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終わりの始まり

最期の。





 ―――きろ!―――ろって!!―――い!―――きろよ!!!



「(誰かが、俺を呼んでる……?)」



 何だろう、この感覚は。

 何故かデジャヴだ。いっつもこういう状況になってる気がする。


 暗くて、寒くて、とても居心地悪い空間に一人放置されているこの感覚。



「(あれ……でも、誰かが俺を呼んで―――)」



 ―――やっと目覚めたのか! ほら、早く起きろって!



「(誰……なんだ?)」



 ―――おいおい嘘だろ? 俺を忘れちまったのかよ!



「(……すまない。あんまり記憶に無い声だから―――ってなんか臭い……?)」



 勘違いかもしれないが、何やら酒臭い匂いがする。

 それに、火薬みたいな香りもほのかに。


 ……待てよ? 酒に、火薬……?

 ってことはお前―――



「(マモンかっ!?)」



 ―――いや、それで思い出されるのも癪だがな……ほらよっと。



 俺が名前を呼ぶと、ぽんっ!という可愛らしい煙と共にマモンは現れた。



「ほら、お前らも出てこいよ」


「……他にも誰かいるのか?」


「ああ居るともさ。だってここは―――」



 そうしてマモンの奴は、両手を広げると。

 まるでマジシャンの手品のようにぽんぽんぽーん!と周囲に小さな爆発を起こしたのだ。


 その爆発によって発生した白煙の中からは、それぞれ誰が出てくる。



「―――お前の中なんだからなぁ!」



 そう。

 煙の中から現れたのは―――俺に力を託してくれた、悪魔や天使の皆だったのだ。



「魔王ルミナス……貴方は本当に悪運の尽きない人ですね」


「フン。それには同意だ。一緒に居てろくな事にならないからな」


「ま、それが楽しかったりするんだけどなァ。俺も色々と迷惑かけちまったし、コイツだけのせいじゃないぜきっと」


「あはは! まあ確かにこの我の美貌が全てを引き寄せているというなら納得だがなぁ!」


「……レヴィはだいぶ後からやってきたくせにzzz」


「カハハ! ベルフェゴールは相変わらず器用だなあ!」



 《七つの大罪》のメンバーが、そう言って笑ってくれる。

 何だかそんな光景を見ているだけで、励まされるようだ。


 なんてほっこりしていると。



「―――ちょっと〜? なにボク抜きで楽しそうにやってんのさ。せっかく魔王くんを助けに来たってのに!」



「お前は……アスモデウス!? ど、どうしてここに!」



 目の前に突然現れたのは、まだ力を託してもらっていない悪魔の一体―――アスモデウスだった。

 っていうか忘れてたけどコイツ美少年だから、一瞬天使だと思ったのは内緒の話だ。



「あの〜、これ皆に聞こえてるんだけど?」


「……ん? これって、何のことだ?」


「だから、その脳内の声だよ。だってここ一応君の中だし。そりゃ聞こえるに決まってるでしょ?」


「……マジ?」



 嘘だろ?



「本当でーす。っていうか、本当になに楽しそうにやってんのさ!! ひどい!」


「おーおー遂にお前まで来ちまったのか。ってことはこれで名目上は《七つの大罪》コンプリートだな!」


「そのようですねぇ。ま、相も変わらず一番美しいのはこの我だけどなぁ!」


「じゃあボクは一番かわいいってことで」


「フン、くだらん。それよりもお前、何か用があって無理矢理こっちに来たのではないのか?」



 ベルゼブブは、アスモデウスにそう問いかける。

 するとアスモデウスのやつはぴこーん!と頭に電球が浮かんだかのように顔を明るくさせて、そして急に俺のところへと詰め寄ってきた。



「そうそう! そうだったや! ボク、君を助けに来たんだけど……なんかもう大丈夫そうだね?」


「んー……この感じだと精神の命はまだ全然元気みたいだな。だが、肉体の方が危ないから目覚められない―――そんなところかな」


「随分と詳しいんだなァ?」


「まあ……こんなでも一応“死神”だしな。あーいや、違うか。今は“死神王”、なのか」



 スキルの話だけど。

 でもこの力のお陰で、どういう訳か“死”という概念についてある程度の知識は得られたのだ。



「そっか。肉体の……ってことはボクがやる事は簡単だね」


「何をするんだ?」


「何をってそりゃあ……回復魔法??」


「……そんなのでいいのか?」


「うん。多分大丈夫だよ。だって外側からはアスモフィが君に回復魔法をかけてくれてるんだから」


「……そっか。アスモフィが―――」



 そりゃ後でちゃんと感謝しておかないとな。

 ……って、アスモフィのやつあの場所まで来たのか……?


 ってことは―――アイツらは?



「サタールやミカエラたちはどうなったんだ……?」


「それは―――君を癒やしたら全て分かるって、アダムが言ってたんだ。だからボクが来た。それが答えだよ」


「……アダムが? アイツ……一体何を考えて―――とにかく分かった。アイツらの為にも、すぐに戦線に復帰しよう」


「そうしてあげて。それじゃあすぐにでも治癒を開始するね―――」







「はぁ。結局私も来たはいいけど、出番は無かったみたいね」


「そうですね。というか我々の出る幕がそもそも少ないのですよ」


「ミカエラ様の言う通りです。何か私たち、力だけは都合よく使われてますけど……」


「まーまー細かいことは気にせんで、今は戦いの行く末を見届けようやないの!」


「だねぇ。って、細かいことじゃないけどね!?」


「ガブリエル、うるさいよ……実験の邪魔だから静かにしてて」


「ちょ、ラジエル! アンタ人の精神からだの中で何やってんのよ!」


「だから五月蠅いっての。メタトロンは来たばっかなんだから、ここでは私が先輩よ」


「……はぁ。なんか、この子達を纏めるのも楽じゃないのが痛感できるわ……」


「ですね……」


「お姉様方は苦労人やなぁ!」


「「アンタはお気楽過ぎるのよ!」」







「お願い……ルミナス様―――早く戻ってきて……っ!」



 アスモデウス様とメタトロン様が、魔王ルミナス様の中に消えてから大体30分くらいが経過した頃。

 私は外側から彼の肉体を癒やし続けていたのだが……


 どれだけ魔法をかけても、彼が戻ってくることは無かった。



『おいおいまだかよ僧侶サマァ。こっちはそろそろ飽きてきたんだがな〜?』


『イヴ……それなら私が相手をしてあげるから、早く私を解放しなさ―――』


『黙れよ』


『ああああああああああっ!!!』



 後ろではさっきから、「解放してくれ」とねだるアダムと、それを拒否して痛めつけるイヴの姿があった。

 そんな彼らを横目に、ただただ必死に回復魔法をかけ続ける私。


 見張りはメタリアがしてくれてるから、絶対安心とまでは言わないが―――まあ、安心はできる。



『イヴッ!!! もう……こんなコトは止めてください……ッ!! 我々の目的は長い間一致していたはずですよ!?』



 どうやら、また始まったようね。



『……だからうるせェって言ってんだろ』


『どうしてですか……? こうして最後の攻勢を仕掛ける時も、これまでだって利害ですら一致していたはずなのに!』


『煩えぞッ!!』


『ヴァァァッ! ……イヴ、一体どうしたというのですか……! どうしてそんな風に……変わってしまったんですか!』


『煩えんだよォッ!! 俺にも分かんねェ事を聞くんじゃねェよ!!』


『自分でも……分からない?』


『ああ……ッ! アイツらと戦ってるうちによ……どいつもこいつも見てるだけで無性に腹が立ってきて……。どうせ俺の目的はこの世界を壊すことだ―――だったら、全部ブッ壊しちまっても問題ねェって……そう思い始めてきてなァ』


『……でも、貴方は魔王を生かしました。それはどうして……?』


『この世界をブッ壊せなくなるのは面白くねぇからな。だが、一瞬だがそいつも殺しちまってもいいんじゃねぇかって思ったな』


『……賢明な判断です。私が居ないと新たな世界は創造できませんからね』


『―――ァ? ンだよ、それ……』


『……分かったらすぐに私を解放しなさい。そして、共に戦いましょう? 私たちが有利になるように策も打っておきましたから。全てはまだ私の手の平の上です』


『―――んなよ』



『……? イヴ―――』




『ふざけた事言ってんじゃねぇぞッ!!! ああもういいッ!! ―――悪いがお前にも消えてもらう。もう、我慢出来ねぇからなァッ!!!』


『な、何を言って―――どうしたのですか突然ッ!!』



 刹那、大気が揺らいだ。



「何……? 気をつけてアスモフィ。何だか嫌な予感がする……!」


「ええ……! 会話の流れ的に嫌な予感がしてたのは同感よ……!」



 私はそう応えると、ルミナス様を癒やす力をさらに強くする。

 頼むわ……お願いだから起きてよ……!



『ずっと……ずっとずっとずっと一人で分かったような口ぶりでよォ……いい加減ムカつくんだよ。もう我慢出来ねぇから……全部俺一人でやるわ―――だから、オメェはもう要らない。俺の視界から、消えてくれ―――』

夜に最弱姫プ更新です。力作。


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