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case.55 審判の刻―希望―

メンテナンス……?どこいったお前……



「今だッ!」


「「了解!」」



 俺がそう叫ぶと、ルヴェルフェとスレイドは走っていった。



『こ……小癪なァァァァァァァァァァァッ!』



「……ッ! おい、後ろからくるぞッ!」



 しかし、間髪入れずにそんな声が響いてきた。

 声はサタールの物だ。


 俺たちはその声につられて、そのまま後ろに振り向いた。



「―――“妖魔矢弾ティビルアローバレット”ッ!」



 するとその視界は、無限のハーデスと紫に光り輝く無数の矢で埋め尽くされたのだ。



「油断も隙も無いわね……ッ!」


「レヴィーナ……助かった!」



 俺たちをハーデスから守ってくれたのは、レヴィーナだ。

 俺はすぐに彼女に礼を言った。



「我が主よ。ルヴェルフェたちはもう行ったようです」


「そうか。それなら後は……この状況を耐え抜くだけだなッ!」


「簡単に言ってくれますね、兄貴」



 俺たちはそんな会話を交わしながら、再び全員で背中合わせに守り合う態勢を取った。



『無駄、無駄無駄無駄……貴様ら害虫の行動は何もかも無駄なのだァァァァァァァァァァァッ!!!』




『―――そうとも限らないんじゃないかしら?』




 刹那。

 次に視界を埋めたのは、黒い棘が生えたハーデスだった。


 ハーデスは身体中に、その黒い棘が突き刺さっていて、その全てが動きを止めていた。



 これは一体―――



『ふふん、これでやる事はやったわよ!』



 声が聞こえてきたのは再び後ろから。

 この声は……



「アルカナ、か!」


『はいはい、面倒くさいけど助けたからね。あと! あそこの男衆はもう生き返ったから!

そこんとこよろしく!!!』



 なんて叫んできたのだ。



「了解した! ありがとうな!」


「チッ……因縁の相手に助けられるなんて……」


「クハハハハ! それも魔王と縁を持ってしまった運命だな!」



 俺がアルカナにお礼を言う中、後ろでは白夜が悔しそうにし、ディラが豪快に笑っていた。


 って、俺と縁を持った運命って。

 それだと俺が事件とかそういう巡り合わせを呼んだみたいな感じじゃんか。



「第二陣、来ます……!」


「了解」



 クサナギのその言葉で、俺たちは警戒を強めた。

 すると、黒い棘の突き刺さったハーデスが、ボロボロと粉のような形で崩れ去っていった。



『忌々しいことこの上無い……ッ! もう一気に駆逐してやろうぞッ!』



 そんな声と共に、ハーデスは再び現れた。

 今度は一気にこちらまで突っ込んでくる態勢だ。



『滅びよォォォォォォォォォッ!』



 全方位をまたも囲まれ、状況は一変せず。

 かと思ったのだが―――






「―――そういう事、か」



「……ッスねぇ」






 空から響いてきたのは二人の声。

 喋り方と今の状況的に、その二人を当てるのは簡単だった。



(ルヴェルフェとスレイド……だよな? まさかもう本体を見つけたのか?)



「兄貴、あれって……」


「あ、ああ、分かっている」



『フン、ノコノコと戻ってきよったか! 我の本体など見つけられぬままな! キヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!』



 ハーデスもすべての個体が立ち止まって、声のした建物の上を見た。


 するとまた声は響く。





「―――木を隠すなら森の中」



「―――人を隠すなら人の中……ッスね!」



「それじゃあ、始めようか」




(……? 一体、今のってどういう―――)



 俺は疑問を浮かべる中、しかしてハーデスは面白い反応を見せていたのだ。



『う……ぬぅ……』



 となるともしかして、だが。

 本体はこの分身体の中に―――





「「―――魔陣付与マジックサークルエンチャント」」




 突然、足元に魔法陣が浮かび上がってきた。



「あ、主様! これは一体……?」


「落ち着けルイン。多分、ルヴェルフェたちの本領が見れるぞ」


「……?」


「まあ見てれば分かるさ」



 多分、だが。

 ルヴェルフェは俺が今まで出会ってきた奴の中でも、割とマジで最強クラスの『能力保有者』なんじゃないかと思っている。


 何故なら、確かに個人の技量面だけ見れば、ルヴェルフェは剣の達人であるサタールやベルゼリオ、魔法の達人であるマノンやアスモフィには遠く及ばないだろう。


 だが、その個人の、能力だけ見ればそれは別だ。



 簡単に言えば、ルヴェルフェは何でも出来てしまう。

 この、“付与エンチャント”の力と、今まで培ってきた、“呪術”の力で。


 本当に、何でも。



 だから今回もきっと―――





「「“真実ノ瞳トゥルー・アイ”」」

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