case.B2 二極分立
造語大好きマン
「あ、あれは……」
「なんか、すごい光景じゃないですか? 姉さま」
「そうね」
私たちは轟音が鳴った方へ急いでやってきた。
するとそこには、ズラッと一列に並んだ5人の天使がいたのだ。
「姉さま、どうしますか?」
「どうするって、そりゃ……ひとまず話を―――」
そう思って、一番の親しい間柄である水色の髪で身長や胸囲もそこそこのラフィーナに声をかけようと思ったその時。
「貴女たち」
そう、冷たい声で言ったのは他でもないラフィーナだった。
その声を聞いて私たちは一瞬硬直してしまう。
「貴女……たちッ!」
「ど……どうしたのよ!」
私は荒らげられた声に返した。
するとラフィーナは一歩だけ前に歩み出た。
「ミカ……エラ……。それにラグマリアにラージエリも……私が、私がどれだけ心配したと……思ってるのよッ!」
「え……ラフィーナ?」
「ずっと心配してたのよ!!! 私……貴女の事が―――」
「ちょちょちょ、待って待って!!」
何だか止まらなさそうな雰囲気だったので、つい会話を止めてしまう。
だが、ラフィーナは構わず泣き始めてしまった。
多分、安心したのだろう。
それを見た後ろの他の天使たちも、私たちを見て、優しい言葉を―――
「―――この裏切り者が」
「……え?」
私の脳内は、一瞬でかき乱される。
思考が、停止する。
「裏切り者。見損ないましたよ」
「一位様の力、信じてたのに」
最初に言ったのはメタリア。
そしてそれに続くように、ウリエナとガブリエラもそう言い放つ。
「え……? え? 訳わかんないんだけど……」
「みんな……どうしたの……?」
どうやらラフィーナも何が起きているか分かっていないようだった。
と言うことは、恐らく予定とは違う動きをしているのかもしれない。
「ラフィーナ……こっちに来なさい」
「えっ…………うん♡」
私は近くまで来ていたラフィーナをグイッと引き寄せ、片腕で抱いた。
「この裏切り者が」
「メタリア? ちゃんと主語とかはハッキリさせなさいといつも言っているでしょ?」
「うるさい。偽善者が」
「だからねぇ……」
メタリアはいつもこうだ。
昔からメタリアは、具体的な話が出来ない会話の苦手な天使だったのだ。
見た目だけなら、紫色の髪で、高身長で、短髪のクールで理知的な女性って感じなのに口下手なんだもん。
しかもやけに言葉にSっ気があるというか、刺々しいというか。
(正直苦手なのよね)
「貴様は、私たちを裏切った。魔王の仲間となり、あまつさえ妹たちまで毒牙にかけた」
「毒牙に……きゃっ♡」
ちょっとラフィーナがうるさいけど……私はメタリアに反論する。
「あのね。今のあの人を取り巻く現状というか環境というか……分かってて言ってるの!? ちゃんと事情を知ったら、貴女たちだって―――」
「―――無理よ」
私の言葉にそう返したのは、ウリエナだ。
ウリエナはメタリアとは対照的にめちゃめちゃ理知的に話す女性だ。
金髪で胸も大きいのに、何故か身長がめちゃめちゃ低いという謎のキャラクター性を持つ天使。それがウリエナだ。
「どうして無理なのよ」
「教えてあげる。それはね、私たち天使と魔族が分かり合えるはずが無いからよ」
「どうして、そう言い切れるの?」
「それは……」
少し言い淀むウリエナ。
どうやら何の根拠も無く言ったらしい。
「貴女はいつもそうね。最後の詰めが甘い。だからこうやってすぐに立ち止まってしまう」
「う……うるさい! 貴女に何が分かるって言うのよ!」
「分かるわよ。誰よりもそばで、貴女たちの頑張りを見てきたんだから」
そう言うと、ウリエナは下を向いて黙り込んでしまった。
「―――私は」
すると今度は、対面する三人の後ろから声が聞こえてきた。
彼女は三人を押しのけて前に出てくる。
「貴女は―――」
ゆるふわな髪にゆるふわな格好。
巨乳で、ピンクと黄色の入り混じった髪。
胸元は大胆にも空いていて、なかなかにセクシーな格好の女が出てきたのだ。
あんな子……見たことない。
と言うことは、あの子が新しく入ったって言う―――
「私はダルフィーネ。現《天帝八聖》八位の末席なの〜」
「ダルフィーネ、ね……。よろしく」
「よろしくお願いします、お姉さま〜」
妙に鼻につく喋り方でかなり、いやとても気になるが、そんなのお構いなしにダルフィーネは続けた。
「私は、オカシイと思いますよぉ〜?」
「な、何がよ」
「何って、そりゃ〜魔王軍に入ることですよ〜」
「ど、どこがおかしいと言うの? 事情を聞いたら貴女たちだって―――」
「だからそれですよそれ、そんなの結果論じゃないですか」
「え……?」
結果論……?
一体この子は何を言って……
「第一、仮に私たちがその事情とやらを聞いたとして。私たちが素直に仲間になるとでも思ってるんですか〜?」
「そ、それは……」
「ほら、言い返せない。結局のところ、結果論でしか無いんですよ」
……何も、言い返せない。
確かにそうだ。
私があの人を取り巻く現状を話して協力を要請しても、受け入れてもらえるとは限らないし、向こうには何のメリットも無い。
考えが浅かったのは、認めざるを得ない。
だけど―――
「お姉さま? ほら、言い返してみてよ〜あははは!」
「お、お姉ちゃん……?」
ラフィーナの身体が、震えている。
この子は、いつもこうだ。
極端に怖がりで、すぐに唯一の姉である私を頼って。
でも、そこがこの子の可愛いところ。
そんな妹は、私が守らなくちゃいけない。
「任せて、ラフィーナ」
困った時、私たちがいつもどうしてきたいたか。
新人のこの子にもたっぷりと叩き込んで上げるとしましょうか。
「ねぇ、ダルフィーネ」
「な〜に〜」
「―――決闘、しましょう? 4対4で、正々堂々と」
タランチュラほしい
ブックマークもほしい
ヨクバリス。




