case.57 静かな殺意
ようやく次回から新章
▶ぬ……ぅ……。ナゼ、我がこのような……!
▶クハハハハッ! まさか我もこうなるとはな! 人生……いや、神生何があるか分かったモノじゃないな! クハハハハ!
▶わ、笑い事では無い……ッ! クソ……これじゃあアダム様に合わせる顔が……
▶フン、騒がしい奴らが来たものだ。まあ、これからよろしく頼むぞ!
▶ハヌマーン、か。
▶クハハハハッ! やはり気配がしたと思えば……こんな所にいよったか! 面白いッ!
面白いぞ魔王ッ!
―――ンぁ、また騒がしくなっちまったなァ……。
ガチでうるせェや。
―――ねれ、ない……。
―――それにしてもまさかベリアルがねェ……。一体どこまで集めれば気が済むんでぃ。
―――みんな、うる……さい、よ。
▶クハハハハッ! すまないすまない!
▶チッ……なぜ我が……ナゼ……何故……。
▶それが煩いのだ、ハーデス。
―――いい加減、だま……って。
『―――ハハン、私にも聞こえてるわよ。これ、結構騒がしいわねぇ?』
「……くぅ……」
俺の肩に、ちょこんと乗るアルカナはそう言った。
それに否定することができず、俺は頭を抱えた。
俺は先程、ハーデスをスキルで『支配』してやった。
そしてその直後、アルカナたちによって治療されたヤマトたちが起きてきて、ひと悶着あったのだが―――
―――魔王が見てるのなら……致し方ない、か。
と、やむなしと言った様子で許してくれたのだ。
もちろん、それだけで許せる程ヤマトは心が広い竜では無い。
ハーデスには、《電子大国ドライガル》を解体してもらい、再び《龍の隠れ里》を作り直してもらったのだ。
ハーデスは生死を操る神。
だから、一度自分が殺した竜人たちを蘇らせ、そこに住まわせた。
もちろん、全てが元に戻ったわけじゃないが、ヤマトはそれで満足し、「さらばじゃ」と普通に帰っていってしまった。
アマクサとイクサも同様だ。
少し怯えた様子で、「我々はシュデンの国内整理をしてくる。また後日、移住民については相談させていただこう」と、そそくさと帰っていってしまった。
そして問題のコレだが―――
『ま、いいんじゃない?』
よくない。
断じて良くない。
それも説明しようと思う。
聞いてもらったら分かると思うのだが、現在、俺の中にはハーデス・インドラ・ハヌマーンの《十二神将》組が、システムスキル『Scarlet』に組み込まれている。
全てを、俺に委ねたのだ。
さらに、シンプルに憑依している《七つの大罪》組、サタンとベリアル。
それに加えて、何故か俺の肩を住処としてしまった災厄の死神アルカナ。
騒がしくならない訳が無いだろう。
「はぁ……これから騒がしくなるな」
「まあまあ兄貴。俺も似たような状況なんで分かりますけど……。気にしたら負けですよ、これ」
「……? そう、だな」
ポンポンと空いている肩を叩かれて、何だか非常に微妙な空気になる俺と白夜。
「主様!」
「魔王様!」
「魔王!」
とそこに、ルイン・アスモフィ・ミカエラの3人の美少女が現れた。
「お前たち。もう、話はいいのか?」
何やら戦いのあと、3人は固まってひっそりと話していたのだが、こちらへ来たと言うことは、もう終わったということなのだろうか。
「はい、一応抜け駆けは無しという方向で固まりました」
「え? あ、そ、そうか」
抜け駆け……か。
俺もそろそろ、そういうのも考えないとなのか?
でも、元の世界に帰る手段を知ってそうなのは双神で……
双神と渡り合うには、色んな勢力の力を集結させないといけなくて。
……でももう、今更か。
例え、帰る手段があったとしても、俺は―――
―――「……ッ」
「我が主!」
「おっす大将」
「やーほー」
と、今度は入れ替わりでベルゼリオ・サタール・ルヴェルフェがやって来た。
ちなみにこいつらも、何だか積もる話があったみたいで、戦いのあと、マノンやクサナギ、スレイドも交えながら話をしていた。
「あれ、一緒にいた3人は?」
「ああ、マノンに追いかけ回されてるぜ。ほれ」
と、サタールは指をさす。
ちなみに……今俺たちがいる場所は、ヤマトが住んでいた隠れ小屋だ。
その、周りの広い草原を、確かにマノンたちは駆け回っていた。
元気があって、大変宜しい。
「よっと……連絡入れてきたわよ」
すると、スタッと静かに現れたのはレヴィーナだった。
「連絡?」
「そ。一応、今から大勢で帰還するわよって、魔王城にね」
「ああ、そういう――――――って、帰っちゃっていいのか?」
俺は忘れてないぞ。
確か、この後は月夜を捜索するはずだったような―――
「いいのよ。それについて、何やらミカエラ様から話があるみたいだから」
「月夜について……か。なるほど、分かった」
久方ぶりの帰還だな。
まさかこんなに早く戻ることになるとは思わなかったし、その過程がこんなに壮大になるとも思っていなかったが。
―――「……今、なら」
まあ、いいか。
また情報整理―――“魔王会議”でも開けばいいんだしな。
せっかくの機会だ。
全員が一同に会するなら、俺もちゃんと謝ろうと思う。
「それで? もう帰ろうと思えば帰れるけど」
「あー、そうだな」
―――あれ、サタンが……いな、い……?
……ん?
どうした、ベリアル。
―――何か、おかしい……の。サタンが……居なく……なっ、た。
は?
サタンならさっき俺の中に―――
―――ううん。そのあと……急に静かになって……こっそり……抜け出たのかも……?
こっそり、抜け出た?
そんな事、出来るわけが―――
―――それも、違う。今のサタンは、僕の力も、使える……から。もしかしたら……
―――“虚空”……か?
まさか、アイツ……その力で逃げ出して……?
―――「今しか、無ェよな」
刹那。声がした気がして、俺は背後を振り返った。
しかし、そこには誰も居なかった。
一体、サタンのやつ……何処に行ったって言うんだ……。
また、厄介事が増えるのは、勘弁してくれよ……?
「帰るなら、早く帰りましょ」
「そう……だな」
若干の不安と、そして久々の帰還による期待と緊張が混ざりあった、そんな複雑な心境のまま、俺たちは魔王城へと帰り始めたのだった。
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