最後の覚醒
こんな長くする予定なかったのに……もう少し続きますしおすし
『グッ……』
イヴを追ってやってきた俺達の視界に写ったのは、胸を押さえて苦しそうにしている様子のイヴだった。
別に特段すごいダメージを与えた訳でも無いし、どうしてそんなに苦しそうにしているのかが分からない。
だが。だからと言って油断も手加減もできるはずが無い。
最後のその瞬間まで、気を引き締めて行かねば。
「アニキ!」
「おお、白夜か!」
次なるエリアにやって来たことで、イヴによって分断されていた新たな仲間たちがここで合流を果たした。
このエリアに居たのは、白夜・クサナギ・ムラマサ・マサムネ・ヘル・ラグマリア・ラージエリという7人のメンツだ。
「今ってどういう状況なんですか……? アイツ、まだこちらに仕掛けてくる様子が無くてちょっとこっちも困ってたんですよね」
「ああ……俺も確認した。だが、あれは俺にも何がなんだか分からないんだ。アイツ、急に苦しそうな素振りしやがって……」
本当に何があったんだろうか。
とにかく警戒だけは怠らないようにしておかないと、だな。
「まあアレは少し様子見をしよう。それよりも今の状況を整理させてくれ」
「了解です」
白夜は俺の言葉に頷く。
俺は軽く頷き返すと、少し作戦を立てるために状況整理を始めた。
現在エリアAに居た連中は、そのままそこの安全そうな場所で寝かせてきている。
エリアBも同様に、そのエリア内にて休んでいる状況だ。
エリアCでは、セラとミカエラ、そしてアルカナが月夜の治療を行っている最中で、残りのメンバーは俺と一緒にイヴを追いかけに来た。
さて……となるとここに揃ったメンツはだいぶ多くなった訳だが。
「師匠!」
「「サタール様!」」
「おーおー、お前らも無事だったか!」
「はい! いつでも戦えるように準備してお待ちしておりました!」
サタールの下にはクサナギたち三剣士が揃っていた。
師弟の関係同士、良いコンビネーションを発揮してくれそうだ。
その後ろにはベルゼリオとマノンも居る。
ここもサタールとはだいぶ深い関係があるからな。
「主様、全員戦闘準備は完了しているみたいです。一応報告まで」
「ああ、ありがとな」
ルインからの報告に礼を告げながら、さらに周囲を見渡した。
目の前にいる白夜の、少し後ろにはラグマリアとラージエリの姉妹天使がイヴの方を見て何かを話していた。
さらにその上空では、吸血鬼神ヘルが暇そうにあくびをしながらフヨフヨと漂っていた。
と……現在の魔王軍側の状況はこんなモノか。
これだけ居れば、連携さえ上手く取れればイヴを完封できそうな気はするが……。
『―――ああ。もう準備は出来ていたのか』
「ああ。こっちは問題ないが? 肝心のお前が大丈夫には見えないけどな」
『クッ……クク……まあ、そう見えてもおかしくはないだろうな。実際にかなり厳しい状況まで追い込まれてしまった訳だからな』
「そんなに俺らはお前を追い詰めていたのか?」
『何だ、自覚が無かったのか? 貴様らは俺の想定よりもだいぶ長く生き延びているのだぞ? 俺も本来の“時間制限”を大きくオーバーしてしまって、かなりピンチ―――そんな状態だからな』
タイムリミット……?
この神は一体なんの話をしているんだろうか。
そんな物、存在する訳が―――
『グッ……はぁっ……はぁッ……!』
「……アニキ、なんかアイツ……様子が変じゃないですか?」
「あ、ああ」
例えが悪いが、中二病をこじらせた痛々しい奴―――みたいなポーズで右眼を押さえて胸を押さえて……まるで解放していない力が身体の内側で暴走しているみたいな……そんな感じになっていた。
『クッ……クククッ! そうか―――やはり、俺らは相容れない存在だと言う事か……ッ!』
「な、何を言って―――」
『ならば……ならばッ!!! ―――見せようじゃないか、神の、最後の足掻きと言うものをッ!!!』
「ッ……!」
刹那。
そんなイヴの放った言葉と共に、力は解き放たれた。
まるで俺の想像が正しかったんだと証明するかのように、闇色の、禍々しい渦がイヴの周囲を取り囲んだのだ。
「全員、すぐに戦闘態勢に入れッ!!」
俺は、すぐに指示を出していた。
奴は言ったんだ、最後の足掻きだと。ならばこれが最後のウェーブになる可能性も非常に高いはず。
ここで、何としても決着をつけてみせよう。
向こうが決死の覚悟なら、こちらも決死の覚悟で挑むのが世界への礼儀というモノだ。
『魔王も……勇者もッ! ―――世界の為に消えてくれッ!!』
「こちらこそ。世界の為に―――消えてくれッ!!!」
◆
『Zzz……って、いっつも寝てたけどさ。君は寝てちゃ駄目だよ? 【怠惰】だってしっかりと役に立つって事、魔王に証明しなくちゃなんだから。
―――ほら、起きて。眠ってる場合なんかじゃないよ』
◆
『もー! どうして君まで寝てるのさ!! いいかい? 君は僧侶で、前に出る役じゃ無いんだよ? ちゃんと分かってる?? 僧侶なんだったらね、ちゃんと最後の最後まで生き残って、パーティーの主核を守らなくちゃいけないんだから!
―――分かったらとっとと起きる! ボクに恥かかせないでよねっ!』
◆
『クククッ! 我が美しき子孫よ! いつまでそうしているつもりだ? このままではあの魔王に馬鹿にされてしまうぞ? 嫌だろう? 嫌であろう?? ならば目覚めるが良い。そして、奴に役に立つという事を証明してみせろ!
―――あぁ、最後は美しくトドメを決めるのだぞ? ハハッ!』
◆
『―――目覚めるのです。貴女は、巫女。未来を見通せる巫女なのです。この長きに渡って続いてきた醜い争いに、ようやく終止符が打てるというこの時。貴女はこのまま寝ているというのですか? いいえ。そんな事は許されません。
勇者と、魔王と……そして巫女が揃ったその時こそ……
―――破壊と創造の神が創ったこの世界を、真に解放できる時なのですから』
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