case.C1 まずは何処から?
ついに始まったCパート。
世界を揺るがすのは、勇者か魔王か。それとも巫女なのか―――
★世界支配準備メンバー
(皇 白夜、アスモフィ、クサナギ)
「それで……ちょっと微妙なメンバーが集まったわけですけど」
「微妙ってなによ」
俺の言葉に不満げに返したのはアスモフィさんだ。
「まあ、それはさておき」
「そうね」
隣にいたクサナギさんが上手く話を切り替えしてくれる。
それにアスモフィさんと俺は続く。
「俺たちの実行する作戦は、多分一番面倒くさいヤツなんですよね……」
「そうよ。世界各国で、支配の準備を整えておくっていう、かなーり面倒くさい作戦ね」
「ですが、大体半分はもう終わったようなものですし。楽といえば楽なんですけどね……」
「うん、まあルミナス様のお願いならお姉ちゃんは聞くしかないしねぇ……♡」
蕩けた表情でそう呟くアスモフィさんを横目に、俺は少し考える。
今、クサナギさんが言った通り、今回俺たちに課された作戦の半分はもう実質終わっているような物なのだ。
現在この世界には八つの国が存在している。
折角だし、もう一度思い出す意味でもおさらいしておこう。
まずは戦帝国フラウ。
鬼族の住まうこの国では、凶暴な戦士がたくさん存在しているらしいが、以前の帝王が馬鹿だった為に、国が崩壊し、そこを《魔帝八皇》のサタールさんが支配したらしい。
つまり、この国は確認だけで大丈夫なのだ。
二つ目は護王国シュデン。
竜人族の住まうこの国は、無数の騎士が集う正義の国……だったのだが、ここでも王やその臣下たちの無謀で横暴な作戦によって国が崩壊しかけ、そこを魔王たちが上手いこと支配したらしい。
と言う事でこの国も確認をしに行くだけだ。
三つ目は聖皇国ラーゼ。
聖族と呼ばれる天使やそれに近い種族が住むこの国はアスモフィさんが見つけた弟子……確か国の王女様だったような気がするが、その人が国内支配を進めてくれているらしいから、ここも多分確認だけで大丈夫なはずだ。
四つ目は無法都市ムウラ。
国と呼ぶべきなのか分からないこの地は、話に聞く限りだとかなり危ないところみたいだ。
だが、アニキが言っていた。「馬鹿な奴には意外と何を言っても通用する」と。
だから、この国の支配も簡単だろうと。
五つ目は森ノ大国。
ここからは未知の領域だ。
まずこの国の基本情報はレヴィーナさんから聞いたのだが、妖精族の少部族が無数も集まって構成された国らしいのだが、少部族……ということはそれぞれの独自国家を持つ訳で、その内のいくつかはレヴィーナさんが仲良くしてるから簡単に話が出来ると言っていたが……
恐らくまずはそこから切り崩していくことになるだろう。
六つ目は中央商帝国アルマス。
この国は本当に謎だ。
国全体が大きな遊園地になっていて、頭のてっぺんから足のつま先までがお金を稼ぐ事しか考えていないような国なのだ。
王が誰なのか、誰が商業を回しているのかすら聞いたことがない。
唯一分かっているのは、機械族が治める国だと言う事だけ。
この国は突破口が少なさそうだ。
七つ目は死国ディブリビアゼ。
この国も謎だ。
なんせこの国に居たはずのルヴェルフェさんですらよく分かっていないらしいのだから。
小人族の住む、呪術の盛んなこの国は一体どう突破すればいいのだろうか。
最後は魔道王国サルナラ。
この国もかなり謎が深い。
獣族が治めるこの国は、からくりがそこら中に張り巡らされた機械的な国らしく、魔法や魔術が異常なまでに発展しているらしいのだ。
と、色々各国の情報は調べては来たものの……。
「ぶっちゃけ、何処から行きますか?」
俺はそう聞いた。
「そうね……行くとしたら、やっぱりまずは支配が終わってそうな場所からかしらね?」
「まあ、やっぱそうなりますよね」
アスモフィさんの言葉に俺は頷く。
ひとまず足場を固めるのは大事だもんな。
「私も、賛成ですよ。それで大丈夫です」
「分かりました」
クサナギさんも頷いて賛成してくれた。
という事は決まりだな。
まずはフラウ・シュデン、ラーゼを目指す事になる訳か。
「それじゃあひとまず、護王国シュデンに向かうとしますか?」
「シュデン……ね。分かったわ」
アニキたちの話だと、もう支配は終わってるみたいだからな。行くならまずは簡単なところからだ。
「それじゃあ行きましょうか。転移は私に任せてね」
「ありがとうございます」
そう言うアスモフィさんにしっかりとお礼を言いつつも、俺は先の事を考える。
下手したら、この作戦は何日も何日もかかる可能性が高い。
だから、一つ一つをさっさと終わらせないと時間的にも体力的にも辛いだろう。
特に、作戦が決まっていない後半四つの国はどうにか上手いこと回さないと余計に時間がかかるだろう。
「それじゃあまずは、《護王国シュデン》に転移するわよ?」
「オッケーです」
「了解です」
アスモフィさんの確認に、俺たちは頷く。
「それじゃあ、レッツゴー!」
そんな元気な掛け声と共に、俺たちは光に呑まれていった。
(さあ、作戦開始だ……!)
◆ ◇ ◆
「なあ、イクサ」
「どうした、アマクサ」
「やっぱり、辞めないか?」
「何をだ」
アマクサはイクサに近づくと、一つの大きな分厚い封筒を渡して言った。
「いや、多すぎるよ」
「何がだ」
「それを見ろって」
「……分かった」
その分厚い封筒を受け取ったイクサは、中に入っていた紙の内一枚を取り出して見る。
「あぁ……そういう事か」
「ああ。この量だぞ? 流石に国が崩壊しかねないと思うが」
「フム……まあ、確かにな」
「だったらやっぱり―――」
たじろぐアマクサに、イクサは「だが」と静止した。
「―――アヤツと……魔王と縁を持っておくのは今後必ず大事になってくる筈だ。我らは損をしない、あの魔王なら……必ずな」
「イクサ……信じていいんだな?」
「ああ、長年生きてきた勘だがな」
「分かったよ。それじゃあ、イクサを信じるからな」
そう言って二人は、再び書類とのにらめっこを始めていた。
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