case.C4 戦魔に魅入られし狂国
告知通り、4/6〜12日はお休みです!
「はい☆到着〜っと!」
さて。今度はクサナギさんの要望により《戦帝国フラウ》へとやってきたのだが。
「……ん? 何だか様子がおかしいような……」
「何かおかしい所でも……?」
クサナギさんの呟いた言葉に俺は疑問を投げる。
「いや、気のせいだと思うんですが……。とりあえず城に向かいましょうか、師匠の手の者がいるはずです」
「了解です」
クサナギさんの提案で俺たちは町を進み中央にそびえ立つ城を目指して歩いた。
途中、何かおかしい所が無いか探して歩いてみたが、やはり元々の町並みを知らないから何処が変なのか全く分からなかったが。
■
「―――クサナギか?」
城に着くなり、シュデンの時のように城の門を守る兵士に声を掛けられた。
まあ、声を掛けられたのはクサナギさんだったのだが。
「おう……マサムネか!」
「ああ、久しぶりだな! それで、サタール様はここに来ているのか!?」
「いや、師匠は今日は居ない。それで、俺たちはお前らに会いに来たんだが……」
「俺らに?」
クサナギさんが門兵―――マサムネと言ったか。に、目的を伝え始めた。
俺やアスモフィさんはそれを黙って聞いていたのだが、ガネリアは何だか眠そうにあくびなんてしていた。
「そう。お前と、ムラマサに会いに来たんだ」
「そりゃまた一体どうして」
「一応俺たち三人はサタール様の弟子だろ? だから、あの時の作戦は実行出来たのか確認しに来たって訳よ」
「作戦……って、ああ。あれか……あれなら滞りなくやってると思うぜ。―――ムラマサがな」
「ムラマサが? ……何だか信用ならないが……まあ、アイツも心底師匠に惚れていたからな。流石に実行はしていると信じるか……」
……話を聞いている限りだと、あんまり情報は分からないな。
とりあえずこの門兵マサムネとムラマサ、それにクサナギさんを合わせた三人がサタールさんの弟子で、その三人とサタールさんが以前に何かこの国を動かすような事をしたんだろうな。
それを最後に実行したのは話に出てきたムラマサって奴な訳だ。
「ちょうど俺も警備交代の時間だからな。一緒にムラマサんとこ行こうや。俺らにもお前たちの話を聞かせてもらわないといけないっぽいしな」
マサムネは俺やアスモフィさんの方を見て、そう言った。
少しだけ、その視線が棘のようだったが……。
「ああ。とりあえず応接室だな」
「ああ、そうだな。場所が分かってるならそこで待ってな。ムラマサの野郎を呼んでくるからよ」
「了解だ」
そこまで言葉を交わすと。
二人はそれぞれ分かれて行く。
「では、案内しますので。皆さんは私についてきて下さい」
そう言って先導切って歩き始めるクサナギさんに、俺たちは頷いてついていくのだった。
■
「さて、と」
俺たちが案内されたのは、会話にも出てきた通り応接室だった。
二つのソファがあって、片方には俺とクサナギさんが。もう片方のソファには二人の男が座っていた。
一人はマサムネと呼ばれていた男だ。
ちなみにアスモフィさんとガネリアは俺たちの後ろに立って話を聞く態勢だ。
「さて、それじゃあ先にそっちの事情を教えてくんな。どうして急に押しかけてきたのか、な」
開口一番、マサムネは俺たちにそう聞いてきた。
それに俺が答えるよりも早く、クサナギさんが答えた。
「分かったよ。お望み通り先に答えよう―――」
そう言ってクサナギさんは、魔王の計画した作戦の一端についてや、順番に世界各国を巡っているという事。
魔王軍の様子の一部など、割と噛み砕きつつ情報も隠しつつという高度な事をしながら話していた。
それにマサムネと、その隣の男―――恐らくこの男がムラマサなのだろう。二人はうんうんと頷きながらクサナギさんの話を聞いていた。
ちなみに二人ともかなり特徴的な髪をしていて、ベースは黒髪なのだが、マサムネは正面から見て左側の髪が赤みがかっていて、逆にムラマサは正面から見て右側の髪が青みがかっていた。
しかし特徴的なのはそれだけで、それ以外は至って普通の鬼族の男性だった。
「……なるほどね。大方の話は分かったよ」
「拙者も理解し申した」
(あ、そういうタイプの人なのね……)
ムラマサの喋り方に若干俺は驚きというか、戸惑いみたいな物を感じてしまった。
が、すぐに俺は思考を切り替える。
「それで? こちらは話したぞ。今度はお前たちの番だ」
「おうおう。任せときな」
右腕をパンパンと左手で鳴らしながら、マサムネは立ち上がった。
そして彼は話し始める。
「そんじゃ、この国の影の指導者となった俺たち二人の今までの活躍を話してやるぞ!」
「拙者たちは、サタール様の提案した作戦の下、それを実行する立場にあったのだが―――」
そこからは、何ともまあ稚拙な作戦で、こんな作戦じゃ成功なんてするわけ無いというような作戦内容が語られたのだ。
その内容はこうだ。
『まずはこの国を支配する事を宣言する』
この時点で、だいぶ雲行きが怪しくなってきてるが、まだもちろん続きはある。
『そして、それに逆らってきた奴には戦いを持ちかけろ。そんでそれに勝て。そうすれば全員、お前たちに跪く事になるからな』
サタールさんの、そんな男気溢れる豪快で稚拙な作戦。
しかし、そんな作戦内容を語ったマサムネとムラマサはその直後に驚くべき結果を話したのだ。
「……って訳で、俺らはその作戦を実行したんだけどよ」
「拙者たちは、その結果……見事―――」
「「この国の支配に、成功したんだ」」
……成功、したというのだ。
(いやいやいや、待て待て……そんな武力で支配みたいなことはいいのか……!? アニキはそう言うのはダメだって言ってたような……)
「そしてこれがこの国の現状だ。拙者たちについてくるといい」
そう言ってムラマサは俺たちをさらなる別の場所へと案内し始めた。
俺たちはそれに黙ってついていく。
案内されたのは、三階のバルコニーだ。
そこからマサムネとムラマサが顔を出した瞬間だ。
『ウォォォォォォォォォッ! ムラマサ様だァァァァァァッ!』
『マサムネ様に知らない奴らも居るぞォォォォッ!』
『マサムネ! マサムネ! マサムネ!』
『ムラマサ! ムラマサ! ムラマサ!』
辺りに響くのは群衆の歓声。
しかもそれは、このマサムネとムラマサを支持する物だったのだ。
「どうだ? これが、俺とムラマサの二人でやったこの国の現状だ。もちろん、サタール様やあの魔王の事も刷り込んであるぜ」
「フン、どうだ拙者たちの実力は。サタール様の言う通り実行したのだぞ!!」
……もはや驚きを通り越して呆れまであるが……。
これが全て事実だとしたら、相当凄くないか……?
「ねぇねぇ白夜」
「あ、はい……どうしました?」
突然、背後からアスモフィさんがちょんちょん、と話しかけてきた。
「あの、もしかしなくてもこの国でやる事ももう無いじゃない?」
「あー……多分、そうみたい……ですよねぇ……」
こんなに、事が上手く進んでるとは思わなかったから、俺も言葉に詰まってしまう。
(もう、次の国に行ったほうがいいかもな……ぁ)
俺はそんな事を考えながら、今だ続く群衆の歓声を聞いていた。
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