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case.32 師弟再会と死の鎖

よ!



《白夜視点》



「ルヴェルフェ……?」



 って、やっぱりそうだよな……?



 俺が間違ってるとかいう訳じゃないよな?




「師匠…………? 師匠なんスか!?」


「ああ、僕はお前の師匠さんだよ」


「し、ししょぉぉぉぉぉぉぉっ…………ってなるほど別に恋焦がれていた訳でも無いんですけどね」



 突然態度が急変したように、そう淡々と言ったスレイドさん。


 その様子に、ルヴェルフェさんは失笑しながら答える。



「そりゃそうだよね。だってお前、そんなキャラじゃなかったもん」


「よく分かってらっしゃるようで。それで? そんな事よりも、まずは師匠の収穫を聞かせて―――」



「ちょちょちょ! 待った待った!」



 と、そこで俺は、勝手に話が進みそうな流れを止めて、割り込む事にした。



「……? ああ、ごめんね。勝手に話を進めようとしちゃって」


「ああいえ、一応軽く自己紹介くらいはしとこうかなと思いまして」


「ああ、そうか。お二人は初対面っスもんね」


「はい」


「そういう事なら、まずは僕からさせてもらうよ」



 と、ルヴェルフェさんは軽く一礼をし、自己紹介を始めた。



「僕の名前は“ルヴェルフェ”。《魔帝八皇》の【怠惰】に座する小人族ドワーフの呪術師さ。以後よろしく、って事で」


「あ、はい。よろしくお願いします!」


「それで? 君は一体何者なの?」


「あ、すいません! 俺の名前は“皇 白夜”。この世界に召喚された“転移者”……? って感じの存在です! 一応、“勇者”やってます!」


「勇者…………敵、ではないんだね」


「はい、全く敵意はありません」



 やっぱり最初は警戒されちゃうのか。


 まあ、そりゃ歴史にそういう話がある以上、魔王軍の関係者に“勇者”という言葉は警戒されちゃうよな。



「うん。まあ、スレイドが一緒にいる時点で、疑ったりはしないけど」


「それなら良かったです」


「で、それよりも……だ。これから、僕たちはどうしようか」


「そうなんスよね。一応、他のメンバーと合流するっていうのが、真っ先に思い浮かびますけど……」



 まあ、そうなるか。


 とりあえず、移動しながらでも―――




 そう提案しようとした時。




―――キヒヒヒヒ…………うまい具合にバラけてくれたな。




「……ッ?!」



 突然、空から声が響いた。


 あの時と、同じ声だ。




―――今から、貴様ら害虫共にはとある“ゲーム”をしてもらおうと思う。




■―――「ゲームだァ?! てか誰だテメェは!」


□―――「クハハハ! いいではないかハーデスよッ! 同じ《十二神将》として褒めてやるぞッ!」




 ゲーム……?


 一体、この声は何を言って……?




―――その前に先に名乗っておこう。我が名は冥王神ハーデス! 偉大なる創造神アダム様の忠実なる下僕であり、これから貴様ら害虫共を殺す神であるッ!




「ハーデス……?」


「ここでようやく登場って訳か……」



 ……?


 ルヴェルフェさんの今の言葉から考えるに、ルヴェルフェさんは、この、ハーデスとかいう奴が攻撃してくる事を知っていた……みたいな口ぶりだったな。



 てか、ハーデスって確か……




―――さて、そんな我が提案するゲームの内容だが。その内容は至って簡単だ。


 “先に王を討ち取った方の勝ち”、ただそれだけだ。


 こちらの王は我だ。そちらの王は魔王だ。


 さらに加えて特別なルールとして、我と貴様らの両方の陣営に、縛りを儲けようと思う。




■「縛り、ねぇ? ふざけた提案だわ」


□「フム。だが、向こうにも縛りが設けられるのなら、或いは―――」




―――その縛りとは。まず貴様らに掛ける枷だが、“今その場にいる相手が己の相棒となる相手”だ。そして、その相棒と己自身はこれから“死の鎖”で繋がれる事になる。

 “死の鎖”とは、文字通り死すら共有される“鎖”の事だ。




「死すら……共有」


「まるで呪い、だな」


「でも、呪いなら師匠の得意分野っスね!」


「まあね」



 ……聞き覚えのある、言葉だな。


 確か、兄貴からそんな言葉を聞いたような気がするぞ。



 同じような効果を持った武器を、ルインさんと二人で持っているんだとか……言っていたと思うが。




―――己が死ねば、相棒も死ぬ。そんな枷となるのが、“死の鎖”だ。


 そして、我に掛ける枷だが。


 無限に眷属を召喚できる我が能力、『異界門』。

 その効果で召喚できる眷属のランクを、冥界で最も弱い種族の死神までにしておこう。


 それ以上の味方は生み出さないし、仲間を呼ぶこともしない。




 ……結構好条件じゃないか? それって。


 だけど、そんな提案をするメリットあるのか?

 一見、全くメリットを感じないんだけど。




―――偉大なるアダム様からの御信託通りのゲーム内容にしたッ! だから我はそれを実行するまでだ!


 いいか害虫共ッ! アダム様からの御信託が無ければ、我は今すぐにでも貴様ら害虫を駆逐していたのだからなッ!




■「あら、じゃあそのアダム様ってのには感謝しないとね」




 ……そろそろ、始まるのか……?


 それなら―――おい、ヘル!



―――なによ。話は聞いてたから、分かってるわよー?



 それなら話は早い。



「準備しておけよ、ヘル」



 そう言いながら、俺は二本の魔剣を取り出した。



―――さあ、それでは始めようじゃないかッ! 見事我を討ち取ってみせろよ害虫共ッ!




 ハーデスとかいう奴がそう叫び、ゲームの開始を宣言した直後。




 突然、目の前に現れたのは紫色の手と一人の女だった。


 女の方に気を取られていた俺たちは、伸びてくる紫色の手を避けることができず、思いっきり首を掴まれてしまった。



「ぁ……ガッ!」


「これ……はッ!」



 息が苦しい……なんてことは無く、代わりにあったのはただの痛みだった。


 そしてやがて俺たちを掴んでいた紫色の手は、同じく首を掴まれていたルヴェルフェさんとスレイドさんの首にあった手と繋がって、消えてしまった。



「一体……何だったんだ……」


「多分今のが、“死の鎖”とかいうやつなんじゃないかな……?」



 今のが……。


 ということはもう既に俺たちは……



「はぁ、面倒くさい事になったね。もうこれで僕たちは―――」




 ―――互いに死を共有する、“相棒”って訳だ。

ブクマ、めちゃちゃちゃに増やしたいので是非お願いしますぅ!

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