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月 陽 縛 神

もう!




「―――ああ、そう言う事なんだ。それなら、僕も力になるべきだね」


「ベリアル……様……? どうかしたんですか?」


「ううん、こっちの話。皆が子どもたちの中で命を回してるのなら、僕も―――って思ってね」


「え……それってどういう……?」


「ルイン。僕の役目はどうやらここまでみたいだ―――君の力を完全に強化して解放しよう。あとは、全部任せたよ?」



「べ、ベリアル様―――?」



 さっきまで、目の前に居たはずの悪魔は。

 一瞬にして、その姿を消してしまっていた。





『―――さあ、次は貴様らだッ!!!』



 そんな言葉と共に、イヴは空から現れた。

 俺とアルカナは、倒れたルヴェルフェたちを安全な場所を作って寝かしておくと、すぐにイヴの飛んでいった方まで追いかけに来たのだ。


 言うなればエリアB―――今度は、ルインたちのいるところだ。



「待ちなさい……っ! ―――“黒茨棘ブラックローズ”!」


『その攻撃は一度見ている……ッ! 故にもう二度と喰らうような事は無いッ!!! “破戒ノ拳デストラクション”ッ!』



 アルカナの放った黒棘は、イヴが軽々しく拳一つで対処してしまった。



「クッ……!」


「アルカナ、落ち着いて。ここには別の仲間がいるんだ、そいつらと協力して奴に打撃を加えていこうじゃないか」


「え、ええ。分かってるわよ……」



 まだ巨大な九尾の様な姿のアルカナにそう言う。

 するとそんな俺たちのもとへ、エリアBの連中が顔を見せに来た。



「主様! ご無事ですか!」


「ああ。俺たちは大丈夫だ……それよりも、倒れたルヴェルフェたちの方が心配だな」


「ルヴェルフェ様たちが……」



 俺の言葉で、より一層不安げな表情になってしまうルインだが、そんな表情はイヴの行動によって一瞬にして切り替わる事になる。



『また呑気にお喋りという訳か。随分と余裕を見せられているモノだな―――だが、次はそんな余裕与えないぞ。我が肉体が自然治癒によって弱体化していく前に、速攻でケリをつけてやろうッ!!』



 言いながらイヴは俺目がけて突っ込んでくる。

 どうやら本当に休んでる暇もなく連戦という訳らしい。



「少しくらいは……休みたかったんだがなッ!!!」



 イヴに対抗して俺も拳を構えながら突っ込んでいく。

 突撃していく中、俺は考えていた。さっきのアルカナの攻撃は「一度見たから」と言って簡単に防いでしまっていた。


 となると一度使った技や魔法は、もう一度効くという可能性は高い訳ではないだろう。むしろ低いはず。

 それならば“神帝武流”で戦うのも芸が無いという事になってしまう。



▶クハハ! 確かになァ!


▶それなら俺らの力を使うといい! 



(アポロン……? 俺“ら”って事はもしかしてアルテミスも……?)



▶はい! 私たち兄妹の力は、出ている星によって相手の弱体化が出来る力ですから!



 そうか。

 そう言えば二人は、太陽か月を出す事で一定範囲内に弱体効果を与えるという力を持っているんだったな。


 それなら、今のイヴ相手にピッタリかもしれない。



「じゃあ早速ッ! ―――“天ノ鎖ヘブンズ・チェーン”っ!!」


『それはアポロンの―――ッ!!! チィッ……!』



 真正面から俺は鎖を放った。

 それは、対象を瞬時に捕らえる捕縛技。いや、術か。


 神将スキル『陽神』のお陰で、アポロンが使う力はある程度使えるのだ。

 今は太陽が出ている時間帯―――それならば存分にアポロンの力が使えると言うわけだ。



▶わ、私の力なら月も出せますけどね!



(まあ状況に合わせて、な……!)



『アイツの鎖は確かに頑丈で厄介だからなァ……ハン、よくも考えついたモノだなッ!』


「お褒めに預かり光栄だ―――さあ皆、今の内に仕掛けるんだっ!!」


「「「了解っ!」」」



 俺の号令でこのエリアにいた、ルイン・アスモフィ・レヴィーナ・アルジャイル・ムル・メタリアは駆け出した。



「最初っから全力で行くわよ―――『妖神化』ッ!!」


「それならば儂も―――『偽神威カムイ』ッ!!」



 レヴィーナとアルジャイルは神化の力で一気に自身を強化していく。

 さらにアスモフィやムルといった後方支援組はある程度イヴとは距離を離した状態で魔法を放つ態勢に入っていた。



『チッ……なかなかっ……壊れねェなァ……ッ!』



 ガシャン!ガシャン!と何度も鎖を叩きつけるイヴだったが、どうやらこのアポロンの鎖は相当頑丈なものらしく、ちょっとやそっとの事じゃ壊れる様子は無かった。



▶さあ追撃だッ! 決めちまいなァッ!!



「おう……っ! “天陽ノ獄サンシャインプリズン”ッ!」



 アポロンに言われて俺は速攻で仕掛けた。

 今度もイヴを捕らえるような魔力の檻―――しかも捕らえた相手の攻撃力を格段に下げるという効果付きの術を使った。


 もちろん、それだけじゃさっきまでと芸が変わらないと言われてしまうから、別の術も連続で使うことに。



『どれだけ俺を逃したくねェんだよ……ッ!!』


「絶対に、だよッ!! “月光ノスターライト・ベノム”!」



▶あ、その力は―――



 アルテミスの、言うなれば反術という物だ。

 太陽が出ている間に、強力な効果を発揮するという術―――今回は対象に毒や麻痺の効果を絶大に与えるという術を使わせてもらった。



『ァ……? そんな力マ……デ、デデデデデデ………け、継承してるって……のかよ!! ァァァァァァッ!!!』


「どうやら今が結構なチャンスみたいねッ!! それなら―――“妖魔一閃ゲイボルグ”……ッ!!!」



 イヴが俺の術で麻痺しているのを見たレヴィーナがまずは早速仕掛けていた。

 さらにその一閃に放たれた矢に合わせるように、他の仲間たちも動く。



「見るがいい―――これが真の“無限”という物だッ! “無限剣”ッ!!」


『そう、何度も喰らうモノか―――ガガガガ、チィッ……まともに、判断が出来ねェ……ッ!!! グァァァァァァァッ!!!』



 レヴィーナの矢が突き刺さり、そこにアルジャイルの連撃が与えられる。

 まさに滅多打ちの状態だが……まだ俺の仲間たちの追撃は終わらなかった。



「私だって前衛なんだから―――“破壊剣”、受けてみなさいッ!!」


『グ……ゥゥッ……!! 破戒を名乗っていいのは我だけ……ダァァァァァァァッ!!!』


「んなッ……!」



 メタリアが大きな剣を振りかざすと、その言葉に反応したのかイヴは気合いでアルジャイルを吹き飛ばしながら、再度拳を構えていた。



「嘘……ッ!」


『全部、ブッ壊れろォッ!!! “破壊無双拳ワールドエンド・フィスト”ォッ!!!』



▶まずいぞ……あれは牢獄諸共破壊するつもりで―――



(マジかよ……ッ! それならっ!)



「ムル、アスモフィ! メタリアとアルジャイルの援護だ! 行けるかっ!?」


「ええ、任せてダーリンっ!」


「お姉ちゃんたちに任せなさいっ!!」



 俺の指示に全力で応えてくれる二人。

 そんな二人はすぐに行動に移してくれた。



「るん……っ♪ 任されちゃったからには、全力で行くよっ!!」


「ええ、ダーリンに任せてもらえるなんて一世一代のチャンスなんだからっ♪」


『まずは、お前からだッ!!』



 そうイヴが叫ぶと、まず最初に狙われたのはメタリアだった。

 距離はもう僅かと言ったところ。このままじゃメタリアは―――なんて、そんな心配する必要は無い。

 だって、俺が信頼した仲間たちが彼女を守ってくれるから。



「―――“守護障壁ガーディアン・プロテクション”っ!!」


「“炎舞捌の型・流星スターダスト”ッ!!!」



 メタリアの前には何重にも張り巡らされた魔力の障壁が。

 そしてそんな彼女に迫るイヴの上空からは一筋の流星が。


 二人の力が、メタリアを守ろうとしていた。

 だが―――



『甘い……甘いんだよテメェらはよォッ!!! もう一回だ……喰らえ、“破壊無双拳ワールドエンド・フィスト”!!!』



 そう言って、高速で拳を放ったイヴは。



「きゃあああああああああっ!!!」


「いやああああああっ!!!」



 一瞬にして、アスモフィとムルを吹き飛ばしたのだ。

 あり得ないくらいの速度で、一瞬で。



「馬鹿な……ッ! それなら儂がッ!!」


「私だって……ッ!」



 それを見たアルジャイルとレヴィーナが再び動きだした。

 だが、それでもイヴは―――



『だから甘ェし、ついでに言うと遅ェんだよ。身体が毒に侵されている今の俺でも、そう思っちまうんだぜェ?』



「「アアアアアアアアアアッ!!!」」



 まるで赤子の手をひねるように。

 離れた位置にいるアルジャイルとレヴィーナを屠ったのだ。


 そしてそのまま流れるように―――



『あとはお前もか』


「わ……たし……?」



 爆発が起きて、その中心にいたメタリアは吹き飛んでいってしまったのだ。



『はぁ、やっぱつまんねェじゃねェか。どいつもこいつも、一個技を撃ったくらいで消えやがって。なぁ、魔王よォ?』


「クソ……がっ……!」



 まるでおもちゃじゃないか。

 俺たちは最初から、手を抜いたイヴに遊ばれてただけだってのかよ……!



「あ、主様……これは……もう……っ……!」


「大丈夫……大丈夫だルイン―――お前だけは、俺がなんとしても守り抜いてみせるから……!」



 そう言いながら、ルインの手を握る俺。

 するとイヴはそれを見て、



『ヘェ。そういう事か―――なら、とっとと次のエリアでやり合おうぜェ? そこのサキュバスの女の力も見てみたいしな……ァ!』



 そう言って、飛び去っていった。

 奴が飛んでいった方向にある、大地を隔てていた赤い光は消え去り、戦いの舞台は再び動くことになるのだ。




▶月の力もあったのに…………もう……!

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夜に最弱姫プ行きます!

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