case.C40 帰還
だらだらと続いてCパートもついにお終い。
残るDパートにて最後の準備をして、いよいよ最終章……そして、最終決戦へと向かっていきます。
「いやいやいやいや。ついてくるって……流石に無理があるだろ、その見た目じゃ」
元の形態……つまり大きなコアのような物を守る装置の状態に戻ったエターナル・マザーは、そんな状態のまま突然そんな事を言い出してきたのだ。
「何。ついて行っちゃ駄目なの?」
「いや、駄目っていうか……むしろついてこれるのか? それが疑問なんだが」
今更規格外の仲間が増えることには問題は無い。
そうやって今まで、何人も何人も仲間にしてきたからな。
だが、その中にこんな機械というか、装置というか、むしろ兵器と呼ぶべきなのか……そんな物は居なかったからな。
とてもじゃないが、コイツが仲間になる姿が想像できない。
「ええ。小さな人型になることがなることが出来るからね。それか、誰かの身体を依代として憑依することも出来るぞ」
「誰かの身体に憑依……? 憑依ってことは、身体を乗っ取るって事だよな?」
「いいや違うよ。肉体の所有権はあくまでも依代の物さ。ただし、依代の意思があれば所有権の交代も出来るし、いざとなれば解放して分離することも可能だ。どうだ? 憑依の方がいいよね?」
確かに、一見するととてもいい話だ。
だが、憑依させるにしても誰にさせるか……そういう話になってくる。
一応はこんな装置みたいな奴でも、「魔王」を育てる為の試練らしいからな。
とは言え俺の中に憑依させるのも何だか嫌だ。
だってもう既に結構な数の存在を俺の中に迎え入れている上に、これからさらに《七つの大罪》・《七つの美徳》・《十二神将》が来るんだからな。
数にして、総勢約20名。
いや、そこまでは行かないだろうけど。
これ以上増えると、俺の許容範囲を超えそうで若干怖い。
というかむしろ恐ろしい。
となると別の信頼できて、いつも近くにいる奴がいいんだけど……
(ルインには渡せないよなぁ……)
「……?」
考えながらルインを見ると、目が合って、ルインは首をかしげてしまった。
「あれ……そう言えばアルカナは何処へ行ったのですか、主様」
「アルカナ……? って、あれ……そう言えば」
『―――ぎくっ』
「ぎくっ……?」
ルインに聞かれて、俺は思い出したようにそいつを探した。
そう言えば、いつから消えてたのだろう。
死神王アルカナ。
今は俺の『支配』を受けたり、ミカエラやアスモフィの慈悲によって生かされた恩もあって更生したと思ったのだが……
まあ、逃げ出さず、近くにいただけマシ……か?
「おい、どこに隠れたんだ〜! 隠れてないで出てこい〜!」
近くにいるのはさっきの「ぎくっ」で分かっている。
だから声をかけてみる。
しかし隠れたのだから当然反応は無い。
だったらこちらにも策がある。
「出てこないなら、無理矢理引きずり出すけど、いいのか〜?」
俺は手をかかげながら言った。
すると―――
「わ、分かった分かった! 出てくればいいんでしょ!」
そんな言葉と共に、ひょいっと俺の影から現れた黒い小さな九尾の狐のような獣。
アルカナだ。
「おいお前、一体いつから隠れてたんだ。そう言えばずっと居なかった気がするが……」
「えぇ!? そ、そうかしらね〜?? ず、ずっと一緒にいたような〜???」
「嘘つけ。お前の存在に気づかなかった俺も悪いけど、ずっと隠れてたお前も悪い。……まあ、その事に気づいた今となっては、後の祭りだがな」
「そ、そうよ! 今更気づいてももう遅いのよ! 別に、力を蓄えるために眠ってたとかじゃないんだから!」
「……へぇ。力を蓄えるために眠ってたんだ」
「げ」
馬鹿なのか阿呆なのか。
どちらにせよ、ペラペラと情報喋るマヌケだったな。
「力を蓄えるために眠ってた」……か。
少し、怪しい動きに見えるが……どうなんだろうか。
「……まあいい。その力の使いどころを間違えなければな」
「分かってるわよ……」
「それじゃあ、残る問題は―――」
エターナル・マザーの依代をどうするか、か。
「さあ、どうするんだ? 私は学習能力が高いから、どんな喋り方でも出来る万能AIだよ? ね、ルミナスさま♡」
きも。
いやどんなアピールの仕方だよ。
と言うか、考えてみればさっきまで喋り方が不安定だったのって、何だったんだ。
今は若干、姉御っぽい喋り方に落ち着いたけど。
それからの「♡」きもいだろ。
「んー……誰か居ないかなぁ……」
「無視するなよっ!」
「えっと、今は何を決めているのかしら?」
ツッコミを入れるエターナル・マザーを尻目に、アルカナが俺にそう問いかけてきた。
「えっと、今はな―――」
俺はそれに答えようとした。
その時だった。
(あ……名案を思いついたぞ……!)
その時、俺に電流走る。
突然降りてきた神からの啓示……と言ってもおかしくないような名案を思いついてしまったのだ。
「……フッ」
「何よ……そんなまるで死神みたいは口の裂け方しちゃって」
「俺はこう見えても死神だからな」
スキル『死神』を持ってるからな。
しばらく使う機会が無かったが、覚えてはいる。
(そう言えば……ステータス確認も最近してなかったなぁ……。お落ち着いたら確認してみるか……)
「さて、それで名案について―――じゃなくて、今の状況についてだが……」
「名案……?」
「いや、何でもないんだ。それで、今はな? この、エターナル・マザーっていう俺を育成する為の装置……? 兵器? を連れていくための依代となる身体探しているんだが……」
「へぇ……?」
さあ、この提案が通るのかどうか。
直接本人に聞いてみるとしようじゃないか。
「なぁ、エターナル・マザーさんよ」
「何よ」
「コイツ……このちみっこい死神王様でも、依代にすることは可能か?」
……名案すぎる。
ルインとは違うが、常に俺のそばに置いておくことを約束したアルカナなら。
そう思って、俺は提案した。
「は? 何言ってんの!? そんなの無理に決まって―――」
「―――可能だ」
「ほーらやっぱり見たことか―――――って、え???」
「―――可能だ、と言った」
(……ックク……クアハハハッ!!!)
どうやら。
この形に落ち着きそうだな……!
話の終着点がようやく見えてきたぞ!
「それじゃあエターナル・マザーさんや。そういう事でよろしいか」
「了解だ。では早速」
「ちょちょ、ちょっと待っ―――」
アルカナが静止をかけるも、虚しく。
エターナル・マザーは光の粒子のようになって、アルカナの中へと消えていった。
それはあまりにも一瞬に終わった。
だから、アルカナの反応も面白い物だった。
「て……って、え? もう終わったの?」
小さな獣のくせに、めちゃくちゃ大きな口を開けてぽかんとしていた。
ちょっとかわいい。
「む……主様? 今アルカナのことかわいいって思いましたね?」
「え? いや、あ……いや……えっと」
何だ、このルインの威圧感は。
何故バレた。いや、別にやましい事など何も無いのだが。
「まあいいです。それよりも、終わったなら早く帰りませんか? 情報の整理がしたいですし、皆様の治療もしたいので」
「っと……そうだな。オーケー、早めに戻ろう」
周囲を見渡すと、そこにはサタールやベルゼリオたちが気絶したまま転がっていた。
結構強くやっちゃったから、回復するのにも時間がかかりそうだな。
俺たちは、そんなサタールたちを二人ずつ抱えた。
抱えた……じゃないな。手を繋いだ、だな。
転移出来るように、手を繋いだ。
「よし、やり残したことは無いよな……?」
成り行きだがアルカナも確保出来たし、魔帝八皇のみんなとも合流できた。
太陽神と月光神も仲間に出来たし、ルシファルナも確保出来た。
あ、あと。
当然だが、リガルテも捕らえてきたぞ。今は虚空間に放置……? 収納してきている。
……そうか。
やり残したこと、といえばあれだ。前魔王ニルマトリアに関してだけか。
まあ……それはまた会えたときでいいや。あの人、また来るって言ってたし。
「はい、大丈夫だと思います!」
「よし……それじゃあ帰るか……!」
「はい! 主様!」
完全にやり残した事が無いことを確認した俺たちは、転移を開始した。
さあ、ようやくみんなとの合流だ……!
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シーズン5到来
―――次回case.C EXTRA 魔王のスキル整理
お楽しみに。




