血に染まった右手
もうすぐ、ガチで終わります。
片手で数えられるくらいです
来週完結予定で書きます。
『行くぞッ! まずは手始めにこいつでも喰らいやがれや―――“破壊無双拳”ッ!!』
刹那、フッとその場から姿を消したイヴ。
それを視認した直後、サタールたちは全員周囲に気を張り巡らせて警戒をしていた。
「何処から来るか分かんねェぞ! 全員気をつけろよッ!」
『了解!!』
そしてその直後の事だ。
『砕け散れッ!!』
「いきなり私っ!?」
アスモフィのすぐ後ろに現れたイヴ。
それに気配で気がついたアスモフィは声を上げるが、彼女は内心、とても余裕があった。何故ならば―――
『フンッ……! ―――ッ……な、何だとッ……!?』
「あは……あはは! 見たかしら〜!? これがお姉ちゃんの力なのよっ!!!」
『あ、あり得ん……あり得るはずが無いッ! どうして拳が通らないのだ……!?』
「ふふん。それはね、私の力の―――」
そう自慢げに自分語りを始めようとしたアスモフィに、ルシファルナが技を重ねた。
「貴方は馬鹿なんですか! 自分から手の内を晒すような行動など―――“闇ノ世界”ッ!」
すると辺りから光は一瞬で無くなり、一寸先も見えない暗黒へと世界は姿を変えてしまった。
これはルシファーの持っていた力―――スキル『明 宵 の 明 星』の効果によるものだろう。
しかしこの程度の変化は、創造の神の力を取り込んだイヴの前では全く意味を為さなかった。
『クッ……そこの【色欲】に攻撃が通らないのならば―――まずは主戦力から殺すッ! “破壊ノ拳”ッ!』
「へェ? 今度は俺っちかよ! 舐められたモンだなァ……ッ!!」
暗闇でも行動できるイヴが狙ったのは、文字通り主戦力であるサタールだった。
が、同じく創造の神の力を受け継いでいるサタールが相手だ。当然イヴと同じ芸当が出来る訳で。
「『創造』の力で自分の眼に細工する―――こんなの簡単な話だよなァ?」
『当然……ッ!!』
『破壊』の力が込められたイヴの拳と、『神殺し』の力が込められたサタールの神滅が火花を散らしてぶつかり合う。
さらにそこへ合わせるように、マノンが飛び上がり、そして仕掛けた。
「同じ世界に“破壊”の神は三体もいらねーんだよッ! 爆ぜやがれクソ破壊神! “核破爆弾”ッ!」
そんな言葉と共にイヴの上空に現れたのは、一つの“兵器”だ。
爆発系魔法の最上位に君臨する最強の爆発魔法―――それが、この“核破爆弾”。
ガシュッ……プシューッ……!という機械が起動する音の鳴った直後、それはそのままイヴのもとへと落下していった。
「うぉいおい!! そりゃマズイんじゃねェかァッ!?」
『クックク……! 死なばもろとも、かッ! 面白い!』
「何も面白かねーよッ! だーもうッ!」
文句を言いながらもサタールは後ろに跳びはねて後退していく。そしてそのまま後衛組とスイッチをしたのだ。
「一旦頼むぞ! マノンの奴調子乗ってるから……お前らも一応気をつけてくれな?」
「はいはい。分かったわよ!」
「ふふ、任せておいて。ボクの実力―――ようやく見せれる時が来たね」
不敵に笑うルヴェルフェと、不機嫌そうに怒るレヴィーナ。
二人は後衛組の主戦力として準備万端の様子だった。
そしてマノンの仕掛けた“核破爆弾”だが―――
「爆ぜろォォォォッ!!」
『喰らうわけにはいかないなァッ! ―――“創造ノ破壊腕”!』
イヴはその場に触手を三体召喚して、そのまま触手に爆弾を対抗させたのだ。
『巻きとれッ!』
シュルル!と三体の触手は核爆弾を包むように巻き付くが、その直後爆弾は一気に爆発をする。
ドガァァァァァァンッ!と尋常じゃない轟音が辺りを包み、それによって発生した煙が周囲を全て包み込むが―――
「今がチャンスみたいね―――」
「ボクも合わせるよ」
「それなら私も合わせましょうか」
暗黒の大地の中、さらに黒煙が視界を悪くしている最悪の状況。そんな中で後衛組のレヴィーナ、ルヴェルフェ、ルシファルナは動き出していた。
『クハハッ! やはり力任せな破壊は簡単に対処出来てしまうなァッ!!』
「アァッ!? ンだよ雑魚がッ! ならもう一発―――」
「―――伏せなさい、皆ッ!」
レヴィーナの声が響く。
そしてその瞬間。
「―――“光ノ世界”ッ!」
『ぐ……グゥゥッ……!!!』
言葉に反応せず、顔を上げていたイヴは刹那にして明転した世界に目が順応できず、太陽を直接見るよりも痛い感覚が神の目を襲っていた。
そして……
「神を殺す為の術ならいっぱいあるって、魔王様と出会った時から言ってるんだよねッ! ―――“神滅ノ神域”ッ!!」
ルヴェルフェの瞳が紫色に怪しく光ると、イヴが居る地点から大きな円が足元に描かれていき、それはすぐにルヴェルフェの瞳と同じく紫色に輝き出したのだ。
「サタールッ! あそこに合わせて剣を差し込んで!」
「えっ? あ、お、おう―――」
「ちゃんと“神滅”のコピーで頼むよっ!!」
「―――あー、何だか分かんねェけど了解だぜッ!」
目が慣れずまだフラフラしているイヴのもとに、サタールはすぐに詰め寄った。
そしてルヴェルフェの支持通り、『創造』の力で剣をコピーしたサタールは―――
「おらよッ!!!」
コピー“神滅”をイヴの足元に展開された魔法陣をさらに囲むように円形に差し込んだのだ。
「これで準備は上々―――あとは結果をご弄じろってね!!」
パチン!とルヴェルフェは軽快な指の音を辺りに響かせた。
すると、魔法陣はさらにその光を強くして―――
『ぐ……ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!』
紫色の雷光となって、イヴの身体を勢いよく襲っていた。
「たたみ込むわよッ!」
「おうッ!」
レヴィーナはその隙を逃さず一斉に攻撃の指示を出す。
「急所に当てれば、神だって屠れるのよッ! ―――“一閃ノ矢”ッ!!!」
バチィッ……と稲妻を轟かせながら、レヴィーナは一筋の矢を撃ち放った。
そしてそれは、イヴの心臓を的確に捉えていた、致命の矢だったのだ。
『ガ……ァ―――』
「いきますよ……我が幻獣たちッ!」
さらにそこへ合わせたのがルシファルナだ。
「奴の命を喰らい尽くしなさいッ!」
彼が手を振りかざすと、そこから一斉に光や闇、雷や風などの魔力で構成された獣たちがイヴへ襲いかかった。
「これが私の―――“幻想ノ獣祭”ですッ!」
「はいはい。カッコつけてないですぐに警戒態勢に入る! ―――今度はボクの番だよっ!」
続けてて前に出たのはルヴェルフェだ。
ルヴェルフェにしては珍しく、短剣を構えて前衛に出ようとしていた。
「お、おいルヴェルフェ! そんなに前に出たらお前は……ッ!」
「安心してベルゼリオ! ボクには作戦があるから!」
「さ、作戦だと……?」
「ベルゼリオ様! 私がルヴェルフェ様に合わせますから、安心してくださいませ!」
さらに、そう言いながら飛び出したのはルインだった。
彼女もルヴェルフェと同様に短剣を構えながら駆けていた。
「ルヴェルフェ様!」
「分かってるよ、キミに合わせればいいんでしょ?」
「いえ、逆ですよ! 私がルヴェルフェ様に合わせますから、ご自由に攻撃してください!」
「そう? なら遠慮なくいかせてもらおうかな……ッ!」
また不敵に笑ったルヴェルフェは、そう言って勢いよく飛び上がった。
そして短剣を持っていない方の手をイヴへかざすと、そのまま、
「これがボクの全身全霊だよ―――“死ノ世界への旅立ち”」
自身に何かのエンチャントをかけたのだ。
先程とは反対に、自分の身体が紫色の光に包まれていくルヴェルフェ。
ルインやベルゼリオは、それが何かの強化魔法だと思っていたが……その直後の事だった。
「――――――ッ」
声を発することも、構えた短剣をイヴに向けることも無く。
ルヴェルフェはそのまま、力無く地面へと落下していったのだ。
ドサッ……。
ルヴェルフェの肉体は、硬い地面に強く打ち付けられる。
「ルヴェルフェ様っ!?」
「どうした、ルヴェルフェ!」
『クッ…………クククッ! クハハハッ!!』
すると辺りには、そんな笑い声が響いた。
見ればイヴが、ルヴェルフェの術に耐えながらも、そんな術をかけたルヴェルフェ張本人を見ながら高笑いをしていたのだ。
『小賢しい術を使う小人風情が……我が間合いに入るからそういう事になるのだ……ッ!』
イヴの右手は、血の色に染まっていた。
「何を……したんですかっ!」
『何って―――』
イヴは紫色の雷光に包まれながらも、血に染まった右手を天に突き上げると、晴れ晴れとした表情でこう言ったのだ。
『―――殺したんだよ。心臓を一握りしてなァッ!!!』
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スキル『創造ノ剣聖』
⇒【創造】/万物の創造
【剣聖】/全剣技使用可能、超加速、気配感知
『火焔灼炎』
⇒全炎系技
スキル『破壊ノ爆魔』
⇒【破壊】/万物の破壊
【爆魔】/全爆発系技使用可能、分裂、威力増加
スキル『守護ノ絶盾』
⇒【守護】/万物の守護
【絶盾】/遠距離での防御・ダメージの奪取、身体の鋼鉄化
スキル『邪眼ノ呪縛』
⇒呪術発動のノーコスト化及び無詠唱発動、効力上昇
『夢遊闘士』
⇒睡眠、気絶状態での自由行動可能
スキル『妖幻ノ心眼』
⇒急所確定命中、妖術による全幻影魔法の使用可能
スキル『聖者ノ加護』
⇒対象者の即時全回復、自身の絶対防御
スキル『堕天ノ明宵』
⇒悪魔召喚、光量操作、堕天化、強制堕天、幻獣の使役
スキル『虚空ノ殺人』
⇒虚空の力の使用及び虚空操作、絶対隠密、分身、急所確定命中
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骨組みの物語。
呪術が導いた結末とは―――
※最弱姫プは木曜日更新予定よ!




