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case.D1 集う仲間たち

新作、順調に書き溜まっております

すてんばい




「そんで〜? 一日な〜んにも無かったわけだけども」


「ん。ま、そだね」



 外がよーく見える窓の隣にある椅子に腰掛けた僕たちは、そこで外の監視をしながらだらだらと雑談していた。

 最初の方こそシフトを組んで、ローテーションで仕事を回していた僕たちだったけど、途中から一人になってもすることが無い、という事に気づいて今もこんな感じにだらだらしているのだ。


 そして、そんなこんなでまる一日。

 特にする事も無くボケーッと窓の外を眺め続けてもうすぐ一日、だ。



「暇ッスね〜」


「そ、だね」



 話すことも無く。

 僕たちは本当に虚無感のある時間を過ごしていた。



「あ……もしか、すると……」


「どーしたんですかー、ベリアル様ー」



 突然何かを言いかけたベリアル様に対してレヴィーナが、心底興味なさそうに問いかけた。


 ベリアル様とは―――主である魔王ルミナスが置いていった伝説の《七つの大罪》の、さらにその幻の八番目の存在。

 己の内に眠る大罪を解放し、召喚して行った自らの主が言っていたのは、「ベリアルは“虚無”の力を使う」という事。


 捉え方・使い方次第では最強の存在になりうると言う。



「どしたんすか、ベリアル様」


「あ、の……誰か、来る……気がします」


「誰か来る……?」



 どうしたんだ。

 何か嫌な予感がするのは気のせいだろうか。


 一応、何があっても大丈夫なように城の防衛システムは起動してあるし、僕とスレイドで様々な“付与エンチャント”も施しといてある。



「この、気配は―――」





「―――ただいま戻りましたー!!!」





「あ、き……た」



 大きな声が城内に響き渡る。

 えーっと……この声の主は―――



「勇者……か」


「でも、まだ予感がする……から、来るかも……です」



 ベリアル様の予報的中。

 本当に誰か来たね。


 それにまだ誰か来るかも、か。

 まあ、とりあえずは……



(敵じゃなくて良かったよ……)



「んー、みんな帰ってきたっぽいわね〜。それじゃあ迎えに行きましょうか!」


「了解」


「了解です」



 てなわけで、僕たちは城の入り口の方から聞こえてきた声の主たちを迎え入れるべく、足を進めた。





「―――お帰り〜」



 俺たちが城に到着すると、そんな気怠そうな声が俺たちを迎えてくれた。


 ルヴェルフェさんだ。



「あ、ただいまです!」


「只今戻りました」



 俺と月夜、アスモフィさんにクサナギさん、そしてビッグ・マザー。

 全員が城の大広間への転移が完了していた。

 そこに、ルヴェルフェさんを始め、レヴィーナさんやスレイドさんが迎えに来てくれる。



「あーいお帰り〜。どうだった―――って、色々あったみたいね」



 レヴィーナさんは、俺の隣にいたビッグ・マザーを見てそう言った。

 それに、戦闘後だったし少し服装がボロボロだったのもそう見えたのだろう。



「―――ん? もしかして……白夜の後ろにいるその子って―――」



 さらにレヴィーナさんは、俺の後ろでモジモジしている奴の存在にも気づいた。

 そう、他でもない、月夜だ。


 レヴィーナさんが特に心配していた存在。

 それが、月夜なのだ。


 存在に勘付かれた月夜は、俺の背中からぴょこっと顔を出し、涙目のまま言った。




「あ……の……。た、た、ただいま、です」




「月夜……ちゃん」


「へぇ、見つかったんだ」


「意外ッスね……」



 ひょこっと顔を出し、ペコリと頭を下げた月夜に三人とも驚いているようだった。



「月夜……ちゃん」


「―――あ、そうだ」



 よろよろと一歩ずつ近づいてくるレヴィーナさん。

 そしてその近くで、何かに気づいた様子のアスモフィさん。



「貴女は、一体何処に―――」


「―――月夜ちゃん、先にお風呂入りましょ! お姉ちゃんが身体洗ってあげるわ!!」




「―――え」




 奇想天外。

 レヴィーナさんが涙を流しかけたその瞬間、アスモフィさんは月夜をお姫様だっこすると、ぴゅーん!と風呂場の方へと走って行ってしまったのだ。



「ちょ……ちょっと待ちなさいよぉおおぉぉお!!!」



 当然、それを追いかけるレヴィーナさん。


 帰宅早々、騒々しい声が城内に響き渡っていた。

 まあ、あの三人なら放置していても大丈夫だろう。


 お風呂で水入らず話をしてもらえばいいか。



「あはは、相変わらずだね……アスモフィは」


「そうですね……」


「それで? 何か収穫はあったの? その隣の人型マシーンの事も気になるけど」



 アスモフィさんたちを見送った後、俺はルヴェルフェさんに色々と聞かれていた。



「あー、そうですね……。俺らのところはかなり色々あったんで、後で纏めてお話したいんですけど」


「ええ。行動目的が、行動目的でしたので……この方、ビッグ・マザーを含め色々とあったのです」



 少しだけ振り返りながら、俺とクサナギさんはルヴェルフェさんにそう話した。

 するとルヴェルフェさんは、



「それじゃ、他にも誰か来るみたいだから、その人たちを待って“魔王会議”でも開こっか」


「ですね」



 そう提案してきたのだ。

 “魔王会議”……時間的には前回やってからまだそこまで経っていないのだが、その間が濃密過ぎてかなり昔にやったみたいな感覚があるな。


 と、考えていると。



「―――あ、また来る……よ」



 と、誰かが言った。

 そしてその直後。声の主の方を見るよりも早く声が聞こえたのだ。





「―――ただいま」






 戦いの後、私たちは戦闘の際に生み出した森の中で露天風呂を作って、そこで久々に色々と話していた。

 様々な事情を説明し、それを理解してもらうまでに随分と時間がかかってしまった。


 特に最初から反抗的だったメタリアとウリエナ、それにダルフィーネは絆すのに時間がかなりかかった。



 しかし裸の付き合いというのはかなり心が弱くなるみたいで、最終的には全員が納得をしてくれた。

 まあ、中には魔王様とちゃんと話をして、手合わせもしたいって言ってる人もいたけど、反抗はしないと約束してくれたからそれで手を打つ事になったのだ。



「それで、ここが魔王城なのね?」


「そうよ」



 という訳で、時間はかかったがようやく城に帰ってきた。

 そして、そのまま城内へ入っていく。



(あ。あれは―――)



 城内へ入ると、大広間にはすぐに人が居た。

 あの姿は、勇者……皇白夜だ。



「あ……白夜―――」



 そして、そんな白夜の姿を見たラグマリアが、少しだけ大きな声でこう言ったのだ。



「ただいま」



 と。

 そう言えば、この子勇者と付き合ってるんだっけ。


 なかなかに面白い組み合わせよね。



「あ、ラグマリア……と色んな人が―――」



 声に気づいた白夜たちが、全員こちらを向いた。

 天使以外の視線を受けた《天帝八聖》のメンバーは、こういう時にどうするか。



「おー……圧巻? 壮観? だねぇ〜」



 例え相手が誰であろうと、まずは誠意を見せるのだ。

 ズラッと横に一列に並んだ私たちは、丁寧にお辞儀をする。



「ただいま戻りました。このミカエラ、任務を全うし《天帝八聖》を全員味方に引き入れる事に成功しました」


「《天帝八聖》を、全員……!?」 


「ふふん、褒め称えてくれてもいいのよ。って、それよりもあの人は何処にいるの!?」 



 白夜が私の言葉に驚いているけど、私はそんな事よりもあの人に会いたかった。

 そう。あの人と言えば、あの人しかいない。



「む。あの人とは、誰のことだ姉さま」


「ちょ、メタリア! さっき話してくれたでしょうが!」


「何だウリエナ。さっき話した……だと?」


「そう。姉さまは、魔王の事が好きって言ってた」


「はぁ? 魔王が……?」


「あれれ〜、結構メタリアお姉さまって忘れっぽい人なんですねぇ〜ぷぷぷ!」


「おいダルフィーネ……ふざけるなよ……!」


「ちょちょ、落ち着いてみんな! 喧嘩したらお姉ちゃん起こるわよ!」



 騒々しい。

 あーもう、早くあの人が来てくれないかしら。



(今なら……こうして任務を完遂した今ならいっぱい褒めてくれるはずよ……!)



 そう、あの人の事を想っていると。

 ―――願いが、届いたのか。




「んあ、また……誰か来た、ね……」




 そんな声がして。

 その声の主を探すよりも早く、その人物たちは現れたのだ。




「―――ただいま。全員、帰ってきてるか?」



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