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case.C12 無法の地に返り咲く強き花

あとがきにお知らせ



「……二刀流、か」 



 俺の姿を見たアルジャイル王がそう呟く。


 俺は、魔剣グラムと、そして魔剣レーヴァテイン・改を引き抜いていた。



「さあ、早く来い。そちらが仕掛けてこないのであれば、儂から行くぞッ!」



 そう言って、さっきまでとは比にならないくらい速い動きでこちらへ詰め寄ってくる王。

 その剣は、素早く、鋭く。


 既に俺の眼前へと迫っていた。


 しかしその刃は、俺には届かない。



「何……ッ!?」



 王の刃は風を切り、ただそれだけだった。



「何処に……ッ!?」


「アンタのすぐ後ろだよ」


「なっ―――」



 俺はアルジャイル王が振り向くより早く蹴り飛ばした。



「アガッ……!」



 そして一瞬だけ生まれた、再びの隙に俺は。



「ヘル。今回はお前の力を借りるぞ……ッ!」



―――ええ、任せなさいッ! 他の神はすっこんでなさい。今回選ばれたのは私なんだからッ!



(締まらないな……どうやら、俺の内の、さらに内側で他の神たちが喧嘩してるみたいだが)



「神気解放……共に、戦おう。ヘルッ!」



 俺は構わず力を解き放った。

 今回は流石にヘルをそのまま現界させる訳にはいかない。


 だから、俺の体を操作出来るようにした。

 それも、俺の意識とは別に。


 つまり、同時に2つのことが出来るようになっているのだ。

 今の状態なら、な。



「構わず蹴りを入れるとは……中々大胆な少年―――」



「―――“絶凍氷槍アブソリュートランス”」



 ヘルが、アルジャイル王の言葉を聞くより早く魔法を撃ち放った。



「チッ……話す隙はもう無いか。それなら……」



 しかし、アルジャイル王はそれをいとも容易く弾き返していく。



―――中々強いわね……?



(ああ、あの人は強すぎるくらいだ)



 だが、実質的な2対1なら……負けるわけにはいかない!



「もう一回! “絶凍氷槍アブソリュートランス”ッ!」


「“獄炎インフェルノ”ッ!」



 ヘルが再び魔法を撃ち放ち、俺はそれに合わせる形で魔法を放った。



「二撃連続か……だが!」



 魔法がアルジャイル王に当たる直前。



「“魔断連続”ッ!」



 王は刀を乱雑に振るい、氷槍だけでなく形のない炎までもを切り捨てていったのだ。

 そしてその勢いのまま。



「……“朧月オボロヅキ”!」



 目にも止まらぬ速さで剣を突き出してきたアルジャイル王。

 『偽神威』状態である事を考えると、あの突きを喰らえば俺だってひとたまりもないだろう。



「白夜。一旦避けて―――」



 ヘルも回避行動を取ろうとしていたその時だ。



「……ッ!」



 アルジャイル王が、目の前からまたも消え去ったのだ。

 今度は蜃気楼のように揺らめいて消えていった。



「落ち着け。必ず、見えるはずだ」



(集中しろ。俺だって、『神威』を使っているんだから……!)



「落ち着いて見れば―――」


「―――遅いッ!」



(見つけた……ッ!)



「そっちこそ……ッ!」



 刹那、響く金属音。

 俺の振るった魔剣グラムと、アルジャイル王の刀が打ち合う。



「なッ……!? 何故分かった……!」


「へッ……あんまり、俺を舐めるなよ……ッ!」



 この世界に来てから、何度死線を潜り抜けてきたと思っているんだ。

 ただの学生が、普通にここまで戦えるかってくらい強くはなったはずだ。


 それは、サタールさんやベルゼリオさんの訓練の賜物と言っても過言ではない。

 あれが無かったら、今回の戦いどころか、それよりももっと前に、簡単に死んでいただろう。



「まさかこれを受けるとは……クソっ、ここは一度後退して……」



「逃さないっ!」



 俺から離れようとするアルジャイル王を、上手くヘルが引き止めた。



「んなァッ!」



 アルジャイル王の足元を、氷漬けにしてそう簡単には動けなくしたのだ。



「さあ、トドメよッ!」


「ああ。これが、終撃だッ!」



 身動きの取れないアルジャイル王。

 俺たちは、そこに容赦なく魔法を叩き込むのだ。



「クッ……! 儂も……ここまでか……ッ!!」



 両手をかざし、俺たちは魔法を練り上げる。

 左手には絶対零度の力が。

 右手には太陽をも焼き尽くす熱が。



 さあ、時は来た。

 今こそ、逆転の勝利を収めよう。



「まだ……だッ! まだ儂には見えざる刃が―――」


「もう遅い。これで、終わりにしようッ!」



 アルジャイル王の言葉を遮り、技を放たれる前に俺たちは動いた。




「“鬼神炎渦きしんえんか”ッ!」


「“鬼神氷渦きしんひょうか”ッ!」




 二つの渦が、アルジャイル王を呑み込む。

 そして、その瞬間。



 ―――俺たちは勝利したのだ。







「儂の、負けか」


「すいません、ちょっと本気出しすぎちゃって」


「いや、いいんじゃ。儂も久々に発散できて、楽しかったしな」



 戦いが終わった俺たちは、握手を交わしていた。



「それでも、儂は……民たちに雄姿を見せることは出来なかった。それは……儂の不徳の致すところで―――」



 そこまでアルジャイル王が言った時。




「カッコよかったぞー!」

「すげぇ面白かったー!」

「やっぱり俺たちの王はアンタしか居ないな!」



 なんて安っぽい言葉が、アルジャイル王に投げつけられた。

 手のひら返しもいいところの歓声は、次々と広がっていく。


 しかし、そんな言葉でも。

 暖かくて、嬉しいもので。


 見ると、アルジャイル王は涙を流していた。



「儂は……カッコよかったのか?」


「……はい」



 俺が、そう応えた。



「儂は、上手くやれたのか……っ?」


「はい……。めちゃくちゃ、カッコよかったと思いますよ!」



 そう応えると。

 アルジャイル王は、心から嬉しそうに。



「そうか……それは、良かった」



 笑って見せたのだ。

来週の木曜日に、予約投稿を試してみます

よろしくお願い致します


ブックマーク等、ぜひお願いします!

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