case.C16 長老たちの使命
予約更新2回目です
ちゃんと見えてるでしょうか……?
「一体どういうことなんですか……?」
「説明足らずで申し訳ありません。詳しく説明したいので、一度こちらの用意する席まで来ていただけないでしょうか」
その爺さんは、そう言いながら俺たちのいる牢屋の鍵を開いた。
そこから出ながら俺は聞く。
「あの、いまいち状況が掴めないんですけど……一体どういう事なんですか?」
「すいません……なにぶんこちらも急な準備でしたから……。我々もあまり理解できていないのですよ」
(急で理解できていない……だと? それってどういう……)
少し不思議なその言葉に疑問を浮かべるも、爺さんが「ささ、こちらへ……」と俺たちを案内するので、仕方なくそれに着いていくことにしたのだ。
「それにしても、なんか展開が急ね」
アスモフィさんがそう呟いた。
「ええ。本当に」
クサナギさんがそれに同意するように頷く。
実際、今までの行動を振り返ってみると、
《森ノ大国》に来て。
人が誰も居なくて。
かと思えば急に現れた兵隊に捕まって。
偉い人が出てきて、その人たちが急に跪いて俺たちを開放した。
起承転結みたいな、4コマ漫画みたいな展開に若干どころか結構困惑気味の俺たち。
そんな俺たちはその爺さんたちに案内されて、目の前にそびえ立つ大樹の中へと潜り込んでいく。
「こちらへどうぞ」
そう言って案内されたのは、大樹の中にある小さな会議室のような部屋。
いつも……こんな感じだな。大体会議室っぽいところち通されて―――
なんて考えながら、俺たちはそれぞれ手前側から席につく。
「それでは……改めまして」
5人の爺さんたちも俺たちの近くの席に腰掛け、その内の一人だけが皆の前に出てきた。
「私の名前は、『五老』のハクレイ。一応、この『五老』の長をやっている者です」
(五老…………? あれか、五大老みたいな物か?)
長老ハクレイの自己紹介が終わると、今度は、それぞれ座っていた4人が立ち上がって自己紹介を始めた。
「ええ、私は『五老』のカイホウと言います、ええ」
「私は、『五老』のゲンゾウと申します」
「我は『五老』ジン」
「最後に、私が『五老』の人事担当。名をサイゾウと言います」
カイホウにゲンゾウ。ジンにサイゾウね。
何だか似ている名前な気もしなくはないが、まあ覚えられるだろう。
「それで、お話なのですが……」
「えっと、一通りそちらの話を聞かせてください。その後で聞きたいことを聞こうかなって思うので」
「かしこまりました。それでは……お話致しましょう」
そう言って話が始まるかと思えば、ハクレイさんは急に頭を深く下げた。
その姿に驚くのもつかの間、ハクレイさんは、
「改めまして、この度はうちの部下たちの非礼。誠に申し訳御座いませんでした。一族を代表して、お詫び申し上げます」
「えっ……?」
俺たちが牢屋に入れられた事を本気で謝ってきたのだ。
それを見て俺は、
「いやいやいや、別に大丈夫ですって! 俺たちが何か危害を加えられたとかじゃないんで、全然気にしなくていいですよ!」
「そ、そうですか……? それなら……改めて、お話を続けさせていただきますね」
「はい。お願いします」
と言うわけで仕切り直しだ。
場の空気は、再び真剣な物に切り替わる。
「まず、我々『五老』は先程完成したばかりの組織なのですよ。今より数時間ほど前に訪れた来客によってまとめ上げられた、仮の……即席の組織なのです」
「然り。我らはそれぞれ小さな部族をまとめ上げていた、言わば小領主のような存在だったのだがな」
「ええ、ハクレイの言うとおり、突然の来客によってそんな我々が集められた訳でして。ええ」
(それが多分……)
「それが、“巫女”なんですね?」
「その通りでございます。“巫女”殿が、数時間前に突然、私の前に現れたのです。彼女は名を……“スメラギ”と名乗っていましたな」
確定だ。
これで月夜がまた何か、俺たちの知らないところで勝手に色々とやってる事が発覚したな。
「彼女は我々に、“勇者”と“魔王”の話をしました。彼らを取り巻く、重要な今の環境や世界の危機などの話を」
(アニキの……魔王の話もしたのか……? アイツ)
「情報は少しだけ古いやつかもだけど、なんて仰っておりましたが……それでも重要な情報であることはすぐに我々全員が理解しました」
なるほど。
ちゃんと情報が古いということで最新の情報ではないという不安点もケアしているあたり、よくできた妹だと実感させられるな。
「という事で、急ピッチで我々は『五老』をまとめ上げたのです」
「なるほど……話の大筋は理解出来ました。でも、こんな事を俺が言うのもあれなんですけど……魔王とか魔王軍の人とかには抵抗みたいなのは無いんですか……?」
一応俺が聞いている限りだと、魔王軍は世界から忌み嫌われている……まではいかなくても厄介な存在だとは思われているらしいからな。
魔王の話も聞いたとなれば、一応確認はしておかないとだろう。
「我々《森ノ大国》の民は、かなり魔族とは縁があるのですよ」
「え……? それはどういう……?」
「別に、特段仲良くしていると言うわけでは無いのですがね。先代魔王ニルマトリアや、《魔帝八皇》の皆さんの隠れ家的な存在だったので。ああ、いまでも《先代魔帝八皇》の“暗殺者”ナキリ殿とかがこの国を隠れ家として利用しておりますな」
なるほど……。
それじゃあ抵抗とかは無かった訳か。
それにしても、先代の魔帝八皇の……ねぇ。
「そのナキリって人は、今は居るんですか?」
「今はいないですね。何か用事でも……?」
「ああいや、気になっただけなので」
「そうですか。それでは、話の続きを」
俺の疑問が解消されると、再び場が改まり、話が進む。
「まあそんな訳で、巫女殿から色々とお話を聞いた我々ですが……。最後には勇者である兄に協力してくれと言われまして。これ以上我々がどうすればいいのかを教えてくださらなかったのですよ」
「……なるほど」
(下準備は全て済ませた。だからあとはそれを俺が調理しろってことか)
「分かりました。それじゃあ、単刀直入にお願いします」
「ええ」
それなら遠慮はいらないだろう。
ハッキリと、目的を告げればいいだけなんだから。
だから俺は、こうやって言ったのだ。
「―――俺たちに支配されてください」
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