case.36 復活せし災厄
鼻詰まった
《アスモフィ視点》
「んもう……さっきのは……一体……?」
「クッ……何だったのか、予測はつきますけどね……」
ついさっき、私たちはハーデスの襲撃を受けてしまった。
紫色の手が、私たちの首を絞めて……かと思えばその手は伸びて一つに繋がり、一本の鎖のようになったのだ。
クサナギの言う通り、私にも何となくさっきのが何なのかは分かっていた。
そしてその答えを確認するように、レヴィーナが言った。
「あれが、さっきハーデスとやらが言っていた“死の鎖”……でしょうね」
「はい。私もそうだと思います」
「まあ、そうなるわよねぇ……」
ってことは、これで私たち三人は互いに死を共有する“相棒”ってことなのね。
はぁ……厄介だわ。
ただでさえ『呪縛』っていう死に直帰するスキルを持ってるのに……。
「それで? これからどうするのよ」
「そうねぇ……。お姉ちゃん的には誰かを探した方がいいと思うんだけどね」
誰かと合流して、少しでも死のリスクを減らした方がいいと思う……けど。
「はい。その意見には私も賛成です。けど、そもそも探す当てが無いと―――」
クサナギがそこまで言いかけた時だった。
―――ゴォォォ…………ン
「……当てならありそうじゃない?」
「どうやら、そのようですね……」
遠くの方で大きな爆発音と、それによって発生した土煙が立ち上るのが、聞こえ、そして見えた。
「ふふっ。それじゃあそっちまで向かうとしましょうか」
「ええ」
「はい」
と、言う訳で私たちはその爆発のした方へと向かっていく事にするのだった。
■
《ミカエラ視点》
「キャハハハハハ! キャハハハハハァ!! ―――あらぁ……?」
……薄気味悪い笑いを止めたと思ったけど……今度は何よ……!
「ほう。気配が三つ……こちらへ近づいてくるな」
「はぁ……まだ来るのね……?」
溜め息が出るばかりだが、ディラがそういうのなら、多分来るのだろう。
味方か敵か……まあ多分前者だろうけど、一応警戒だけはしとかないとね。
「ん……ありゃァ見たことのある顔が来たもんだ」
「貴方の知り合いなのね? サタン」
「ああ。大丈夫だ、ありゃ味方だぜ」
「そ。それなら良かったわ」
と、そこでちょうどその三人が私達の所まで辿り着いた。
「お姉ちゃん参上! きゅぴーん!★」
「ちょっと、まだそんな余裕あるのねアンタ」
「あはは。まあ、それくらいの方がいいんじゃないですか?」
……何なのコイツら。
いきなりやって来たと思ったら、ふざけ始めてるけど。
「クハハ! さっきぶりだな、お前たち!」
「あら、サタン様」
「あっ……サタン様じゃないですか!!」
へー……って何これ、サタンってそんなに慕われている存在だったの?
「まあ、感動の再会〜って訳にもいかねェ状況だからな。あんまり深くは話さねェぞ?」
「そうですね。……見知らぬ顔も何人かいらっしゃるようですが……味方、でいいんですよね?」
……私やディラ、その他竜人たちの方を見ながら言ってるってことは、まあ言わずもがな私たちへの質問よね?
「―――ええ。合ってるわよ」
「そうですか。すいません、多分自己紹介とかをしてる余裕はあんまり無さそうですけど、一応名前だけ名乗っておきます」
と、一番礼儀正しそうな鬼族の男が言った。
「私はクサナギ、と申します」
「あ、お姉ちゃんはアスモフィよ!」
「私はレヴィーナ。よろしく」
残っていた二人も、クサナギ……に続いて名乗りを上げた。
「ええ、私はミカエラ。よろしくね」
私もそう返すと、後ろにいた竜人たちも次々と名乗っていく。
「皆さん、改めてよろしくお願いします」
「ええ、詳しいお話はこの戦いが終わったら、ゆっくりとしましょう」
「もちろんです」
うん。
このクサナギとかいう鬼は、結構私と馬が合いそうね。
ただまあ、あんまりカッコいいとは言えない見た目してるけど。
あー……あの人は今何をしているのかしら……。
もう、気になって気になって仕方が無いわ…………。
早くこんな戦い終わらせて、あの人の胸に飛び込みたい……。
「むっ…………? お姉ちゃんセンサーに、敵性反応が……? まさか貴女―――」
「―――あのさぁ、もっと危機感持ってくれないかな?」
「キャハハハハハッ!」
……ッ!
知らない、声だ。
また、新しい奴が来たっての……?
「折角ボクたちが来たっていうのにさ、呑気に楽しくお喋りなんて」
「キャハハハハハ! いい度胸、ね!」
「うん。そうだね。それじゃあ、そんないい度胸してる奴らには、“オシオキ”……しないとね」
「うん!!」
何……何なのよ。
さっきまでいた真っ黒い風貌の女……確かシュリーユとか言ったかしら。
そいつが居ただけでも結構なプレッシャーだったのに、さらにそれに加えてもう一人……しかも似たような奴が来るなんて。
全身真っ黒の男……それもかなり小さい。
「テメェら、一体何モンなんだよ」
「クハハ! さしずめハーデスの配下と言った所か!?」
「誰でもよい。彼奴に関わるモノなら全て斬り捨てるのみだ」
確か、さっきは“ふぃあーず”とか言ってたけど……。
その言葉に心当たりが無いわけでは無い。
多分、死神みたいな風貌から考察するに、“ふぃあーず”、というのは《六死神》の事だろう。
前に一度だけ聞いたことがある。
《六死神》というのは、不吉の象徴とされる六人の死神から構成される精鋭達だ、と。
「ボクたちの事知りたいのかー」
「キャハハハハハ! オロカオロカァッ!」
「……うん。まあ、いいよ。教えてあげるよ」
辺りには暗雲が立ち込める。
若干霧がかった大地と、彼らが現れてから暗くなった空。
全てが、まさに『不吉』を体現していた。
それにしても……何、この嫌な気配は。
目の前の二人からじゃない。
周囲の環境からでもない。
―――何かとてつもないオーラを放つモノが近づいてきてるような……。
「……この……気配は?」
「妙にピリつく空気だなァ……」
何だろう……視界が黒くなってきたような―――
「―――キャハハハハハ! もう来ちゃったのぉ?」
「ちょっと、流石に早すぎるよ……」
何かが……降りてくる……?
黒い……球体が―――
「それじゃあ改めて―――
ボクの名前は《六死神》が一人、【予兆】のフィーだよ」
「私は《六死神》所属、【全滅】のシュリーユ……ってさっき名乗ったばかりだったわね」
「そしてこの子はね―――
―――『復活せし災厄』
名前を、Arcanaって言うんだ。
どうか、優しく接してあげてね?」
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