case.A3 魔王と魔王と神の居場所
甘えと油断は禁物
「して。このような場所に、如何様か」
そう問うのは、俺たちの目の前にいるこの爺さん。
名前を、カラクと言うらしい。
そしてそのカラクと言う爺さん、何とこの国の王様なのだ。
俺たちは、魔道王国の国内に入った途端、マノンを見つけた巡回中の警備員かなんかに捕まって、流れるようにこの町の中央にそびえ立つ城の中まで連れて行かれたのだ。
玉座の間に入れたのは魔王である俺と、王の娘であるマノンだけ。
正直かなり驚いたが、それならそれで逆にその立場を利用してやろう……なんて考えることも出来るからすぐに驚きは収まった。
と、言う訳で魔王カラクとの対面だ。
「特に、用事があると言う訳でも無いのですが……」
「では何故、その忌々しい娘を連れて来た」
忌々しい、娘……か。
そう怒気の籠もった言葉を言い放ったカラクは、肩を震わせ、拳を固く握り締めていた。
「親父……オレはッ―――」
「“オレ”……? まだ、そんなままごとをしていると言うのか……」
「まま……ごと…………?」
「―――立ち去れ」
……大体の事情は察したぞ。
何となく、だが今の会話である程度推測は可能だった。
「立ち去れと言っている。その忌々しい顔を私に見せるな」
「……クッ」
淡々と言い放ったカラクの言葉に、反論出来ずただ俯くしかできない様子のマノン。
俺はそんなマノンに言った。
「ここまで言われてるんだ。今は大人しく引き下がろう」
「あ……ああ……」
話をする余地が無い。
次に来るときは、もう少し話の種を揃えてから来よう。
あとは……マノンは連れて来ない事だな。
多分コイツがいると、あの爺さんはまともに話しちゃくれないだろうから。
(さーて……これからどうすっかなぁ……)
なんて、次のことを考えながら俺たちは玉座の間を後にして、外で待つ仲間たちと合流するのだった。
■
「それで、為す術無く帰ってきたって訳か」
「ああ」
俺は、外で待っていたルインやサタールたちに、魔道王と何があったのかを説明していた。
「そんで? この後はどうするんよ、大将」
「うーん……そこなんだよなぁ……」
別に、この町で特にしたい事とかは無いしな。
それならばもうさっさとメインクエストを進めるとするか。
てか、多分それしか無いだろう。
「皆はこの町で特別したい事ってあるか?」
一応何かあるといけないから、俺は皆にそう質問してみた。
すると、
「俺は特に」「私も」「私も」「オレも」
と、満場一致でやりたい事が無かったのだ。
「それじゃあ、さっさと二人の神様に会いに行くとしますか……」
俺はそう呟いた。
だが、誰も反応はしない。
何故だ。
なんか「おー」とか掛け声があってもいいだろう。
「いや、別にそれはいいんだけどよ」
「どうした?」
俺は首を傾げた。
だって特に問題は無いはず―――
「その神様は、何処にいるんで?」
「あ」
そう言えば……そうじゃん。
居場所が、分からないのか。
「あっ、って。大将、まさか居場所も分からず会いに行くとか言ってたんで? アハハハッ! 面白ェ!」
「う、うるさいな……今から居場所を知るからいいんだよ別に……!」
そうだ。今から聞き出して知るんだ。
と言う訳でハーデス?
居場所プリーズ。
▶は?
いや、「は?」じゃなくて。
アポロンと、アルテミスの居場所。
何処なの?
▶いや、は?
え……?
まさかとは思うがお前……
▶いや、だから我は元より知らんぞ? この場所にいる事は知っていたがな。
……………
▶フン。第一まずは自分の足と感覚で探してみてはどうなのだ。何故最初から我を頼る。
……それはまあ、確かに……。
▶いつまでも誰かに甘えているようじゃ、そもそも王などと名乗る資格が無いぞ。
……済まなかった……。
って、何で俺が謝って……。
まあいい。
確かに、甘え過ぎていたかもしれない。
ちゃんと反省して、次に活かそう。
(よし……そうと決まれば―――)
「すまない、皆。今からその神様を探すことになるのだが……大丈夫か?」
俺は、皆にそう問う。
一応、確認の為に。
「当然。俺は大丈夫だぜ」
「私も、問題無く」
「私もです!」
「まあ、それならオレでも……」
『今回も満場一致、ね』
良かった……。
断られないとは分かっていても、やっぱり怖い物はある。
だが、これでようやく本腰を入れて神様を捜索できる訳だ。
「さて、それじゃあ神様捜索の作戦会議と洒落こもう」
事前に準備していた《魔道王国サルナラ》の地図を広げながら、俺はそう言って皆を集めたのだった。
ブックマーク、お願いします。
とうぞよしなに




