case.54 審判の刻―集約―
人数が多いと色々と大変です
『―――我らは無限』
『―――裁きを下し』
『―――主を守る者』
『―――我らが神聖なる地へ』
『―――その足を踏み入れたこと』
『『『地獄で悔いるが良いッ!!!!』』』
刹那、全てのハーデスは飛び出した。
俺たちはすぐに背中を向け合い、全員で全方向に対応できるように構えた。
こんなの口で言わなくてもみんな分かっているようだった。
「一個体の強さはそれほどではない。だが、奴は言葉通り無限にその肉体を分身させることが出来る」
「それじゃあいつまで経っても勝てっこ無いんじゃ?」
ディラのそんな呟きに、俺は疑問を浮かべる。
「安心しろ。何処かに居る筈の本体を叩けば、全てが終わる」
「それじゃあ、その本体を探せば……」
なんて言ってみたものの、一体こんな広い場所で、建物も沢山ある状況からどうやってその本体を探すというのか。
しかもハーデスは無限に分身できるときた。
こりゃ無理難題にも程があるぞ。
『まずは貴様ら9人から殺してやろうッ! “狂”ッ!』
と、そこでハーデスがやっと仕掛けてきた。
手に生み出した大鎌を、再び乱雑に投げ、さらに振り回す攻撃だ。
「任せてくださいッ!」
突然、白夜が飛び出した。
すると、彼の後を追うように、手元に冷気が集まっていたのだ。
(あれは―――)
「―――“絶凍氷壁”!」
大鎌が当たる直前、白夜の放った冷気は俺たちを囲むように大きな氷壁を生み出した。
大鎌はその氷壁に阻まれて消え去っていく。
「今の内に作戦をッ!」
『小賢しい真似をッ! “狂乱”ッ!!!』
白夜の声とハーデスの声が重なる。
「すまない、白夜!」
「いえ……それよりも早く作戦を!」
作戦、作戦か……。
そんな事言われても、やっぱり本体を探す方法なんて―――
「―――ボクたちに任せてよ」
そう言って手を上げたのは、ルヴェルフェだった。
隣には当然スレイドも居た。
「何か、作戦があるのか?」
「うん、こういう時こそ呪術の出番でしょ」
確かに以前、何でも出来るとは言っていたが……。
そんな、都合よく出来るわけが……
「すいません……ッ! そろそろ破られそうです……!」
「白夜……!」
クソ、悩んでる時間は無いってか……!
それなら、もうコイツらに頼るしか無いな。
「分かった。お前たちに、任せる。絶対に、本体を見つけてみせろよ」
「任せて」
「了解ッス!」
よし、本体探しはこの二人に任せて……。
後方支援組も、サタンとミカエラ、それにレヴィーナやマノンがいるから防御は十分だろう。
「ってことは……残った7人でこのハーデスの分身から、何とか耐え抜けばいいんだな」
「あァ、楽勝じゃねェか」
「どこからそんな余裕が湧いてるんだお前は」
呑気そうにそう呟いたサタールに呆れつつも、直後白夜の生み出した氷壁に亀裂が走った。
それを見て、すぐに俺たちは再び構える。
「もう、限界―――」
『キヒャァァァァァァァァッ! 全員切り裂いてやるゥゥゥッ!』
氷壁が崩れ去り、白夜がノックバックしてしまう。
そして崩れた氷壁、その全方位からハーデスの分身軍勢が押し寄せる。
『殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せッ!』
「ここは私が。―――“分身”」
しかし、今度はルインが全方位に分身体を生み出した。
「皆さん、合わせてくださいッ! ルヴェルフェ様たちの逃げ道を作ります!」
(……そういうことか。それなら―――)
ルヴェルフェたちの逃げ道……それなら何処か一方向に大きな道ができればいい訳だ。
「任せろ、ルイン! ―――全員、直線の範囲攻撃を一方向に集約させるんだ!」
「「「了解ッ!」」」
俺の指示で、全員動き出した。
一点集中……周囲のハーデスはルインの虚空技で消してくれているから、今が最題のチャンスなんだ!
「行くぞッ!」
刹那、全員が同時に技を放った。
「―――“大和流剣術・九の調”。『殲光』」
「虚空に消えてください! ―――“虚空へ誘う門”」
「―――“鬼龍流奥義・百鬼夜行”ッ!」
「―――“鬼龍流奥義・百龍夜行”ッ!」
「―――“我流剣術奥義・神之剣”!」
「クハハハハッ! “神帝武流・殲滅砲破”ッ!」
「『神威』―――“鬼神炎渦”」
俺たちの大技は一つに集約した。
そしてそれは、一直線にハーデスを打ち滅ぼし、一瞬だが大きな道を生み出すことに成功したのだった。
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