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case.B4 救済の森

あつまれ



「それじゃあ……始めるわよ」



 ラグエル様が左右を見ながらそう言う。

 両陣の準備が整ったようだ。



「こちらは問題ありません」


「こっちも問題無いですわ」



 各チームリーダーの私とウリエナがラグエル様に頷いて答えると、ラグエル様も頷いて手を上げる。




「それでは。《七つの美徳》が一角、【忍耐】のラグエルの名において宣言します。

 ―――“決闘”……始めっ!!」




 ラグエル様のその言葉で、戦いは始まった。







 今回のフィールドは魔王領の離れの未開拓の地、まっさらな平原だった。


 遮蔽物も何も無く、隠れるのも攻撃を防ぐのも少し困難な今回のこの“決闘”。



 しかし、こんな状況を一瞬のうちに変えてしまう人物が一人だけ居たのだ。




「こんな不利な決闘、フィールドを変えることでぐちゃぐちゃにかき乱してやるわッ! ―――スキル『土操作』ッ!!」




 メタリアがそう叫ぶと、辺りの地面が次々と隆起していく。

 ある箇所は大きな山にまで盛り上がり、逆にある箇所は沈降していく。


 しかしこれは彼女たちの強さの序章でしかない。

 確かにまっさらな土地の状態を変えられるのはウリエナしか居ない。



 次に動いたのはガブリエラだった。




「スキル、『絶対救済アブソリュートメシィア』」




 淡々とそう呟いたガブリエラ。

 彼女のその言葉がトリガーとなって、さらに地面の各所が隆起し始めた。



「やっぱり厄介な力ね……」


「うん、あの二人はやっぱり相性が良すぎるわよね」


「ちょ、な、何が起こるの!?」


「見てれば分かるわよ」



 私とラフィーナがそう話していると、あの二人とは戦ったことの無いラグマリアが動揺していた。



 そしてその間も地面の隆起が進行していく。

 やがて隆起した地面の頂点から、ポコッ……と小さな命が生まれた。



 ―――木の芽だ。


 彼女、ガブリエラのスキル『絶対救済アブソリュートメシィア』は文字通り何でも救ってしまう力なのだ。


 その力で、さも当然のように地面から木を生やすことも出来る。

 地面を、土を、木を、自然を―――救ったのだ。



「嘘でしょ……!?」



 ラグマリアは驚いていた。

 二人の力を知っていた私やラフィーナ、ラージエリは驚かず……だがただフィールドが塗り替えられていくのを見ていることしか出来なかった。



 次々と顔を出した木の芽は急成長を見せ、一気に大木へと進化した。

 辺り一帯は、完全な森になったのだ。



「向こうの準備はもう整ったみたいね」



 向こうのチームはかなり完璧なメンバー構成に近い。

 ウリエナとガブリエラの二人が味方のサポートをしながら、メタリアが全てを破壊する。


 唯一動きが分からないのはダルフィーネだが、戦い慣れはしていなさそうな雰囲気だったから問題は無いと思われる。



 それに対してこちらのチームはかなり攻撃的な構成に近い。

 ラグマリアとラージエリが攻撃メインで、私が攻守両立、完全にサポートに徹するのがラフィーナの役割。



 さて、この戦い……どうゲームメイクしようかしらね……。




「みんな、気をつけて。向こうに居たはずの気配が既に分散してるわ」



 私はチームの司令塔として、的確に指示を出していく。

 気配は確かに分散している。


 ここは、空に飛んで状況を把握したほうが良いかもしれないが……あまり迂闊な行動は出来ない。



「空から来た敵には地上から応戦するわ」


「ど、どうして?」



 やはりまだ決闘慣れしていないラグマリアが今の私の発言に疑問を持った。

 だが当然の疑問だろう。


 私はそれに答えた。



「いい? 向こうのチームには二人、危険なのがいるのよ」


「危険なの……?」


「そ。一人はメタリア」



 彼女のスキル、『気配感知』はどうしても厄介な力となる。

 どこへ逃げ隠れしようが、彼女の前ではただただ蹂躙されるのみなのだ。


 私はそうラグマリアに伝えた。



「なるほど……隠れるのは、無意味なのか……」


「そしてもう一人は、ガブリエラよ」


「ガブリエラ姉さまが……?」



 そうだ。

 ガブリエラにはスキル『風操作』がある。


 魔法で風を生み出し、それを操作すれば空中にいる私たちを操り人形のように操作する事だって可能なのだ。


 だからこそ、空中で戦う事はすなわちリスクとなる。



「なるほど……隠れても駄目で、空を飛んでも駄目…………って、この戦い詰んでるんじゃ……!?」


「安心しなさい。負けが決まった訳じゃないわ。だから私はさっきこう言ったでしょ?」


「あっ……」


「そう。“地上で応戦する”ってね」



 そこから先は決まっていない。

 だが、勝ち筋が濃厚だとしたらそこだろう。


 ラフィーナがいる限り、私たちは死なない。


 相手の勝ち筋はそこだ。

 ラフィーナを倒して、回復手段が無くなった私たちを潰す。


 だが、逆に言えばそれしか勝ち筋は無い。

 ラフィーナのスキルは私たちを離れていても癒やしてくれる絶対治癒の力。


 

「頼んだわよ、ラフィーナ」


「うん……♡」



 恍惚とした表情で応えるラフィーナ。

 彼女に若干の悪寒を覚えながらも、私はとある事に気づいた。



「待って……これ、ヤバいかも……ッ!」



 気配が、感じ取れたのだ。



「ラグマリアとラージエリはそのまま直進を―――」




「今更動き出しても、もう遅いのよ」




 背後から声が聞こえた。

 私は“光剣”を生み出しそれを勢いよく後ろへ振るう。


 するとガキィィィンッ……という剣の打ち合う音が響く。



「やっぱり。腐っても一位は一位なのね」



 そこにいたのは凶暴な見た目をした大剣を振るうメタリアだった。



「みんな、周囲の警戒を怠らないでッ!」



 鍔迫り合いをしながらも私は指示を出した。

 さっき感じ取れた気配……あの数は尋常じゃなかった。



 4つの気配じゃない。

 確実に、100以上はあった。


 何かが、おかしい。



「―――ここでケリを付けさせてもらおう。スキル発動、『身体強化』」



 直後、メタリアの力が増幅した。

 剣を押し込む力が強くなる。



(これは、マズイ……ッ!)



「バイバイだ、姉さま」





 刹那、剣は地面を抉った。



 辺りには、鮮血と、土埃がただ舞うのみだった。

新編集版の方も絶賛毎日更新中で、内容も一部変化があったりと楽しめると思うのでそちらもよければぜひに〜!


ブックマーク等での応援、よろしくおねがいします!

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