持っているなら分かるはずだ。そこの小人の男が“死んだ”と言う事を』


「はん。そー思ってんなら、お前はオレよりレベルが低いぜ?」


『―――なん……だと?』



 マノンは呆れたような顔でイヴを挑発する言葉を吐き捨てていた。当然イヴはその言葉に怒りを覚えるが―――



『グゥッ……それにしてもこの術は……いつまで我を……ッ!』


「術……? ―――あぁ……なんだ。そういう事でしたか」


「アンタも分かったみたいね、ルシファルナ」


「ええ。なんでこんな簡単な事に気が付かなかったんでしょうね、私」


『何だ……一体何だと言うのだッ!!!』



 マノンに続いて、レヴィーナやルシファルナもこの事態の真相に辿り着いている様子。

 それにイヴは怒り、少し怒鳴るような口調で魔帝八皇たちに問いかけた。



「んぁ? そんなの、簡単な話だ―――」




「“高速妨害アクセルジャミング”―――」




 しかしてそれは、唐突に始まった。

 その言葉は、イヴにとって最後の―――最期の戦いの幕開けとなる、最後の合図だった。

 



『グッ……! 視界が―――』


「あれは視界を高速で封じる魔法―――まさかっ!」



 こんな芸当をする仲間は、この八人の中でも一人しか居ないはず。バッとルインが振り返ると、やはりそこに立っていたのは―――



「ルヴェルフェ様っ!?」


「………………」



 しかし、ルヴェルフェは言葉に応じない。

 まるで死人が動いているかのようだ。


 いや、或いはそのまさかなのかもしれない。



「へっ……やっぱりな。そーだと思ったぜ」


「ルヴェルフェが死んだって言う割には、まだあいつが仕掛けた術式が起動してたからね」


「ええ。魔法や魔術は死ねば消えてしまうはずですからね」


「ア? 魔法は消えねーよバーカ!」


「あ、そうでしたね……ごめんなさい、マノン」



 そう。本来魔術というのは一度起動したら、どんなに離れていても術者が生きている限りは起動し続ける永続的な力なのだ。

 つまりイヴがルヴェルフェを殺したのに、イヴを捕らえる剣の魔法陣やそこから放たれる紫の雷は全く消える様子が無かったという事は―――


 そういう事だ。



「―――“闇夜ノ剣シャドウエッジ”」



 と、一通り謎が解けたところでルヴェルフェは再び動き出した。

 対する現在のイヴの状況は、ルヴェルフェの仕掛けた魔法陣に捕らわれて動けず、元々負っていたダメージと魔法陣から発せられる雷から永続的にダメージを受け続けていて、戦いが始まった頃よりもだいぶ苦しそうになっていた。



『チッ……何故だッ……! どうしてお前は動けるのだ……ッ!!』


「………………」



 やはりルヴェルフェは言葉に応じず、ただ無慈悲に剣を突き立てるのみだった。



『グッ……!』


「何にせよ仕掛けるなら今だなァッ! 行くぞお前らッ!」


『了解ッ!』



 ルヴェルフェ以外の六人は、サタールの言葉に応え駆け出した。

 抵抗する事が出来ないイヴと、そこを攻め込むサタールたち。圧倒的な有利の状況で仕掛けたこの最後の攻めは、この戦いの幕を引こうとしていた。






 圧倒的だった。

 圧倒的な、優勢。


 負ける要素など、微塵も感じなかった。



 ―――時は遡ること数瞬前。

 俺は、ルヴェルフェから通信魔法で一言だけ伝えられていた。


 『今から多分死ぬけど、何とかして蘇生してくれる?』


 コイツまで頭がおかしくなったんじゃないかと疑うレベルの言葉だった。

 しかし俺の中の神たち曰く、俺の持っている力ならば蘇生など容易いことだったらしい。


 だったら、と俺は了解の返事を出して通信を切った。

 その直後、ルヴェルフェはイヴに殺されたのだ。右手で、心臓を貫かれて。



 しかしそこからは俺の出番だ。

 遠隔でスキル『死神王』の効果と『支配』の力を併用してルヴェルフェの心臓を再生。そのまま心臓の行動―――いや、鼓動をこちらで支配したままにした。


 それによってルヴェルフェは気絶状態なのだが、次に働いたのはルヴェルフェの持つ能力、恐らくベルフェゴールの持っていた力だろう。それが機能して、睡眠・気絶状態でも行動することが出来ているのだと思う。




 そして、そんなルヴェルフェの再起をきっかけにサタールたちは全力で攻撃を仕掛ける事を決意。

 アスモフィ以外のメンバーは総力をあげてイヴに攻撃を仕掛けていた。


 ルヴェルフェの魔法陣は、神を縛り付ける効果があったらしく、イヴはその場から動けないまま攻撃を受け続け―――やがて数刻経った頃には―――





「―――これが俺らの全力だァァァッ!!!」




 グサリ。そんな鈍い音が、イヴの心臓から響いた。

 殺ったのは、サタールだった。



『――――ァ』


「はぁっ……はぁっ……遂に、殺ったのか……? へ、へへ……ッ! やっぱ俺らなら神だって殺せるんだよ……ッ!」



 イヴは動かず、その場に立っていたのはサタールやその他魔帝八皇たちだった。

 遂に―――遂に勝ったのだ、俺達は。



「空が、晴れていく―――」



 天が光によって裂かれ、赤かった空は元の空色に戻っていく。

 砕けて分かれた大地も、轟音を鳴らしながら戻っていく。


 何もかも、全てが戻っていったのだ。



『お〜い!』



 それぞれのエリアで寝かせてきた仲間たちも、無事にこちらに合流してきた。

 どうやら月夜も無事に目を覚ましたようだ。それに戦う出番の無かった二機のマザーたちやウリエナら天使たちなども、ホッとした様子だった。


 どうやら、本当に戦いは終わったらしい。

 しかしどうしてだろう。


 俺の胸の中には、何故かモヤモヤが残っていた。



『――――――』



 本当に、こんなあっさりと終わるのか……?

 いや、だけど……こうやって世界は元通りになっているんだ。これが戦いの終わりの証拠じゃないのか?


 ……駄目だ。何かがおかしい。

 このモヤモヤは何だろう……。



『―――――――――――――』



 何処か引っかかる。

 だがその正体は何だ? 俺は何に引っかかっているんだ?



「なァ大将! そういやこの神サマの死体はどうするんだ?」


「え……? 死体―――?」



 死体―――?

 これって、残る物なのか……? いや……残る物か。


 そりゃ死体ならそうだよな。

 一体俺はなんでこんな事を考えて―――





『―――貴方をこの世界に召喚したこと、とても後悔してますよ』




 アダム……?

 それにこの世界に“召喚した”……って、そうか。俺はゲームをやってたら突然この世界に召喚されたんだったな。


 そう。ただのオンラインゲームをやろうとしていて―――



「あ……れ……?」



 そういえば、今まで倒したモンスターや殺した相手の死体を見たことがあったか?

 こんなに殺伐とした単語を、聞いたことがあったか?


 おかしい。どうしてこんな事に気が付かなかったんだ?



 それじゃあ今俺たちの目の前にあるこのイヴの死体は―――?




『――――――――――――――――――――ァ』




 おかしい。絶対に、おかしい!

 こんな事は今まで無かったはずだ。ならばこれは何だ……ッ!




『―――アレ―――を―――』




 まさかまだイヴは―――ッ!



「全員ッ! すぐに防御をッ―――」





『―――“世界の終焉と創造の宴ラグ・ナロク”』





 次の瞬間。

 世界は再び―――赤に染まった。







『チッ……手が焼ける奴らだなァッ……!』



 最後のエリアに鎮座していた、最後の神。

 彼は、天でその様子を眺めながら、二本の槍を構えていた。


 そして、現の世界での最後の出番だと、彼は動く。

 今度は、“壊す為”ではなく、“守る為”に。



『とりあえず重要な奴らだけ守るからなッ……! 文句は言うんじゃねェぞ……ッ!!!』


最弱姫プ更新は明日

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