case.A8 親子喧嘩、開戦。feat.【傲慢】
power is GOD
『全軍、突撃ィィィィィィッ!』
―――ウオォォォォォォォォッッッ!!
まさに王の号令が草原に響くと、兵士たちは俺たちに向かって一直線に駆け出してきた。
いや、一直線の部隊だけではない。
三叉に分かれて、左右から迂回してくる部隊も居た。
さらには上空から、ドラゴン……いや、どちらかといえばワイバーンのような生き物に乗って迫りくる部隊も確認できる。
さらにその奥、現在魔道王が居る辺りの場所には、ゴーレムのようなカラクリ兵も5体ほど鎮座していた。
兵士達の装備は割と軽装。
武器はほとんどが杖を装備していて、恐らく魔法使いや僧侶、呪術師などの後衛職が大半を占めているのだろう。
「お前たち。それじゃああとは頼んだぞ」
俺はあの大量の王国軍の対処を任せた《魔帝八皇》の3人、サタール、マノン、ベルゼリオにそう言う。
すると3人は頷き、
「油断しなければ俺は負けねェよ。安心して自分たちの戦いに集中しなァ?」
「ええ。我が主は我らの事を気になさらずに」
「オレらが……あの糞親父をどうにかブッ潰して全部綺麗に片付けてやるからよ……ッ!」
とそれぞれ答えた。
その言葉で俺は安心して、振り返る。
俺たちの目的はコイツらとは別だからな。
『さぁこっちも準備は出来てるぜ』
『いつでも問題ありませんよ』
アポロンとアルテミスが、俺に作戦開始を促してきた。
俺はそれに頷くと、
「了解した。それじゃあ……作戦実行と行こうか」
『おうッ!』
そう答えて、視線を地面に落とす。
そこには、アポロンによって捕まった堕天使の男。
―――そう、ルシファルナ……いや“現ルシファー”がそこには居たのだ。
「久しぶりですねぇ……魔王サマ?」
「こんな形で再会なんてしたくなかったがな」
「ええ。それは私もですよ」
話は以前聞いていた。
裏切り、受け継ぎ。
色々あって祖であるルシファーが、このルシファルナに力を託して消滅し、それによってコイツが現在の【傲慢】の大罪として存在していると。
信じたくはなかったが、事実として認めるしか無いようだ。
『感動の再会はまた後でにしてくんな。いっぺん痛い目見てもらって、その性根を叩き直してやるからよ』
ジャラ……とアポロンの手から鎖が伸び、それはルシファーの足をガッチリと絡めとっている。
それをチラつかせながらアポロンはそう呟いた。
しかしルシファーは笑う。
「フフ……アハハハ!」
『何がおかしい……』
「いえ、こんな玩具で私を捕まえた、などと勘違いしている貴方に少々笑えましてね」
『ンだとッ!』
ルシファーにそう煽られたアポロンは当然キレるが、ルシファーは何故か余裕そうに笑ったままこう呟いたのだ。
「―――お願いします」
『ハァ? 何がお願いしますだ……?』
ルシファーがそう呟き、アポロンが不思議がった次の瞬間。
それは刹那の出来事だった。
―――ガキィンッ!
という音が響き、見るとルシファーの足の鎖が切れていたのだ。
『んなッ!』
そしてその場には新たな人物が立っていた。
(そう言えば、空に気配は二つあったな……)
そうだ。
上空には二つの気配があった。
だからその内の、もう一つの気配が今現れたこの人物だろう。
「フフ、助かりましたよ」
「い…………え……我が……主……? 主……の……命と……あらば…………?」
そう答えた、新たに現れた人物とは。
「今度はお前か―――リガルテ」
リガルテ……竜王と讃えられたりした事もある男なのだが……ここで敵となって現れるとはな。
まあ、コイツに関しても話は聞いていた。
レヴィーナを探して《森ノ大国》まで来ていたところを旧ルシファーに狙われて洗脳されたらしいな。
「勝負はやはり、お互いがフェアな状態で始めなければ……ですよね?」
『チッ、うるせえッ! 行くぞ魔王!』
ルシファーの簡単な煽りにつられて、アポロンは飛び出していく。
今の時間帯は昼頃で、ちょうど日も天高く昇る頃だ。
だから、太陽神であるアポロンからしたら今が一番力を発揮できる時なのだろう。
「甘い」
しかしルシファーの奴は全然動じない。
「―――『召喚【悪魔】』」
動じるどころか、目の前に無数の魔法陣を展開したのだ。
そこからは素早く顔を覗かせる悪魔たちが居た。
「よし、任せ―――」
「主様。ここは私が」
あの魔法陣を破壊しようと俺が動くと、それはルインによって先を越されてしまった。
「―――“分身”」
魔法陣の数と同じか、それ以上に分身したルインは、短剣を構えて飛び上がった。
「やはり貴方は厄介な存在ですね……ルイン様ッ!」
(え……?)
ルシファーはルインを迎え撃つ態勢になった。
『俺もサポートするぜッ!』
アポロンもルインの攻撃に合わせて再び駆け出した。
しかし俺は今のルシファーの一言に少しの疑問を抱いていた。
(どういう事だ……? 今、アイツ……ルインの事を様付けして呼んでいたような……?)
こんな事、別に大した事じゃ無いのかもしれない。
だが、どうにも引っ掛かる。
何故わざわざ様付けして呼ぶのか。
こんな事、前にもどこかであったような―――
「リガルテ。あそこの棒立ちしている魔王を攻めなさいッ!」
「魔王…………????? 攻……撃…………? 主様の……命……と……あれば…………?」
何やら不思議がりながらもリガルテがこちらへ向かって突っ込んできた。
俺はそれを確認すると、思考をすぐに切り替える。
気になりはするが、それは後で考えよう。
「って……リガルテ……?」
「私は……一体……何……を……」
突っ込んで来ていたリガルテを迎え撃とうと刀……シロガネノツルギを俺が取り出して構えると、リガルテの奴は立ち止まって頭を抱えていた。
「おい、リガルテ……どうし―――」
「チッ……洗脳は溶けるのが早いですね。仕方ありません。こうなれば強制的に―――」
俺が声をかけるよりも早く、ルシファーの奴はリガルテの上空までやってきた。
そしてそのまま頭を掴むと、こう一言。
「『強制堕天』
―――さあ、存分に暴れなさい」
―――白き龍の王よ。
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