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case.C24 機械族の特権

予約更新です

よろしくです



「え……? いいのかよ」


『うん。このまま続けてもボクに勝ち目はあんまり無さそうだしね』



 落とした剣を拾う様子も無く、それが戦いが本当に終わった事を証明していた。


 ビッグ・マザーはゆっくりと俺たちの方へ歩み寄ってくる。



『見事だよ。仲間の力をうまく使いこなすだけではなく、自分の力も十分に備えている。正直、歴代でもトップクラスの面白い存在だ、キミたちは』


「ほ、本当か……?」


『うん。結構面白いよ、キミたち』



 面白いと言われて喜ぶかどうかは正直怪しい気がする。

 だけど、まあ褒められているのは分かるのでちょっととは言え嬉しい気持ちになってしまう。



『あ……っと、それでさ』


「……?」


『ボクに勝ったんだ。何か褒美をあげようと思うんだけど……何か欲しいものはあるかい?』



(褒美……?)



 随分と上から目線な感じだけど、まあ貰える物なら貰っておくべきだろう。

 ―――と、思ったのだが。



(あー、いや。違うか……目的を忘れるところだったな)



「褒美……って呼べるかどうか分からないが、俺は一つお願いしたい事がある」


『お願い?』


「ああ。この国を、魔王の支配下に起きたいんだ」



 ここでも、単刀直入に言った。

 濁せば濁すだけ時間の無駄だろうからな。



『ふーん……なるほどね。今回は、三人とも仲間なんだ』


「そうだな……一応今は仲間だ。いわゆる、家族みたいな……そんな存在とも言えるかもだけど」


『へー。おっけ、いいよ。任せておきな、この国は支配しといてあげるよ』


「え……? そんなあっさりと。いいのか?」


『ああうん、全然いいよ。だってそもそもボク、最初にも言ったかもだけど、キミたち勇者や魔王をサポートする存在なんだから。断る訳にはいかないよー』



 そんな事は…………確かに言っていたが。

 まさかここまであっさりと承諾してくれるとは思わなかったな。



「あ、じゃあさ! 私からもお願いがあるんだけど! いいですか!」



 突然、会話に月夜が割って入ってきた。



『ん、ボクに出来る事なら何でもいいよ』



(あっ……今何でもって―――)



「今、何でもって言ったね……? それじゃあ―――」



 嫌な予感がしてきた。

 月夜が、暴走しそうだ……が、大丈夫だろうか。



「私たちと一緒に来てよ! 仲間に、なって!」


『うんいいよ』


「やー、そうだよねー。やっぱり無理―――え?」



 月夜が、見たことない顔をしていた。 



『だから、いいよって』


「……………ぁ」



 月夜が、見たことないくらい口を開けていた。



『いやー、ボクってばその言葉を待ってた節あるからさぁ! ちょっと冒険するのすっごい楽しみなんだよねぇ!』


「なに、この展開……」



(いやそれこっちのセリフなんだけどな)



 振り返ってみても、今回の旅自体がそもそもおかしいのに。

 それに加えて、この《アルマス》に来てから、壮絶な冒険しかしてないんだぞ。


 月夜に会えたことは嬉しい。

 だけどそれ以上に、向こうが普通に俺と接していることや謎に力をつけていたことに対する疑問が勝ってしまっていて何だか落ち着かない。



「う、うん。冗談半分で言ったけど、来てくれるんだったらいいよね! にぃ?」


「え? あ、ああそうだな……って、俺は、こんなやつよりお前から話を聞きたいんだよ!」


「えっ…………あ、あー……うん。そだねー……」



 遠くを見るな。

 目をそらすな。


 明らかに話したくないと言った様子の月夜。



「まあ、話したくないならあんまり俺も深追いはしないけどさ……」 


「え! ホントに?! やった、にぃだーいすき!」



「ただ」



 俺に勢いよく飛びついてこようとした月夜の頭を抑えて、俺は言った。



「皆、お前が居なくなって心配してたんだからな。ちゃんと、帰ったら謝るんだぞ? それだけは約束だ」


「あ……」



 俺がそう言うと、月夜は立ち止まってうつむいた。



「うん。分かった……ごめんね、にぃ」


「俺はいいよ、別に。ただ、レヴィーナさんとかがすごい心配してたからさ」


「……ちゃんと、謝るよ。ほんとに、ごめんなさい」


「だから別に俺はいいんだって」



 俺は笑いながら月夜の頭を撫でてやった。



「っ……うっ、にぃは、いっつも優しいね……」



 肩を震わせて、俺の服の裾を摘んできた月夜。

 そんな様子を見ていたビッグ・マザーは言った。



『いい雰囲気のところごめんね。ちょっといい?』


「ふえっ……? あ、う、うん! いいよ!」



 月夜は俺から離れると、目元をゴシゴシと勢いよく腕で拭って、笑顔を俺たちに向けてきた。


 こうなればもう月夜は完全復活だ。



「それで? どうしたんだ」


『あー、うん。一応、この国の支配権は多分取れたよ。魔王を信仰するようにしたから、これで大丈夫だと思う』


「早くないか……?」


『まあね。これでもこの国の支配者だし。“機械族マギアス”っていう情報をインプット・アウトプットしやすい種族の特権だよ』 


「なるほどな」



 そうか。機械族の特権、か。

 それならば納得だ。



(っと……やる事も終わったし、そろそろ戻らないとか)



 待っているアスモフィさんやクサナギさんの事を思い出して、俺はすぐに確認した。



「それじゃ、そろそろちょうどいい時間だし……俺は行こうと思うんだけど。二人とも、ついてきてくれるな?」


「うん、いいよ! 私は絶対に行かないとだし!」


『ボクも、ちょっと楽しみだし行くよ〜!』



 と、乗り気で答えてくれる二人。

 「それじゃあ」、と二人の答えを聞いて俺は歩き始めた。



「ひとまず、外で待ってるアスモフィさんたちと合流するぞ〜!」


「了解〜!」


『おっけー!』



 と、数々の騒ぎを起こした件の“巫女”と、ロボットアニメに出てきそうな機械の騎士を仲間に加えて、俺たちは城を抜け出すのであった。

  

毎週土曜日は予約更新になるかと思います

まあ特に変わらないと思うのでよろしくお願いします

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