case.C39 終着点
結局女
「やれるものならやってみなッ!!」
そう声を荒げながら、右腕を突き出して再びレーザー砲を撃つ構えのエターナル・マザー。
だが、チャージには時間がかかるのか、すぐには発射されなかった。
(今がチャンス……ッ!)
「ルイン!」
「はいっ、主様!」
俺はルインに合図を出し、お互い逆の方向に旋回しながらエターナル・マザーへと距離を詰めていく。
「やっぱ二人にしたのは厄介だったかな……ッ!!」
なんて言いながら、ヤツは何もしていなかった左腕も突き出してくる。
すると左腕側にも、エネルギーがチャージされていた。
用意周到なヤツだ。
右腕に集中させておいて、実際は左腕側でもこっそりとチャージしていたなんて。
ちょうど俺が左腕側を走っていたから、たまたまそれが見えたのだ。
「チャージ、完了―――」
(チャージが終わった……ッ! 仕掛けるなら今だッ!)
「ルインッ! ―――分身だッ!!!」
「えっ……!? りょ、了解です!!」
俺は反対側から大声でルインに指示を出し、分身を出すように命令した。
「フッ、何をしようったって無駄だよ! 全部私が掃除してあげるんだから!!!」
「―――“分身”っ!」
早めにチャージが終わっているであろう右腕側の方に、ルインの分身が現れた。
それに合わせて、俺も動く。
「―――『冥神』ッ!」
▶フン……面白い。
左腕側には俺の分身を大量に召喚した。
……と、さて。どうして分身を召喚したか、だが。
全てはヤツの攻撃を“処理”して、分身を使ってヤツに全反撃する為だ。
当然、ヤツのレーザー砲を受け切る用意はしてある。
と言うか、もうむしろあの技が近接戦以外では最強なんじゃないかって思い始めてるくらいだ。
(さあ、やってみようか……!)
「射出準備オーケー……行くぞ! ―――“ダブルキャノンレーザー”ッ!!!」
ブオォォォォン……!という巨大なモーター音と共に、準備は始まり……いや、終わったのか?
とにかく、機械音と共に、レーザー砲が放たれようとしていた。
「さあルイン! 反撃の時間だ!!」
「反……撃……? ―――あ……分かりました!!!」
どうやらルインも勘付いたようだ。
この分身を利用するってことにな。
そしてついに、レーザー砲が放たれる。
やはりルイン側……つまり右腕側の方が若干早かった。
しかし、こんなレーザー砲なんて……今の俺たちにかかれば余裕だ。
さあこっちにも放たれたぞ……!
「「―――“虚空斬”」!!!」
そう叫んで、俺たちは互いに目の前を分身とともに切り裂いた。
空間に現れる歪み、裂け目。
その中にレーザー砲は消えていく。
「また、その力……ッ!」
「驚くのはまだ早いぞッ!!!」
今がチャンスと、俺は全ての分身と共にさらにエターナル・マザーへと距離を詰める。
「させるかッ! “マルチミサイル”ッ!!」
しかし当然、エターナル・マザーの方も黙っているだけはなく、今度は身体からミサイルを発射してきた。
何発も何発も放たれたそれは、全弾俺側へ向かってきていた。
どうやら見たところ、ホーミング機能があるっぽいが。
こんなのも対処は簡単だ。
やられる前に、やればいい。
「―――“爆発炎魔”ッ!!」
俺はほとんどの自身の分身と共に、“爆発炎魔”を撃ち、一気に起爆させてやった。
辺りには白煙、黒煙ともに立ち込め、視界が悪くなる。
「ク……厄介ね……!」
煙に視界を奪われ、辺り構わず腕を振るっているエターナル・マザー。
だが、そんなエターナル・マザーに近づく俺たち。
「でも……まだッ! ―――“マルチミサイル”ッ!!!」
しかしそんな煙の中でも、エターナル・マザーは諦めず攻撃を仕掛けてくる。
ホーミング対象はどうやら、俺のようだ。
「それなら―――」
せっかくだ。
試してみる価値はあるだろう。
俺は脳裏によぎった一つの作戦を実行するべく、迫ってくるミサイルに対して手をかざした。
「お前らも、主に逆らってみろよ……ッ! ―――『支配』!」
飛んでくるミサイルに対して『支配』をかけてみる俺。
俺はスキルを使い終わったあと、すぐにエターナル・マザーを攻撃するように命令を出してみる。
すると―――
「何で……こっちに!」
どうやら上手く行ったようだ。
俺を対象に狙ってきていたホーミングミサイルは、全て逆方向に曲がり、エターナル・マザーの方へ向かっていった。
(チャンス到来……だなッ!)
俺はこのチャンスを見逃さなかった。
煙が徐々に晴れる中、ミサイルと、俺たちの分身が同時にエターナル・マザーへと詰め寄っている。
これが、数の暴力だ。
「決めるぞルインッ!」
「了解です!!」
互いに分身の数は、出したときと同じ数を維持したままだ。
決まれば相当な連撃になるだろう。
「行くぞ……ッ! ―――“神帝武流・激撃”ッ!!!」
「はいっ! ―――“虚空暗影斬”ッ!!」
こちら側からはエターナル・マザーの巨体は見えている。
だから容易に攻撃を仕掛けられた。
瞬時に詰め寄り、そしてそのまま俺たちは全ての分身と共に攻撃をする。
それに追撃をするように、自身の放ったミサイルも連続で当たって爆発した。
「う、うァァァァァァァァァァァァァァァァァっ!!!」
(何だ。見た目の割に案外脆いのな)
攻撃を受けて、その場に倒れ込むエターナル・マザー。
俺は、そんなエターナル・マザーに近づいて手をかざした。
(この試練が、『支配』の試練なら……)
「―――これで、決着だ」
▶よし来た。スキル『支配』を発動するぜ……ッ!
■
「はー負けた負けた。まさかこんな一瞬で負けるなんてね」
「……それで、俺たちはこれからどうすればいいんだ。結局、試練って何だったんだ?」
戦いが終わり、エターナル・マザーも普通の状態に戻った。
俺は今だ気を失ったままのサタールやベルゼリオ達を治療しながら、エターナル・マザーにそう問いかける。
「まあ……本来の勝利条件には遠く及ばないんだけど……勝ちは勝ちだしね」
本来の勝利条件には遠く及ばないのか。
もっと『支配』の力を使ったほうが良かったのかな。
「それに、戦いが終わったあとのことなんて、正直どうでもいいんだけど。君を見てたら、何だか心配になってきたからさ」
「え? あ、そうか……?」
こんな機会にまで心配されるとは。
何だか嬉しいような恥ずかしいような。
「―――だからさ、私も着いていく。私の役割は、貴方の『支配』の力の強化だからね」
「ん? 今……何て―――」
聞き間違いだろうか。
今この機会は……エターナル・マザーは。
「だから。貴方の強化をする為に、ついていくって言っているのよ」
「……え?」
どうやら。
俺の耳は、おかしくなってしまったようだ。
「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?!?」
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