case.2 【憤怒】の戦士サタール(1)
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「切り刻んでやるよ。『敏速』」
既に勝負は始まっていた。
「何処だ……」
前後左右をくまなく確認する。
しかし姿は見えない。
「正解は……全部、だ。『鋭剣』」
な……速い……!
全方位からの攻撃。
これは、分身か何かなのか……?
「クソ、間に合え……“招壁雷”!」
招雷と壁雷の合体魔法。それが周囲を雷で満たす。
「無駄でい。『魔断』」
刹那の剣。
速すぎて目視出来なかった。
そして気づいた時には、雷は消え、目の前にサタールが。
「『鋭剣』」
「速えよ……ッ! “飛剣”!」
サタールの繰り出す剣技はみな速く、そして強い。
それにさっきの『魔断』とかいう技。あれは恐らく魔法を無力化出来る技だろう。
なら魔法は効かない。
剣だ。
物理しかない。
そう思った俺は剣を抜き、サタールに対抗する。
「それも無駄でい。『剣天』」
ッ……!
魔法……か!?
剣が空から無数に降ってくる。
まさに剣の雨。
「そうか、お前……魔法も強いんだったな……!」
なんとか避けながら、俺はそう言った。
「ハッ、そいつぁルシファルナの野郎から聞いたんか?! なら訂正しておきな。俺の剣と魔法は『まだ弱え』んだよ!」
これで……弱いだと……?
「だがアンタと俺じゃあレベルがちげぇよな!?」
自分事を弱いと言っておきながら、その上こちらに煽りを入れてくるサタール。
まさに“鬼”だ。
だが、俺もそんな言葉一つで折れる程やわじゃない。
「んなことたぁ分かってる! だから俺は俺のやり方でお前を超える!」
「ヘッ……面白え……。前の魔王と違って、なかなか面白え魔王じゃねぇか!」
剣も……魔法も通用しない……。
ならどうするか。
手は2つ。
一つ、今から新しいスキルを手に入れる。
一つ、『弓矢』で戦う。
「考える暇はねぇぜ? 『流刃』」
言葉通り、考える暇を与えてくれないサタール。
素人目じゃ理解の出来ない剣技を、目視できないレベルのスピードで繰り出される。
俺はそれを、何とか剣で防ぐのだが……
―――カキン……ッ
「折れちまったなァ……?」
剣が……折れた……。
もともと強い剣ではなかった為、いつかは壊れるだろうと思っていたが、まさかそれが今だなんて……!
「んじゃこれで終わりだぜ? 『瞬剣』」
サタールが消える。
……本当はこんなこと、怖くてしたくはなかったんだが。
やってみるしかないだろう。
あの呪いにも近いスキルを使う。
サタールは俺が弱いって分かっていて戦いを提案してきた。
なら、サタールには何か考えがあるのだろう。
となればもちろん、俺を殺しはしないはずだ。
現れるとしたら、背後か……正面か。
いや……全部か。
なら……。
俺は正面に向かって一歩進んだ。
―――グサリ。
鈍い音。
―――ポタッ……ポタタタ……
徐々に勢いをます出血。
「これでこの戦いは終い……だ」
「主様ッ!?」
フッ……フハハ……計画通り……だ!
「おい、何やって……俺ァ殺すつもりなんて……!」
「おい! サタール、早く回復魔法を!」
「あ、あぁ……今すぐに……!」
ルシファルナの指示で、サタールはすぐさま動く。
させるか。
ここで回復されちゃ困る。
ここで、死ぬ。
「さ……せ……る…………か!」
「は……?」
俺は手に持っていた折れた剣をそのまま自分の胸へ持っていき、そして。
―――グサリ
「おい……おいおいおいおいおい! 何やってるんだオメェ!」
これで、死ねる。
全てが整った。
俺はニヤリと笑う。
「笑っている……だと?」
すぐ帰ってきてやるよ。
―――強くなってな!
▶スキル『転生』を発動します。




