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case.38 【消滅】の死神王ダナー



「“―――鬼面”……って、おい。何も居ねぇじゃねぇかよッ!!」



 ブラックホールのような大穴へと姿を消したルインを狙った攻撃を外し、落胆した様子の死神王ダナー。



「おい……これ、どうするんだ……?」



 ルインが消えたまま、戻ってこないから不安になってきたぞ……。


 な、なぁベリアル。これってどうすれば―――



―――ぅん……? 戻す、方法……ぅ? それはねぇ……



「あ〜あ。それじゃあ一対一だねェ? キヒヒヒヒヒ……」



―――もう一回……あの力を……ぉ……ぐぅ。



「ちょ、待て、寝るな―――」


「独り言が煩いねェッ! “乱切り”ッ!」


「チッ、邪魔な奴だな―――“飛剣”!」



 こっちの気も知らないで、死神王ダナーはお構いなしに突撃して攻撃を仕掛けてくる。


 俺はそれをウザがりながらも何とか似たような剣技で防ぐ。



「もう一度……力をって言ってたよな……」



(さっきと同じことをすれば……ルインは帰ってくるのか……?)



 俺は死神王ダナーの振るう剣鎌を、刀で丁寧に防ぎながら思考を巡らせた。



「チッ、剣の技量じゃどうやら俺は勝てないみたいだな……! キヒヒヒヒヒ、面白くなってきたじゃないか……!」



 俺の方が強いことを悟ったのか、死神王ダナーは武器を振るうのをやめて、一度後ろに跳んで俺と離れた。



(よし……ここだ!)



 死神王ダナーが油断しているこの隙に、ルインを元に戻そうと思い、俺は再び手をかざし呟いた。



「―――ルイン……戻ってこい!」



 すると、再び空間を切り裂くように十字型の大穴が開いた。


 音もなく、静かに開いたそれは、一人の少女を吐き出す。




「キヒヒヒヒヒッ……。剣がだめなら魔法で―――」



「―――“虚影斬シャドウスラスト”」



 ブシャァッ!!

 と黒い血が舞い上がる。


 それは誰の血か。



「ァ……?」



 そう。

 その血は、紛れもなく、死神王ダナーの物だった。



「な……ンで?」



 それをしたのは、大穴から音もなく現れた一人の少女。


 流麗な動作で、死神王ダナーの胴体を袈裟斬りにした一人の暗殺者アサシン


 そう、隠すまでもなくその少女の名は―――



「ルイン!」


「はい! 主様!」


「無事で良かったぞ……突然悪かったな」


「いえ、案外あの中は心地が良かったので、結果的に文句はありません!」


「そ、そうなのか」



 心地が良い、ってどんなだよ。


 虚空って、そんなに気持ちのいい場所なのか……?



―――うん……気持ち、いいよぉ……



 そうか……。

 ってベリアル起きてるじゃねぇか!!



―――ぐう。



 ……寝た。

 マイペースな大悪魔様だな……。



「グ……グ……キヒヒ……グキヒ……キヒヒ……キグヒヒヒ……」


「主様。油断なさらず。まだ敵は死んでいませんから」


「ああ」



 ……気味悪い笑い方をしながら、ヨロヨロと立ち上がる死神王ダナー。



「キヒ……キヒヒ……。お前ら……絶対に……コロシテヤルッ!!! ―――“霊体化ゴーストモード”ッ!!!」



 ッ!

 またあの透明になる術か……!


 それなら、一つだけ考えてた対処法があるぞ。

 新たに得た、この【虚無】の力を使って―――



「なあルイン」


「はい?」


「一つ提案がある」


「提案、ですか?」


「ああ。俺たち二人で、あの死神王にトドメを刺すんだ。―――この、【虚無】の力で」


「……詳しく教えて下さい」



 作戦……というよりかは実験、みたいな感じだが、俺たちが【虚無】の力を使いこなせるかどうかを試したいのだ。


 だから、一つだけベリアルに確認しないといけない事がある。



 ……なあベリアル。

 この力は、さっきルインにやったみたいに、相手を虚空に消すことが出来るんだよな?



―――……うん。まあ、それも……力の一部、なんだけどねぇ……。



 これでも力の一部なのか……。

 まあそれはまた後回しだ。


 それよりも、ルインについてだが。

 同じような事を、ルインも出来たりするのか?



―――あの子も?……うーん……出来ると、思うけどねぇ……?



 確証は無し、か。

 でも、可能性はあるんだよな?



―――うん……保証は、出来ないけど……多分、上手くいくんじゃない、かなぁ…………?



 よし……ありがとうベリアル。


 それなら今後の為にも、試す価値は十分にあるな!



「主様……?」


「すまない、ルイン。待たせたな」


「いえ、それで……」


「ああ。作戦だが―――」



 俺はルインの耳元で、俺の考えていた案を話した。


 出来るだけ詳しく、明確に伝える。



「……私にそんな事が……?」


「ああ。【虚無】の血を継ぐ者なら、きっと出来るはずだ」


「まだ、実感は無いんですけどね」



 どうやら、まだ自分が、幻の八人目の《七つの大罪》の子孫であるという実感が無いらしく、本当に出来るのかどうかと悩んているようだった。



「だけど、受け入れるしかないだろ? ルインも、俺と同じ【大罪】を継ぐ者なんだ」


「主様と、同じ……」




「―――オイオイオイッ! いつまで喋ってるんだよォッ!? こっちはもう回復が済んじまったぜェッ!?」




 ……ッ!

 忘れていた訳では無いが、やけに静かだと思ったら、回復してたのかよ!


 って……奴を放置してたのはこっちだから、何の文句も言えないんだけどな……。



「―――分かりました。主様と一緒なら、私は何だって出来る気がします!」


「ああ! 二人で一緒に、何処までも行こう」



「ああ目障り目障り目障り目障り目障りィッ! 全て切り裂いてやるよッ!!」



 俺とルインは、お互いの手を繋ぎ合わせた。



 そして死神王ダナーは、再び剣鎌を構えて一直線に飛行してくる。

 かと思えば、死神王ダナーは、



「そう簡単に見きれるかなァッ!? “霊体分身ゴーストアバター”ッ!」



 そう叫んで消えてしまった。


「透明化か……。どこから攻撃が来るか分からない。だから四方の警戒を―――」



「無駄だよッ! ―――“死屍鬼面ししきめん”ッ!」



 刹那、俺たちを囲むように四方から現れた死神王ダナー。


 四方から……という事はさっきの技は“分身”系の術だったか……!



「―――主様に出来ることなら、私だってやれる……! 隣に並ぶ為にも……絶対にやってみせる!」


「無駄無駄ァッ! 俺の死屍からは逃れられないんだよォッ! キヒヒヒヒヒッ!」



 身体がボコボコッ……と気持ち悪く膨れ上がった死神王ダナーの身体から、鬼のような顔が肉体を突き破ろうと表れ出た。


 そしてそれこそが、この“シシキメン”とかいう技の正体だったのだ。



 体内から這い出ようとする鬼が、体内からそのまま外の敵を喰らう……そんな気味悪い技が、“死屍鬼面”なのだ。



 そんな四人に分身した死神王ダナーの“死屍”が、鳥籠の中に居る俺たちを攻撃しようとした時、今度はルインが動いた。




「主様は……私が守るッ!」



 あと少しで、死屍の牙が俺たちに触れるという瞬間。




「―――“虚空転移門ヴォイド・ゲート”っ!!!」




 死神王ダナーの目の前に、それぞれ一つの石の扉が現れた。



 そしてそれはとびらを開き、中に蠢く虚空へと対象を吸い込む。



「……は」



 対処の仕様もなく、死神王ダナーは石の扉の中へと吸い込まれて消えてしまった。



「はぁ……っ、はぁ……っ!」



 するとその扉が消えるのと同時に、ルインがその場に倒れてしまう。


 多分、今の術を使った反動だろう。



「大丈夫か、ルイン」


「はい……何とか……! 多分、慣れないことをした反動だと思うので、少し休めばすぐに回復すると思います……!」


「それは良かった……。だけど、あんまり無茶はするなよ?」


「はい、それは分かってます!」



 死神王ダナーも倒して、ルインも己の内に秘められた力を使うことに成功した。


 俺の出番が無かったような気もするが、まあ終わりよければ全て良し、だ。



 ひとまずは、しばらく休憩してから……だな。



 他の奴らと合流するのは、きっともうすぐだ。

ブクマと高評価お願い!

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