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勇者と太古の神

今日は最弱姫プ更新する





「「『神威』ッ!!」」



『―――『真・神威』ッ!!』




 直後、二つの力の奔流が大きく立ち上がった。

 一つは禍々しい闇の奔流。もう一つは光と闇が混ざったような、不安定な色の奔流。


 ただその二つの力が、明らかに異様な程強力で異様な物なのから一目見ただけで分かった。



「なァ大将」


「どうした?」


「……俺らはあれに手出ししてもいいんか?」


「……マジで言ってるのか? お前」



 サタールがその力に強く惹かれているみたいだった。

 ベルゼリオは流石に近づこうとはしていなかったが、マノンはサタールと同様にめちゃくちゃ興味津々と言った様子だった。



「ああ、まあ別に行くのはいいんだけど……大丈夫なのか?」


「ンぁ、まあ問題ねェだろ」



 どこからそんな自信が湧いて出てくるんだか。

 まあ本人が大丈夫って言うんなら、別にいいか。


 俺はいつでもカバーに入れるように待機しておいて、戦いの行く末を見届けることにしよう。

 だってサタールたちと連携が取れる自信が無いんだもん。



「おし……そんじゃ行くかッ!」


「おう!」


「我が主よ……何故―――」



 許せベルゼリオ。

 お前は俺と一緒に居るより、そこの二人と一緒に居てもらわねば困るのだ。


 ……二人の飼い主としてな。



「オラァッ! 行くぜベルゼリオッ!」


「とっととしねーとアイツらに先越されんぞッ!」


「我が主ぃいぃぃぃぃいぃぃ!!!」



 そんなこんなでベルゼリオはサタールとマノンによって連れて行かれてしまった。

 ……許せ、許せよ……。



『クッ…………クハハ……』



 と、こちらが騒いでいる内に向こうの『神威』も終了したようだ。イヴと白夜・ヘルのコンビが空中で対峙しているのが見える。



『この気配は―――そうか、妙な気配がすると思えば、なるほどなァ』


「あら、何かおかしかったかしら?」


『クッ……ヘル、お前は別におかしかねェさ。おかしいのはそこの男の方よ』



 白夜の事を指差しながら、イヴはそう言った。

 と、いうかまずイヴの体に現れてる変化からツッコむべきではないのか?


 結構イカツく変化してるんだけど。



「俺がおかしい……? っていうか、そんな事言ったらお前の方がおかしいと思うが」


『ほう? 俺の方がおかしいと言うのか。面白い』


「面白いってか……うん、まあ、ね」



 イヴの反応に、白夜は心底困っている様子だった。


 ともかく、イヴに現れた変化を簡単に言い表すなら……

 まずその肉体には全体的に金色のオーラを身に纏っていて、上裸で筋骨隆々とした肉体を見せつけるような格好だ。そう、まるでインドラのようなイメージだな。


 そして特筆すべき点は、顔まわりの変化だ。

 神威を使った影響なのだろう。その額部分には火の玉のようなモノが浮かび上がっていて、赤や黒、青や黄色と様々な色に変化していた。

 さらに髪型。これもだいぶ尖った、そう……例えるならヴィジュアル系のような髪型だ。スーパーうんたら人みたいな。


 まあそもそもの見た目が、白髪でギザギザした髪型だったから、本当にそういうイメージだろうな。



『変なところを気にするのだな―――勇者は』


「やっぱりバレてたか」


『無論。それに貴様……あの“三幻神”を取り込んでいるな?』


「三幻神……? それってもしかして―――」


『ああ。プロメテウス、ヌアザ、タナトスの事だ。奴らは神話の時代に消えた太古の神だと思っていたが……そうか、復活していたのか』



 その名前は確か、白夜の中にいる三体の神の名前だったか。

 どうやらそれを総称して三幻神と呼ぶらしい。



「へぇ……それは初耳だな。ヘルが似たような存在だったってのは聞いたけど」


『クハハ……今こうして貴様が、『神威』を発動しながらも平然と俺と話していられるのは、奴ら太古の神の力が大きく関係してるだろうからなァ。当然、そこの吸血鬼神も例外では無く、な』


「……どういう意味だ?」


『ァ? 貴様、感じたことはないのか? 何で自分がここまで戦えるんだろうって』


「それは……あるが」


『その答えが、お前の中に居る神たちなんだよ。奴らが、お前に力―――いや、分け与えているのは“生命力”か? まあ何にせよ、雑魚のお前がこうして戦えているのは、ヘルや奴ら三幻神のお陰だってことだな』



「……それ、は……」



 聞けば、イヴは白夜の事を雑魚と呼んでいるようだった。

 だが、その説明は明らかに理にかなっているし、事実なのだろう。神が居なくなれば、白夜は弱くなる。


 しかしそれが事実だとすればなおさら……

 白夜に刺さる言葉の刃は、鋭いモノと化してしまう。



『だが案ずるな勇者よ。太古の神に選ばれるだけの力を有していると言う事が、その身をもって証明されたのだからな』


「……証、明」


『そうだ。ならばその力、我に見せてみよ―――』




 イヴは手をくいっくいっと、まるで白夜たちを挑発するように動かすと、不敵な笑みを浮かべてこう言った。




『―――魔王との戦いの、前座としてやろう。全力で殺しにいかせてもらうぞッ!!』





「それならちょっと待ちなァッ!!!」




 イヴがカッコよく決めた直後の事だ。

 気楽で呑気な声が戦場には響き渡る。


 まるでタイミングを狙っていたかのように、そいつらは現れた。



「勇者が前座ってんなら、俺らの出る幕が無くなっちまうじゃねェかよ」


「だからその前座としてオレらが戦ってやるよ!」


『ほう……貴様ら―――』


「チッ……馬鹿共が。まあ、仕方ない、か―――」



 ベルゼリオだけはやっぱりため息をついていたが……。

 そう、現れたのはもちろんサタールたち三馬鹿だ。



「なァ、いいだろ白夜?」


「さ、サタールさん……。俺は、全然大丈夫ですけど……」


「なら決まりだ。俺ら“全員”でお前の相手をしてやるよ―――イヴッ!」


『全員で、だと……? 三人で、の間違いではないのか?』




「ハンッ! よく見な神サマ! なんだか知らねェがよ……アンタのお陰でこっちには八人分の力が集まってんのよ」




 そう言うと、サタールたちの周囲には人影がいくつか並んでいた。

 気付けば、隣にいたはずのルインも居なくなっていた。



「あ、アニキ……! 最後の壁が―――」


「なっ……! いつの間に……?」



 さらには、最後のエリアへの壁もいつの間にか消えていたのだ。



『クッ……力を解放した時に誤ったか……!』



 そしてサタール言った。

 “八人”集まったと。


 この状況で、八人だ。

 となると、もう考えられる可能性は一つしかないだろう。



「覚悟しな、神サマ。俺らがテメェを仕留めてやるよ



 ―――この、俺ら魔帝八皇がなァ!」





 ―――そう。魔帝八皇の集結である。

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