sins.1 【傲慢】の大罪―Superbia sins―『Lucifer』
遅れました!!
いよいよガチの終盤です!
「―――良くぞ。良くぞ私を枷から解き放ってくれた。感謝するぞ、我が子孫よ」
「ええ。気付くのが遅れて、大変申し訳御座いませんでした―――“ルシファー”様」
目の前では、あり得ない光景が繰り広げられていた。
それは、悪魔の復活。
生きているはずの無い、伝説の帰還。
黒き衣を身に纏った一人の悪魔―――ルシファーの復活だった。
「ど、どういう事なんだ……?」
まだ状況が理解できない俺は、ルシファルナへと尋ねる。
「一体―――何がどうなっているんだ?」
『クッ……身体が動かない、だと―――?』
目の前ではイヴが紫色の鎖に縛られて動けない様子だったが、そんな中二人の悪魔は俺のもとへやってくる。
そして俺の疑問に答えるように、ルシファルナは言った。
―――そしてそれが、驚天動地の答え合わせとなるのだ。
直後俺はルシファルナから話を聞いて、ただ驚くばかりだった。
「―――そんな、まさか……!」
「ですが、これが事実なのです。ルシファー様と一つになって……ようやくそれを理解することが出来ました」
ルシファルナは優しい目で俺にそう言ってきた。
何ということだ。にわかには信じられない。
だが、こうして目の前にルシファーがいる以上この話は真実なのだろう。
何故、ルシファーが蘇ったか。
ルシファルナはその事についてこう語ったのだ。
―――以前襲来した堕天軍のリーダーとしてのルシファーは、何者かによって支配されていた。そしてそんなルシファーが最期に行ったルシファルナとの融合は、いわゆるルシファルナに対するSOSのような物だったのだ。
ルシファルナと一つになった事でその想いがルシファルナへと受け継がれるが、それと同時にルシファーへ掛けられていた何者かの支配の力も受け継がれてしまい、本来の二人の想いは書き換えられ、あのような行動をするに至ったのだとか。
そんなの、作り話にしか聞こえないし、どうして今その力が解けて、こうして俺の前に現れてくれたのか―――疑問は多々ある。
全て話として都合が良すぎるのだ。
どうせ、と彼らを切り捨てるのは簡単だ。
だが、俺の中にいる神々がこんな事を言ったのだ。
―――何者かの支配、そして伝説の存在たるルシファーに簡単に接触出来る存在となると一つしかないだろう、と。
『うらァッ! こんなちゃっちい鎖でしばらく俺を封じ込めるとは、なかなかどうして面白ェじゃねェのッ!』
『……まさか』
『ンァ? 何がまさかなんだよ』
『……何故、彼が戻ってきたのですか。―――ルシファーが……どうして?』
アダムは、復活したルシファーの姿を見て驚いている様子だった。それもそのはずだろう。
俺の中の神々の予想では、ルシファーに支配をかけたのは―――この、双神の片割れ“アダム”なのだから。
「―――想いの力、という事ですよ。貴方達には微塵もない、ね」
以前あったルシファーとは全く違う、優しい口調、優しい声色でアダムへと言ったルシファー。
『想いの、力―――? そんなモノ、くだらない。誰が何を思おうと、私たち創造主たる神の前には叶うはずが無いのですッ!』
『ああそうだぜ。俺らが支配するこの世界が、いつだって正しいんだよ―――だから、アダムが間違ってるはずがねぇんだよ! いつだって気に食わねぇがな』
珍しく同調している二人の神は、宙で並んだ。
そんな中、ルシファーは俺の隣へやってくる。
「―――初めまして、ですね。魔王ルミナス」
「……そうなるのかな。お前が、《七つの大罪》最強のルシファーなのか?」
「ええ。私が、真のルシファーと申しましょうか。ともかくこれが本当の私なのです」
「……全然違うんだな」
「まあ、攻撃的ではないはずですのでね。ホント彼には感謝ですよ」
ルシファーは少しだけ後ろにいるルシファルナを見ながら言った。
「ルシファルナに?」
「ええ。彼が、貴方を助けたいと想わなければ私は解放されませんでしたから」
「……アイツが、そんな事を」
「ええ。きっと罪滅ぼしの意味が強いのでしょうね。それに、私が知っている中でも貴方は1、2を争うくらい人のいい魔王だ。だからこそ、彼も貴方に惹かれたのでしょう」
「そう言ってもらえると、何だか恥ずかしいけどな」
「謙遜しないでください。それよりも今は、奴らとの戦いに集中しましょう。人のいい魔王だからこそ、この世界から失う訳にはいかないのです」
(この世界から、失う訳にはいかない―――か)
ルシファーのその言葉を聞いた瞬間、俺の中には何かモヤモヤする気持ちが生まれていた。
―――あれ。何だったっけ。
俺が、戦う理由は。
「わ、分かった」
「もちろん私も協力させていただきますよ」
俺が返事をすると、ルシファルナもこちらへやってきてそう言った。
「でも、何か作戦はあるのか? そう簡単に太刀打ちできる相手では絶対にないぞ?」
「それに関しては、私に作戦があります」
「作戦?」
「はい。―――貴方に、力を集わせるのです」
(力を、集わせる―――? それって、つまり……そういう事なのか?)
俺の脳内には、一つの作戦が思い浮かんでいた。
ルシファーの今の言葉が、全てを現している―――そんな作戦が。
「―――まずは、私からですかね。現状、貴方から感じ取れる気配は神のものしかありません。悪魔の……大罪の力を集わせて、その力で戦うのです」
「……力を―――つまり、お前たちが俺の中に戻ってくると言う事か」
「はは、私は初めてですがね」
「……また煩くなりそうだな」
「ですね。私も他の仲間たちと会えるのを楽しみにしてますよ」
「―――もう来るのか?」
「ええ。あまり時間を使う場面ではないでしょう?」
「それもそうだな。分かった―――いつでも来い」
そう言うとルシファーは、俺の中へと入るように輝き出した。
身体の一部が、少しずつ粒子状に変化していき、それが俺の中へと入り込んでくる。
『面倒な事を―――ッ!』
『イヴ、彼をすぐに止めなさい!』
『応ッ!!』
俺たちの様子を見届けていた双神だったが、どうやらルシファーが俺の中に入るのは避けたいみたいで、すぐに攻撃を仕掛けてきた。
「させませんッ!!」
しかしそんな状況で双神の前に立ちはだかったのはルシファルナだった。
「何度も歩くべき道を変えて、その度に周りの人に迷惑をかけてきました。これは、せめてもの罪滅ぼしです。―――今度は、誰の為に、私自身が何を出来るのかをちゃんと考えて。そして奢り高ぶる事無く、為すべきことを最後まで成し遂げてみせますッ!!」
(ルシファルナ……ッ!)
『煩えぞ雑魚がッ!! そんな覚悟があったところで、死んだら意味ねェだろう!?』
「大丈夫。私は、絶対に死にません―――だって、私の主様は、とっても心配性ですから」
そう言うと、俺の収納魔法が勝手に発動し、異空間から一つの武器が現れた。
それは、合神器伝承弓だった。
「―――力を貸してください」
その弓は、ルシファルナのもとへ勝手に飛んでいき、それをルシファルナは分かっていたかのように受け取ったのだ。
『ハッ! そんな弓一つで何が出来るってんだ!』
「必ず一矢報いてみせましょう。これが、私の想いの力です―――ッ!!!」
魔力で生み出した矢を構え、それをイヴに向けるルシファルナ。
しかしそこに、さらなる乱入者が現れたのだ。
「―――いい覚悟ねッ!」
「―――貴方のその覚悟。私の美徳に値するくらい良いものでした」
『貴様らは……ッ!!!』
それは、奇跡と呼ぶにはあまりにも美しい存在だった。
空から舞い降りる、二翼の天使。
『何故……貴方たちまでッ!』
「申し訳ありません。ですが、私たちはそろそろ間違いを正さなければならないみたいです」
そうアダムに告げながら、現れた天使―――ミカエルは俺の方へとやってくる。
「申し訳ありませんでした魔王ルミナス。複雑な事情があって、我々は貴方を―――貴方方をこのような騒動に巻き込んでしまいました。ですので、私も……私たちもせめてもの罪滅ぼしをもって貴方にお詫び致します」
そう言うと、ミカエルも自身の身体を光らせる。
これは、ルシファーと同じ状態だ。まさか、彼女も俺の中へと来るのだろうか。
「ルミナス様。我ら【謙譲】の天使、貴方に忠誠を尽くす事を誓います―――ですので、どうか我らにもお力をお貸しください」
「み、ミカエラ……?」
もう一人の天使―――ミカエラは、今までに見たことのないくらい真面目な喋り方でそう俺に話す。
そんな普段とのギャップに驚きながらも、俺は笑顔でこう返した。
「そんな固くならなくていいんだぞ。今まで通りでいいんだ。当然力だって貸すし、借りるだろう。だから、何も心配することはないぞ?」
「……ルミナス様―――うん、うん! そうよね! 分かったわ。私も、貴方たちと一緒に戦うわ! 今まで通り、ね!」
「ああ、それでいい。一緒に、戦おう!」
ミカエラとルシファルナ。
二人の間に立った俺は、双神に向けて剣を構え、こう叫ぶ。
「ここからは俺も本気を出させてもらうッ! 思い知るといいさ。これが、俺と、俺の大切な仲間たちの力だとな―――ッ!!」
『ふざけないでください……ッ! 何人群がろうが、所詮は雑魚の集まりなのですからッ!! ―――やりますよ、イヴ。我らの理想の為に、“三柱”以外全て排除します』
『了解。俺が、全部ブッ壊してやるよ……! 何人たりとも邪魔させやしねぇぞ。理想の世界の為になァッ!!!』
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