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case.29 死神王顕現

―――全て、元に戻れば



「ルイン、大丈夫か?」


「はい。何とか」



 俺は、ルインを支えて立たせながらそう聞いた。


 そしてそのすぐ後、俺は深く深く頭を下げた。



「―――済まなかった!」


「え? ちょ、何を―――」


「今回の件のこと、全部俺が悪かった! 何から何まで迷惑かけて、心配かけて…………。この責任はしっかり取る! 俺にできることなら、何でもする! だから……虫のいい話だとは思うが…………今回の戦いの間だけでも、許してくれないか……?」



 覚悟を決めた上で、俺はそう言い放った。



 もう、逃げ続けている場合じゃないと思ったんだ。




三雲翔一サラリーマン時代以来だな、こんなに深く頭を下げたのは―――)




「―――私は」



 ルインが、口を開いた。



「私はもとから、怒ってなどいませんよ。迷惑もかかっていません。心配は……もちろんしましたけど、それでも私は、貴方のことを信じていたんですよ。―――何か理由があるんだ、って」


「ル……イン」


「だから、戦いが終わったら、全部聞かせてくださいね? 何で一人で城を出ていってしまったのか、その理由を」


「あっ…………ああ、もちろん!」


「はい! それなら、もうこの話はお終いです! しんみりしたのは、私嫌いなので!」



 そう言って、ルインは笑った。



 それを見て、俺は目を奥が熱くなった。


 自然と涙が溢れる。



 どうして俺は……こんな優しい子に―――



「あ、主様!? どうして泣いてらっしゃるのですか!? わ、私何かしちゃいましたか!?」


「いいや、違うんだ。俺って、情けなくて、どうしようもなくて。でも、それでも幸せ者なんだなぁって思ったら、さ。自然と涙が……」


「―――どうしようもない……? そんなこと…………」



 ルインは俺の呟きに対して、何か小声で言ったが、その内容は俺の鼻をすする音で聞こえなかった。


 何を言ったのか、ちょっと気になったその瞬間、ルインは「えいっ!」と俺に抱きついてきたのだ。



「んふー! 主様成分補給中です!」


「ちょ、ちょ! 何をしているんだルイン!」


「これくらい許してくださいよ! さっき主様は何でもするって言ったじゃないですか!」


「ッ、そ、そりゃそうだけど…………でも、恥ずかしいし―――」


「えへへ、恥ずかしがってくれるんですね! 私、それだけでとっても嬉しいです!」



 そう言いながらルインは、さらに抱きしめる力を強くしてきた。



「えへへ……やっぱり私には主様が必要みたいです」


「ルイン……」



 やばい。やばい。やばい。



 なんだこれ。



 心臓の鼓動が、加速しているのが分かる。




―――バクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバク………………




 この音が、今ルインに聞かれてる……んだよな?



「―――主様……。心臓の音が、うるさいですよ?」


「……ごめん」


「えへへ……私を、意識してくれてるんですね?」


「…………ああ」


「やばいです。とっても嬉しくて、私まで―――」



 そう言ってルインはうつむいた。



「顔が、ぐちゃぐちゃですよ……もう」


「そんなことないぞ」


「でも、私―――」



 そう、ルインが何か言いかけた時だった。






「―――おうおう、お熱いこってェ! キヒヒッ! 引き裂いてみたくてしょうがねぇぜ!」





 空からそんな声が響く。



「誰だッ!」


「はぁい、後ろでぇす!!」



 直後、そんな言葉通り、背後から斬撃が放たれた。


 俺はそれに何とか対応して、前に飛んで躱した。



「反応は良好、それじゃ実力はどうだろうねぇ!?」


「―――主様っ! 上です!上!」


「上……?」



 ルインにそう言われて、俺はすぐに空を見上げる。


 するとそこには―――



「ちょっち遅かったかなぁ!? キヒヒヒッ! “乱切り”ッ!」


「何だお前…………ッ!」



 空から急降下して俺に攻撃を仕掛けてくる、一体の死神がいたのだ。


 いや、正確には死神かどうかは分からないが……でもまあ、死神みたいな見た目してるから、多分死神だろう。



 そいつの攻撃を、俺は剣を取り出して受け止め、振り払った。



「へぇ? それなりには強いんだねぇ。キヒヒヒ!」



 君の悪い笑い方をしながら、その死神は俺たちの目の前にに降り立った。



「やあやあ、お初にお目にかかります。俺は《死神王ダナー》。今回のゲームに参加しているハーデス様の部下にして、最も雑魚い種族の一人でぇっす! キヒヒッ!」



 死神王…………?



「主様……警戒を。あの者、かなりの手練のようです」


「ああ、分かっている。……さっきの攻撃、パワーが桁違いだった……」



「おんやおや、どうしたんですかねぇ? 俺は今回のゲームに参加している種族の“死神王”……その中でも最弱のはずなんですけどねぇ? まさか、ビビっちゃってるんじゃないっすかねぇ!?」



 …………?


 何か、おかしい気がする。



「別にビビってなんかいねぇよ」


「はい。主様の言う通りです」



 俺はそう言い返しながら、考えた。



 さっきのダナーとか言う奴の言葉の違和感。


 あれは一体…………



「何だ。クソつまんねぇの。ならとっとと負けて死ねよ―――“霊体化ゴーストモード”」



 しかし、俺がそんな考え事をする暇もなく。


 ダナーはそう言い残して消えてしまった。



「ルイン。どこから奴が来るか分からない。絶対に油断するなよ?」


「はい! って……そうだ。主様?」


「ん……どうした?」


「これ……使いませんか?」



 そう言ってルインが差し出してきたのは、一本の短剣だった。


 その剣は、俺が作った短剣。



 名を、“呪狂剣・双月”という。




「懐かしいな……その剣」


「はい。せっかくですから、どうせ“死の鎖”で繋がっている今なら代償も気になりませんし。使って戦いませんか?」



 俺も、同じ短剣の片割れを取り出しながら、ルインの言葉を聞いた。



「“死すらも共有する”、呪いの短剣……か。そうだな…………せっかくだし、使うか!」


「はい!」




「―――おやおや? 俺ってばもしかして舐められちゃってますう!? ムカつきますねぇムカつきますねぇッ! とっとと死んでくださいよッ!?」



「そう簡単には死なないさ。やっと、相棒と出会うことが出来たんだからな」


「はい! 主様との絆は今ここに、完全復活しました! 覚悟してください死神王ダナー! 今ここで死ぬのは、貴方の方ですっ!」




 さあ、やろうかルイン。


 ここからが俺たちの仕切り直しだ!

ブクマや高評価など、簡単に出来るので是非押して行ってください!

励みになります!


新編集版も絶賛更新中ですので、気になる方は是非そちらも!

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