case.15 飛空艇と三神刀
名刀、妖刀、神刀
3っていいよな
「―――町の中も、何だか異様な空気に包まれてますね」
白夜は、そう呟いた。
町の中に入ると、空が不気味な色をしているせいもあってか、住人たちの顔色は優れておらず、むしろ人通りも少ないような気がする。
まあ、そもそも他の国へ来たこと自体が彼らにとっては少ない為、何とも言えないのだが。
「とりあえずちゃっちゃと行きましょ? 早く実験がしたいし」
「だからラジエル様……!」
「うふふ。ま、実験はさておき。早く行こうっていうのは賛成よ?」
「ですね。じゃあ早く城に向かいましょうか!」
白夜の言葉に頷く一同。
彼らは静かになった町を、城に向かって歩き始めた。
■
「―――という訳で、その人たちに会いたいのですが……」
早速城についた白夜たち。
城の前にいた警備兵の人に“アマクサ”や“イクサ”ち会いたいという旨を伝えると、すぐにその事を伝えに行ってくれた。
そしてしばらくすると……
「大変お待たせ致しました! それではこちらへどうぞ!」
と、警備兵の人は城の中へ白夜たちを案内してくれたのだ。
こんな状況だからか、城内では鎧を着た兵士たちが慌ただしく駆け回っている。
それだけ戦うのにも準備がいるということなのだろうか。
「……ああ、この騒ぎが気になっているのですね」
「? あ、すいませんキョロキョロしちゃって……」
「いいんですよ。実際、アマクサ様やイクサ様ですらこの状況に対応し切れてないのですから……」
「それじゃあ、今のこの騒ぎは一体……?」
「これは、ひとまず国の防衛体制を強固な物にしておこうと言うことで、全兵士が武装をしたり身支度を済ませたり……と言ったところですね。あ、私は既に整っておりますし、そもそも衛生兵ですのであまり戦闘には参加しないのですよ」
「なるほど。だから割と軽装なんですね」
白夜は軽く笑みをこぼしながらそう言った。
そんな会話を繰り広げていると……
「―――到着しました。こちらに、お二人はいらっしゃいます」
「あ、ありがとうございます!」
「それでは私はこれで。どうか、お二人をよろしくお願い致します」
「……? わ、分かりました……」
そう言うと、警備兵の人は去っていく。
よろしくお願いされた白夜たちは、目の前の重厚な扉をノックして息を呑む。
「―――はい。どうぞお入りください」
中から声が返ってくる。
言葉のまま、白夜たちは順番にその扉の中へと入っていった。
するとそこには、二人の竜人が居た。
まあ、それは当然なのだが。
「―――初めまして、ですよね?」
「あ、はい!」
「他の方とも、会ったことがある方は恐らくいらっしゃらないと思いますので、軽く自己紹介をさせていただきます」
そう言うと、部屋の物陰からさらに新しく一人現れて、合計三人が白夜たちの目の前に並んだ。
「私はアマクサ」
「そして自分がイクサです」
「我はヤマトだ」
簡単に名前だけの自己紹介をする三人。
そのお返しにと、白夜たちも軽く自己紹介をした。
「……ほう、やはり。聞いてはいましたが、勇者ですか……」
「まあ、勇者と言っても名ばかりなんですけどね」
「まあまあ、そんなに謙遜しないでくださいませ」
「それで、今日は貴方たちに話があって来たんですけど……」
「―――もちろん、分かっていますよ。“準備”も出来ております故、どうぞこちらに」
「準備……?」
アマクサのその言葉に、白夜は疑問を浮かべながらも案内されるがまま付いていくことに。
部屋の物陰になっている所まで進むと、そこには一つのシェルター?があった。いや、正確に言えばシャッターがあっただけなのだが。
「これは?」
「……ご覧ください。これが、我らが作り上げた―――」
アマクサは言葉を続けながら、シャッターを開けた。
するとその中にあったのは……
「―――大型の、“飛空艇”です!」
そう。
その言葉通り、派手なフォルムとその巨大さでインパクト絶大な、一つの船が、そこにはあったのだ。
「飛空……艇」
そしてこれが、双神との決戦に向けて作られた“高速”飛空艇である事を、直後彼らは知ることになる。
◆
その頃。
ルヴェルフェ達は《戦帝国フラウ》へと辿り着いていた。
そして、白夜たちと同様に町の異様な雰囲気に驚きながらも、城を目指して歩いてたのだが。
その道中、とある人物に遭遇したのだった。
「―――お前たちは!」
真っ先に反応を見せたのはクサナギだった。
「何? 知り合い?」
「は、はい。知り合い……です」
「おいおい。なんかその冷めた言い方はちょっと嫌だなぁ」
「そうだぞクサナギ」
ルヴェルフェ達の前に立ちはだかる二人の鬼人。
しかし、立ちはだかってはいるものの、別に敵意は無いようだった。
「ま、本当偶然何だけどさ。クサナギがここに来てるをついさっき見つけて、こうして駆けつけたって訳」
「だ、だが何故来たのだ……?」
「フン、釣れない奴め。ここまで来たら察せ」
「さ、察せと言われても……」
二人はそれぞれ、怪しげに光る刀をルヴェルフェたちに突きつけて言った。
「俺たちも、連れて行ってくれ」
「この刀で、多少の露払いはすると約束しよう」
「お、お前たち……だが……」
それでも何やら嫌そうにしているクサナギ。
いや、嫌そうと言うよりは驚いているのか。
ともかく、そんなクサナギの肩にルヴェルフェは手を置いて言った。
「いいんじゃない?」
「で、でも……」
「見たところ。あの刀が所有者に及ぼしている影響はかなり大きそうだよ。もちろん、それぞれの強さが人並み以上にあるのも見れば分かる。だったら、迷う必要は無いんじゃない?」
そう、ルヴェルフェは言った。
彼には、それぞれが持つあの刀が放つ異様なオーラに気づいていたのだ。
あれは、白夜の持つ赤い刀に近いオーラを持っている。
―――いわゆる、“魔剣”という奴だろう。
それならば、彼らは“魔剣”に選ばれた戦士と言う事だ。
こうしてここで出会ったのも、何かの縁。
クサナギと巡り合ったのも、何かの縁。
となればもう、答えは一つだろう。
「―――分かりました。マサムネ、ムラマサ。二人とも……頼むぞ」
「おう! 任せときな!」
「フッ……やれるだけの事はやろう」
こうして。
ルヴェルフェたちは新たに二人の仲間を手に入れて次なる地へ向かって行った。
次の目的地は《無法都市》だ。
そこで、白夜と並び立つ力をもつ伝説の王とやらを、探すのだ。
最弱姫プの更新は今日もあるよ!
22時にまたあおう!




