case.46 第一形態《Accel Black Rose》
最後の刻
「ホントにもう……さっきから何なのよッ!」
戦っていたはずの、死神王フィーと死神王シュリーユが食い殺された。
それをやったのは、他でもない……
死神王の、アルカナだった。
「―――これは、流石に我々も加勢しますよ」
「うん。ちょっとお姉ちゃんも頭に来ちゃったかも」
「ええ、そうね……」
と、後ろから聞こえてきた三人の声。
戦力温存の為に待機してもらっていたけど、流石に出てきたわね。
「まァ、もう敵も最後の一体みたいだしなァ……」
「クハハハハ! お前たち、すぐ戦えるか?」
と、サタンとディラも近くまで寄ってきて、小さな作戦会議が始まった。
いまだにアルカナは動かない中。
「はい。私たちは全員大丈夫だと思います」
「なら、そこの女二人には後衛でバックアップを頼もう。残りは前衛で奴を仕留めるぞ」
「「「「了解」」」」
と、ディラの提案した作戦に異論無く、皆が同意した。
「回復ならお姉ちゃんに任せて!」
「それじゃあ指示通り、私も今回はバックアップメインで戦わせてもらうわ」
そう言うと、少し私たちと距離を取って離れていくアスモフィとレヴィーナ。
実際、後衛が居るのと居ないのとでは、かなりの差があるから助かるわ。
「フッ、奴が動き出したぜェ……?」
サタンがそう呟いた。
それにつられるがまま、私たちは空を見上げる。
そこにあるのは変わらず黒い球体だが―――
―――ピキッ。
亀裂が入る音が響く。
「全員、戦闘態勢だッ!」
「最初から本気で行くぞォ……?」
ディラの指示で、私たちは全員武器を構えた。
私は、いつでも“神帝武流”が撃てるように、いつもの光の剣だ。
―――ピキッ、バキキキ……
どんどんと亀裂が広がっていく。
これは、あれだ。
タマゴを割るときのような、そんな感じだ。
「―――来る」
ピキッ――――――
瞬間、クサナギの呟きと球体が割れる音が重なった。
黒い球体―――いや、彼女を覆っていた黒い殻は、たった今、消え去ったのだ。
「―――あは、あはは……あはハ。アハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」
(あれが、アルカナなの……?)
その細い身体に不釣り合いなほどの巨大な鎌を携えて、狂ったように身体をねじらせて笑っている、あの狂気的な女が?
「遂に、遂に帰っテキたわァ……? 久しぶりの、空気、オイシい〜」
ところどころノイズの混じったような声を辺りに響かせるアルカナは、しばらく周囲をキョロキョロとした後、私たちをその眼で捉えた。
そしてこう言ったのだ。
「―――新しいご飯、ね? ミンナ、美味しく食ベテ上げるわ〜」
瞬間、アルカナの姿は消えた。
「ッ……?! どこに消えたの!?」
「落ち着けミカエラッ! 落ち着いて、音を聞く―――」
グサッ。
またもや辺りに響いたのはそんな音。
「ガハァァッ……!」
「ディラ!?」
見ると、ディラの横腹が思いっきり黒い棘に刺されていたのだ。
「フッ……こんな物、痛くも痒くもないッ……」
「チイッ……速いのか透明になってるのかが分らねェな……」
今、何が起きたの?
だって、こんなの対処のしようが―――
「―――“雷光矢”っ!」
「ウウゥッ……」
気づけば、すぐ真横まで黒い棘が迫ってきていた。
それを、一本の矢が貫き退けてくれた。
「何ボサッとしてんのよ! 集中すれば、見えなくないわ!」
「“高速治療”!」
ディラの身体を、優しい緑が包み込む。
「助かったぞ、アスモフィとやら!」
「ふふん! お姉ちゃんに任せなさい!」
どうやら、バックアップ組の二人の実力は本物のようね。
それに、集中すれば見えなくないってレヴィーナも言ってるし……。
実際、それで矢が当たっていたし。
って……見える?
見えるってことはもしかして―――
「ほう、天使の。気づいたか」
「サタン……。ええ、多分ね」
「それならば、対処は簡単だなァ?」
隣に来たサタンに、そう言われる。
多分、あのアルカナはただ単純に速いだけだ。
それも、超がつくほどかなり。
それなら、それだけなら。
(対処する方法は、あるわね!)
「ふふ……そうね」
そう、私は笑いながら武器を捨てた。
そしてそのままディラへと呼びかける。
「ディラ! ここは多分私たちの出番よ!」
「ほう! 我らの……と言うことは―――そういう事だな?」
「ええ、そういう事よ!」
ディラは察しが良くて助かるわ。
まあ、私とディラで、武器を捨てたって事はそう謂う事なんだけど……ね。
「キャハハハ! アハハハハ! ご飯ご飯ッ!」
「―――“我流剣術・乱れ裂き”ッ!」
すると再び飛び出してきた黒い棘を、今度はクサナギが切り裂いて排除してくれた。
「何か作戦があるようですから、ここはお任せします! あの黒い棘は私たちにお任せください!」
「ありがとう、助かるわ!」
「かたじけないッ!」
お礼を言って、私たちはすぐに飛び出した。
そしてそのまま、体内で“神気”を構築し始める。
「ディラ、アルカナは見える?」
「フン。もう慣れたからな、もちろん見えるぞ」
「オーケーよ。準備は完璧だわ」
アルカナのスピードに慣れてしまえば、後はこちらのペースに出来る。
(さあ、私たちの力で翻弄してやりましょうか!)
「ディラ。―――神帝武流、その力の真髄を見せるわよ!」
「クハハハハッ! 我が力と、それを継承せし者の力、とくと味わうが良いッ!」
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