case.33 六死神《フィアーズ》
よよよよよよよよーよー!
「あらご明答。その通りよぉ?」
「……それで? 君は一体誰なんだ? さっきそこに現れたようだけど」
俺たちが紫色の手―――“死の鎖”で繋がれたのを見て、うんうんと頷きながらその女は喋った。
その女の見た目は、全体的に黒く、人型……ではあるのだが、背中から羽が生えていたり、脚が無く浮いていたり……と、まるで例えるなら……そう、“死神”のような―――
「うんうん、その通りよぉ? 私は、れっきとしたシ・ニ・ガ・ミ、なのよぉ??」
「……ッ? 俺は別に何も……」
言っていない。
心の中でそう思っただけだぞ……?
それなのに、どうしてこの女は、俺の疑問に答えられた……?
「そうねぇ。それを教えるのは簡単だし、多分すぐに見当も付くと思うけど―――」
くるり、と一回転して再びこちらに向き直り、そして両手でピースを作りながら女は言った。
「―――まずは自己紹介するわぁ? 私はぁ、アリア。“死神王アリア”、よぉ? 覚えておいてねぇ」
「死神王……?」
「―――ッ。師匠、退路が塞がれました」
「ハァ? お前、何を言って―――」
アリア、そう名乗った女の言葉。
《死神王》って単語も気になるが、その直後にスレイドさんが焦るように言った言葉につられて、俺とルヴェルフェさんは後ろを向いた。
すると、確かにそこには、スレイドさんの言った通り、退路を塞ぐように赤いバリアのような物が現れて道を塞いでいたのだ。
「うふふぅ? 絶対に逃さないわよぉ?」
「どういうつもりだ!」
「どういうつもり、って……。あははっ! この状況でも分からないのぉ? 君ってバカなのぉ?」
俺の問いに、嘲笑うようにそう返した死神王アリア。
「でもいいわぁ。答えてあげる。それはねぇ…………こうする為よッ!!!」
「―――は……?」
「“呪盾”ッ!!!」
バチチチッ!という火花が散る音が、目の前で聞こえる。
何が起きたかは明白だった。
死神王アリアの先制攻撃、だ。
「いきなり何を……ッ!」
「何を、ってぇ。さっきから貴方はバカなのかしらぁ?」
クソ、コイツの態度……さっきから妙に鼻につくな……!
何だろう、クラスに一人はいる嫌味な高飛車女みたいな……。
「白夜、だったかお前」
「あ、はい」
ルヴェルフェさんが俺に話しかけてきた。
「この状況……多分もうすでにゲームは始まってるはずだ」
「……それは、何となく分かってます」
「だが、一つだけ腑に落ちない事がある」
「それは……?」
「“死神王”……っていう種族は、確か冥界でもかなりの高ランクの強さを誇る死神だったはずだ。だからこそ王と呼ばれているんだが……」
「―――あ……確かさっきハーデスとかいう奴は……」
最弱の配下を用意するとか言っていたような……。
「そう。“死神王”はとてもじゃないが最弱とは言えない。それくらいには、強いはずなんだが……」
「―――その答えが知りたいかしらぁ?」
「ああ、出来れば教えてくれると助かるな」
「いいわぁ。どうせ負けて死んじゃうんだし、知りたいこと教えてあげるわよぉ?」
余裕そうに寝そべった態勢になった死神王アリアはそう言った。
「それじゃあ」、とルヴェルフェさんは質問を吐く。
「さっきの疑問。君も聞いていたと思うけど、その答えを聞かせてくれないか」
「うんうん、気になるよねぇ? それじゃあ教えてあげるわぁ」
そう言うと、死神王アリアはくるくるっと人差し指を動かして、黒い人型のモヤみたいなのを6体作った。
「今回の殺し合いに参加しているのは、ご察しの通り“死神王”と呼ばれる種族の死神なの。
私たちは《六死神》と呼ばれる、“死神王”の中でも最強の六人で構成されたチームで参戦してるわぁ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 最強の六人……? それだと、ハーデスとか言う奴の言葉と矛盾して―――」
「話は最後まで聞くものよぉ? せっかちな坊やなんだから」
……クソ、やっぱりコイツ、無性にイライラする話し方だな……。
「戻すわよぉ? さっきも言ったけど、私たちは六人の死神王で参戦してるわぁ。
それに対して、貴方たち魔王の関係者はちょうど六つのグループに、三人ずつぐらいで分かれてくれたのよぉ。
ちょうどいいから、各グループに《六死神》のメンバーが一人一人当たっているっていう感じよぉ」
「ふーん、なるほど。……それで?」
「―――現在ハーデス様が召喚できる最低位の配下が、私たち《六死神》なのよぉ。だから、私たちが来た。それだけよ」
……ああ、そういう事か。
大体、今の状況が分かってきたぞ……。
「あら、そぉ? うふふ、良かったわぁ」
「……ッ、また……!」
こいつ、なぜ俺の口に出していない疑問に答えられる……!?
まさか、俺の心を
「―――読んでいるんじゃないか、って思ったぁ?」
「……嘘……だろ?」
「あはっ! ぴんぽんぴんぽん大〜正〜解!」
……心を、読める……だと。
「あーあ、どうやら僕たちは厄介な敵と当たっちゃったみたいだね」
「師匠、罠はいくつか張っておきました。発動は任せてもよろしいですか?」
「ああ、うん。ありがと。我ながら良く出来た弟子を持ったものだよ」
「―――まあ、その罠ももう破壊しちゃったんだけどねぇ?」
……は?
今、何て……
「だから、そのこーっそり張り巡らせていた罠を、この私が、貴方たちと話してる間に殺しといたわよって言ってるのよ」
「そ、そんな! 『隠密』のスキルも使ったのにッ!?」
「そんな子供騙しのスキルなんて、私には通用しないわよぉ?」
隠密……確か、気配隠蔽系スキルの初級クラスの……。
いや、だがそれでも。
気配隠蔽系スキル自体がかなりレアだと聞いているから、それなりに強いはずなのだが……。
それすらも見破り、かつ心を読めるなんて……。
確かにこれは、かなり厄介だな……。
「あはは! 楽しくなってきたわねぇ! さあ、早く殺し合いを始めましょお!?」
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