case.17 集いし仲間達
?(?)
「そなたは―――いや、そなたらは。儂に、用があるのだな?」
「ええそうよ」
国内へ入るより前に、その人物とルヴェルフェたちは出会った。ちょうど入ろうと言うタイミングで、その人物が国から出てきたのだ。
「フム……やはり只事では無かったか。ならば、儂もそなたらと行動を共にしよう。そして、その道中で話を聞かせてくれないか」
「ふぅん、物分りいいのね。ねぇルヴェルフェ? いいわよね?」
ガネーシャは、出てきたその人物―――アルジャイル・フラウ王の同行をパーティーリーダーのルヴェルフェに許可してもらうべく確認を取った。が、ルヴェルフェは溜め息を付きながらもこう応える。
「むしろ“ダメ”なんて言うと思ったの……? そりゃ良いに決まってるよ」
「ま、確かにそれもそうね……」
「感謝する。ガネリア殿、その他の皆々も……。―――儂はアルジャイル・フラウと言う者だ。以後、宜しく頼むぞ」
アルジャイルは礼儀正しく挨拶をし、それを受けた他の仲間たちも「よろしく」と軽く受け入れた。
そんなこんなで、アルジャイル王を仲間へと引き入れたルヴェルフェ達一行は、当初の目的であった“大陸の狭間”へと向かって歩を進めていた。
その道中、アルジャイル王にはルヴェルフェが現在の状況を説明したのだが……
「なるほど」
「え、もう理解したの……?」
「うむ。まあ、要約すれば不可思議な現象によって知らない場所に転移させられたそなたらが、他の仲間たちとの合流を果たそうとしている……という事だろう?」
「まあでも、確かに言われてみればそうだね……。大したこと、まだしてないね」
「いやいや。唯一気になるのは、そなたが最後に話してくれた“神”がどうのという話だ。その話が本当なら、多分その神はここに来るぞ」
「え……? それってどういう―――」
何か意味ありげにそう言うアルジャイル。
だが、その言葉の続きを言う前に、彼らは目的の場所へと辿りついた。
「ここが、大陸の狭間―――やっぱり、渡れそうにはないか」
「そうね……皆で空でも飛べれば良かったんだけど」
アルジャイルの言葉に、ガネーシャがそう答える。
その大陸の狭間は、やはり謎の赤い光に触れれば壊れてしまいそうで、わざわざそれに触れる勇気は彼らには無かった。
だから、この狭間を渡るにはガネーシャの言う通り皆で空を飛ぶぐらいしか解決方法が無くて―――
「んー……呪術でもそういうのはきついかもなぁ。―――まあ、出来なくはないけどさ」
「そうッスね……消費する魔力とかがえげつないッスもんね」
「うん。だから、やりたくは無いんだけどね……」
何でも出来るとルミナスに賞賛されていたルヴェルフェですら、やっぱりこの状況は無理難題のようで。
陸海空、全てのルートが封じられた事で呪術による無理矢理な突破が現実味を帯びてきた、ちょうどその頃だった。
「ん……あれ、は? 皆さん、上を―――空を見てください」
リガーテが、空を指差しながらそう言ったのだ。
「空……? って、あれは―――」
それをきっかけに、ルヴェルフェを始め他の仲間たちも次々と空を見上げて、そこにあった……いや、“居た”モノに驚いていた。
「あれは、船でしょうか……?」
「―――おーい! 皆さん!」
「―――迎えに来ましたですー!」
そして、その空に居た“船”のようなモノから顔を出して、呑気な声で自分たちを呼んだのは、よく見覚えのある少年少女だった。
「白夜と……月夜……か」
ルヴェルフェは呟きながら、少しだけ微笑んだ。
困った時に彼らはいつも助けてくれる。まさしく“勇者”じゃないか……と。
そう。それはまさしく、“英雄”の登場である。
◆
「うおー! すげぇスピードが出ますね、これ!」
「なんかアトラクションみたいで楽しいですぅぅぅぅ!」
時は少しだけ遡り……。
白夜たちが護王国で“飛空艇”を手に入れた後の話だ。
とりあえずこの飛空艇を使って、まずは当初の予定をなぞって聖皇国に行こうということになっていた。
そこには、協力者である王女様―――セラ・イルミナ様が居るからだ。
彼女の協力を、今回の件でも仰ぐことが出来れば多少は助かるだろうという思いで向かっていた。
「―――もう着きそうよ〜」
「え、もうですか!?」
白夜は驚いた。
それはそのはずだろう。だって、飛空艇で出発してからまだ5分くらいしか経っていない。
なのにもうラーゼに到着しそうという事は、本来より30分以上の時短に成功してる訳なのだから。
「カップ麺と同じくらいの楽さだね、にぃ……」
「んー、言いたいことは分かるけどな。確かに、こりゃ手軽すぎだよ」
なんて、よく分からない例えを皇兄妹が繰り広げていると。
「はーい到着でーす」
と、船を操縦していたレヴィーナさんのそんな言葉が聞こえてきた。見れば、もう船は着陸していたのだ。
「ふぁー……速かった」
「それじゃあ、行きますか」
「うん! 行きましょー!」
速さに驚いているのもつかの間。白夜たちは間髪入れずに船から降りて目的の人物に会うために歩を進めたのだ。
「―――あ! 兄様!!」
「え?」
しかし、それは唐突に襲来してきた。
国に入ろうとしたら、唐突にだ。
「うわっ! ちょ、な、何だいきなり―――」
「あ、その子は―――」
「は? 何よいきなり白夜に抱きつくなんてっ―――」
白夜と月夜、そしてラグマリアは同時にそんな反応を見せた。
突如として襲来したその人物―――白夜を“兄様”と呼ぶ不思議な少女の名は―――
「あ、貴女は……セラ様!」
「はい! セラです!」
聖皇国ラーゼの皇女様(?)のセラだった。
彼女は、まるで白夜たちが訪れる事が分かっていたかのように現れて、そして白夜の胸に勢いよく飛び込んでいったのだ。
「わー! セラちゃん! おひさー!!!」
「あ、ししょう〜!! お久しぶりです!」
「「きゃあああ!」」
そして嵐のように騒ぎ立てるアスモフィとセラの師弟コンビ。
二人で抱き合って「きゃっきゃっ」と跳ねていた。
「えー。でもセラちゃん、なんでこんな所にいたの?」
「あ、それはですね……!」
と、そこでアスモフィにされた質問に答えるために一旦落ち着いたセラは、人差し指を立てて言った。
「―――皆様との道中にお話致します!」
「ん? それって……」
「はい! ついていきます! 皆様に、お供させてください!」
■
「で、結局……」
「でへへ〜師匠と兄様に愛されてる〜」
―――連れてきてしまった訳だが。
セラの実力は未知数だし、それにまだ幼い。まあ、幼いとは言っても白夜たちと同じくらいだろうが、それにしたってまだ大人たちから見れば幼すぎるくらいだ。
だからこそレヴィーナや白夜には不安があったのだが……
結局、セラ本人とアスモフィの押しに負けて連れて行くことになったのだ。
「それで、順番的に次は無法都市に向かうんですよね?」
「ええそうよ。誰かいればいいんだけどね」
「きっと居ますよ師匠! 何だか分からないですけど、そんな気がするんです!」
「それは多分、女の勘って奴ね……いいセンスしてるわセラちゃん」
「えへへ〜ホントですかぁ?」
「うんうん、かわいいなぁセラちゃんは!」
まるで姉妹のような仲の良さを見せつける二人を横目に、レヴィーナさんは再び告げた。
「はいはーい。仲良しこよししてるところ申し訳ないけど、もう着きそうよ〜!」
「やっぱ速えな……」
「だね……」
白夜と月夜は、船の甲板から地上を眺めながらそんな会話をしていた。なんの身もない会話だ。
「―――ん、あれは……?」
と、ぼーっとしているせいで若干気づくのに遅れた白夜が声を上げる。
「どうしたの?」
「……多分、仲間たちを見つけた」
「白夜! それは何処?」
二人の会話を聞きつけたレヴィーナは、白夜にそう問いかけた。白夜はそれにすぐ答える。
「すぐ下のところです!」
「この下ね! おっけ! じゃあ降りるわよ!」
「了解です!」
見間違いではないかという不安感も多少白夜にはあったが、レヴィーナに伝えるとすぐに船は着陸へ向けて動き始めた。
恐らくこれで仲間たちが少しは揃うだろう、とそんな希望を持った飛空艇に乗る面々は、その直後ルヴェルフェたちと合流を果たす事になる。
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