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case.27 いざ決戦の地へ

強大すぎる敵と集いし希望




『貴様の力はその程度かァッ!?』


『その程度ではまだまだ甘いですよ……ッ!!』


「くっ……!」


「あるじ……さまっ……!!」



 何故だ。何故、この神たちには敵わない?

 強過ぎる。いや、“強い”という言葉を使うのも申し訳ないくらいの強さだった。


 まさに圧倒的。

 文字通り手も足も出なかった。攻撃を仕掛ける余裕すら無かったのだ。

 まるで戯れるように。赤子の手をひねるように俺とルインの攻撃の尽くを防ぐと、小指で弾くレベルの攻撃をして俺たちに大ダメージを与えてくる。


 そうやって、俺たちは双神コイツらに遊ばれていた―――



『まだ……本気じゃねェよなァ?』


『……この期に及んで力を出し惜しみするとは。ふざけているのですか?』



 双神は俺にそう問いかける。

 確かに、俺は本気を出していなかった。だが、それも作戦あっての事。じゃなきゃ最初から本音で本気を出している。


 『神威』は、建前だ。

 少しでも全力を出しているかのように見せるための、な。


(大丈夫。きっと皆が来てくれる―――そうすれば、俺は……っ!)



『……気に入らねぇ。舐めやがって―――もうこっちだって手加減はしねぇぞ』


『イヴ。多少は手心を加えるように。貴方が本気を出してしまえばこの世界は細胞レベルの話で“消えてしまう”のですから』


『―――チッ。分かってるよンな事は』


『ならいいのです』



 ―――大丈夫。時間なら稼いでみせるさ。

 だって、今の俺じゃコイツらには敵わないんだから。


 勇者と巫女。

 そして、俺に足りない仲間たちの力―――俺の中に集わせるべき力が揃うまでは。


(何としても時間を稼いでみせる……ッ!!)




 今の俺は、もう孤独なんかじゃないんだから。





「―――と言う訳で、俺たちに是非協力を」


「するわ」


「早っ!!」



 即答だった。

 早押しクイズばりに言葉の途中だと言うのに、海王様は頷いてくれたのだ。


 ―――あれから少し経った頃、皆次第に目覚め始めてきたの見た海王様は俺に事の経緯……地上で何が起きたかを、「確認の意味も込めて」と尋ねてきた。

 まだ全員が状況を把握できていない状態だったが、俺は礼儀として海王様に大体の事情を説明した。


 ……ら、一瞬で海王様は了承してくれたと言う訳だ。



「そりゃだって……ダーリンの危機と聞いたら協力せざるを得ないって言うか、ねぇ?」


「だ、ダーリン……?」


「―――というか今もダーリンは戦っているんでしょう? それならちゃっちゃと準備を済ませて向かいましょう? 事態は一刻を争うのよ!!」



 そう急かすように言う海王様。

 だけど、俺とゼウスとその他一部のメンバー以外はまだ意識が戻ったばかりですぐに出発できるという状態ではなかった。



「時間が無いのは俺たちも重々承知してますけど、このクソ神のせいでまだ皆ダウン状態なので、今すぐにというのは少し厳しいんじゃないですかね……?」



 俺は眼下にいる幼い姿に変わってしまったゼウスを睨みながら言った。



「おいおい。我をクソ神と呼ぶのはやめろよ?」


「冗談を」


「いや冗談ではないが?」



 この期に及んでコイツはまだ自分がした事が最善だとでも思っているのだろうか。流石に無理があるだろ。



「まあ、貴方の言い分も分かるわ。だから、ちゃっちゃと準備して―――って、準備の時間を設けるつもりで言ったんだから」


「あ、そうだったんですか。なるほど……それはありがたいです。アニキたちの所に向かうなら、万全の状態が良かったので」


「それは同意ね。こんなしょうもない事でダーリンたちが負ける―――なんて未来は見たくないもの」


「ですね。こんな、しょうもない事で―――」



 俺は再びゼウスを睨みつけた。



「だ、だから我はクソ神ではないぞ!?」



 いや言ってないけど。



「はぁ……まあいいや。こうなってしまったなら、せめて準備だけは完璧に整えよう?」


「……それは分かっている。作戦はずっと考えているから、安心してくれ―――ようやくあの神々と戦える時が来たのだ。そんなの、本気を出すしかないであろう?」


「はは……お前は本当に戦闘狂だな。こんな状況でも喜々としてるなんて」


「ああ。ずっと戦えなかったからな。誰とも戦えないこのくすぶりは、誰にも理解できるはず無いさ」



 双神―――アダムの守護としてずっと側に置かれ続けた結果、か。確かにそれなら仕方無いのかもしれない。

 当然、俺にそんな気持ちなど理解できるはずも無いのだが。



「さ。それじゃあ準備を始めましょ……? 早くダーリンの所に行きたいしね」


「了解です」



 それから俺たちは、海王様に案内されるがまま海底の宮殿のような場所に行き、そこで若干の休息を取ることにしたのだった。





「―――準備は出来ているかしら? 多分もう、後戻りは出来ないわよ?」



 海王ムル様は、勢揃いした俺たちにそう問いかける。

 もう、後戻りは出来ない……その言葉が俺の―――俺たちの脳内を何度も何度もリピートされる。


 でも。それでも俺は―――



「俺は、大丈夫です。アニキたちを、助けたいから……!」


「私もにぃと同じ気持ちです。おにいちゃんたちと一緒に、何としてもボスを倒してみせます……!」



 俺の手を取って、そういう月夜。

 それに同意するように他の皆も頷いてくれた。



「そ。覚悟は出来ているのね―――なら、行きましょうか」


「……はい、分かりました」


「あの飛空艇は持っていけないから、私たちだけが直接魔王領内に転移する形になるけど……大丈夫よね?」


「ええ、それで問題ありません」



 俺は海王様の言葉に頷く。

 というか直接転移できるんだ。何でだか、理由は分からないけど想像は容易に出来る。何でだか分からないけど。



「それじゃあ―――行きましょうか」



 そう言うと、海王様は目の前に一つの魔法陣を展開した。

 多分、これに入ればアニキたちの所に辿り着けるんだろう。


(よし―――行くぞ……)



 勇気を出して、一足先にその魔法陣の中に入ろうとした時。



「待って、にぃ」


「え―――ど、どうしたんだ月夜」


「……皆で、一緒に行こうよ」


「皆で……?」



 月夜に言われて、皆の方を見てみると皆も同じ事を思っていたようで。



「……分かった。皆で、行こう」


「……うん!」



 かくして。

 俺たちは、全員で魔法陣の中へと入って行ったのだ。



 さあ、いよいよ最終決戦だ―――

ブックマークと高評価をぜひお願いします!!

最弱姫プの方はしばらくお休みを頂いておりますゆえ、こちらの方を完結させられるようにたくさん書き進めてます!!

とりあえず完結させるぞ!!

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