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case.D11 終幕への架け橋

※どうでもいいかもですが今日は予約更新です

今日ある予定がいつまでかかるか分からなかったので……





『うん―――合格です。貴方との協力関係を正式に成立させようと思いますね』


「え……いいのか?」


『ええ。もちろんです』



 俺と、俺を取り巻く今の環境をひとまずミカエルにのみ話すことになった俺は、洗いざらい隠し事などせず思いつく限りの情報を話した。

 これで味方にならなかったらただ情報をペラペラと喋ったアホな魔王として後世に名を残すことになるなー、なんて恐れてもいたのだが、どうやら杞憂に終わったようだ。



『ですが、私達《七つの美徳》が協力できるのは、件の“双神”との決着がつくまでです。それが終われば、私達はまた敵対関係に戻りますから、お忘れなく』


「それは重々理解しているつもりだ」



 ミカエルはそう言うが、これはかなり大きな一歩前進となった。

 それもこれも、全てラグエルがウリエルと裏でつながっていてくれたお陰だ。


 後でたーんとお礼をしてやらないと俺の気が済まない。

 なんて考えていると、



『ふふん、ふふふふん』



 と、あからさまにラグエルが俺にアピールをしてきた。

 「分かった分かった」と俺はラグエルを適当に流し、ひとまず話を戻すことに。



「じゃあ、そういう事で宜しくお願いします」


『ええ、こちらこそ。―――それで、我々はこれからどうすれば良いのでしょうか』


「え? それはまあ―――うん……? どうすればいいんでしょう?」


『いや、聞いているのは私の方なのですが……』



 何も考えてなかった。

 別にすぐ敵が来ると決まった訳じゃない今のこの状況で、こんなに多くの味方をつけてしまった訳で。


 いや、まあ味方が増えること自体は悪いことじゃない。

 けどその先を想定してなかったな。どうする? 魔王城ウチに住まわせるか?


 

「皆さんは、どうしたいですか?」



 困った俺は最終奥義を早速使ってしまった。

 そう、他人任せである。



『そう、ですね……ちょっとだけ時間をもらってもいいですか?』


「あ、はい。もちろんです」



 そう一言だけ俺に言い残すと、ミカエルはささっと後ろで待機していた天使組のところへ戻り、何やらコソコソ話をしていた。

 それに《天帝八聖》の新規参入組もくっついている。



(ま、ウチに来ても来なくてもどっちでもいいんだけどなぁ)



 なんて呑気にその光景を見ながら俺は、空を見上げていた。







『さあて。いよいよ明日だねぇ』


『ウム。そうだな』



 地上。

 とある場所にて、それは合流を果たしていた。



『ねぇクロノスさぁ?』


『どうした、ポセイドン』




『―――アイツらもう殺しちゃわない?』




『ならぬ』


『えぇ〜。いいじゃん、クロノスのケチ!』



 それは、駄々をこねる子供のように死の宣告をする神―――ポセイドンと。

 それを静止する叔父のような神―――クロノス。


 二神は、“双神”の命を受けて地上へと降り立っていた。




 そう。それは……魔王と、魔王に属する者たちを殲滅する為に。



『ケチとはなんだ。ケチとは。どうせ明日で全てが終わるのだ。少しだけ我慢しろ!』


『ぶー。ま、いいや。我慢してあげるよ、仕方ないからね』



 物語が終幕へと動き出すのは、明日。

 全ての始まりで、全ての終わりとなる日へ向けて、歯車は既に動き始めていたのだ。




『さあ魔王。最期の晩餐を今の内に楽しんでおきな』


『ああ。我らがこうして爪を研いでいる間にな』



 二神は不敵に笑う。

 明日の、“聖戦”を想像しながら。







『という事で話し合いの結果、しばらく魔王城に住むことにしましたので。宜しくお願いします』


「あ、了解です」



 後ろで会議を終えた天使たちが満足げな表情でこちらを見ている中、ミカエルはそう俺に告げてきた。

 何かがおかしい……そう思った俺は直接ミカエルに尋ねてみることに。



「あの、なんであんなに満面な笑みでこちらを見てるんですか? 彼女たちは」



 よく見ると、《七つの美徳》の面々のみならず《天帝八聖》の一部メンバーまで悪そうな笑みをしていた。

 絶対に良くないことが起きる気がする。



『あ』


「……ん?」


『い、いいいいや? ななななんでもないですけどね〜?』



 いや嘘付け。

 てか、なんでそこまで動揺する必要があるんだ?


 そうまでして隠したいこと……なのか?

 そうだとしたら絶対に良からぬことを考えているに違いない。いや、きっとそうだ。絶対そうだ。



「はぁ……まあ、協力してくれるなら何してもいいですよ」


『何を……しても?』


「え? ―――あ」



 溜め息をつきながらミカエルに応えた俺は、言ってから自分の失言に気がついた。

 そういえば、「何でも」とかそういう言葉はどの世界でも禁句なんだった―――と。



『ふふ……ふふふ。では、お楽しみに』


「へっ? え、いや、何を―――」




『さあ皆さん! 行きますよー!』


『『『おー!!』』』



 俺の疑問が解消される事はなく、美徳の方々は城の方へ去っていった。

 それを見届けた俺と、そしていつの間にか隣に来ていた―――



「ミカエラ……お前の始祖様、どうかしてるよ……」


「そ、そんな事言われても……。ってそれよりルミナス! あの、体は大丈夫なの!?」


「おわっ! おまっ、何して!」



 俺の服をペロリとまくり、俺の体を吐息荒くペタペタと触ってくるミカエラ。

 俺はそんなミカエラの柔らかい手と、その上目遣いに危うくもドキッとしてしまう。



「ハァ、ハァ……結構筋肉質な体してるのね……ルミナス様」


「ちょ、ほ、本当に何をして……!」


「怪我の心配をしてるのよ! ああさっきの怪我大丈夫なの!? 死ぬなんて……本当にもう……」



 ミカエラの優しさにドキドキし続けてしまうが、そうこうしていると他の《天帝八聖》のメンバーも寄ってきてしまった。



「へぇ。ホントに良い体してるじゃない」


「そんな……ミカエラちゃんが……男の体に―――パタッ」


「いい、体」


「……破廉恥だわ!」


「ちょっとだけ、素敵かもです……ぅ」



 ちょ、何これ。

 何でこんなことになってるの? 俺。


 いや、何か、脱がされてるんですけど!?



(いやいやいやいやいや落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け!)



「はぁ……はあ……ルミナス様の、体……素敵な……肉……体」


「ちょ、ちょ……皆さん!?」



 なんか、寄ってたかって俺の体をペタペタと触り始めてしまったぞこの天使たち。

 いや、待て。ちょっとホントに待ってくれ。


 これは、俺の理性が、ああ、あああああ




「誰か……俺の貞操を守って―――」




「貴女たち! 私の大切な主様から離れなさぁぁぁぁい!!!」




「わぁぁぁぁあ!」

「きゃぁあああ!」



 俺が、人生の危機を感じていると。

 そこにはルインが現れて、嵐のように怒り、そして天使たちをおっかけて行って嵐のように去っていってしまった。



 久々に訪れた休日は、そんな風に波乱の幕開けを迎える。

 その場に一人、半裸で取り残された俺は思う。



―――いつまでもこの平和が、続けばいいのにな。と。




「ちょ……私も……いるんですけど……」


「あ、ラフィーナ……そういえばさっき倒れてたか」


「はい……」




 空気が、少しだけ重くなった気がした。

次回より、いよいよ最後の幕が開きます。

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