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case.23 《七つの大罪》

よよよよよ!



《魔王視点》



「着いたな」


「ああ」



 そんな簡単な言葉を、俺とヤマトは交わした。


 たった今、言葉通り、ヤマトの住むログハウスに到着したところだ。



「それで、今後の方針についてだが」


「―――まあまあ待つが良い魔王よ」



 俺の言葉を遮って、ディラが割り込んでくる。


 ディラは俺の言葉が止まるのを確認すると、「うむ」と頷き、そして「クハハハ」と笑いながらこう言った。



「流石の我も、連戦は正直厳しい節がある。だから少しだけ休息が欲しいのだ」


「あー……まあ、そうだな」


「全員が全員、疲れてないのは分かるが……準備は万全の状態の方がいいだろう? 何せ相手は、神アダムの一番の理解者にして最強の近衛兵である神ハーデスなのだから」


「……そう、だな。分かった。分かっている―――この場は一旦解散として、各自休憩を取ることにしよう。また、日が暮れる頃にはヤマトのログハウスに集まって、そこで今後の方針について決めたいと思う。それでみんな、大丈夫か?」



 そんな俺の問いに、みんな無言のまま頷いてくれた。



「とは言ってもねぇ……」


「どうした? ミカエラ」


「いえ、別にすること無いなぁって思ってね」


「う……確かにな」



 ミカエラの言う通り、休むだけで大してする事もない。


 有事の際に眠りこけている訳にもいかないから、寝ることも出来ないだろうし……。



「クハハ! 落ち着きがない奴らだな! 貴様らは」


「ディラ……そんな事言ったってなぁ……」


「では、我から今回の敵であるハーデスについての情報を全て話すとしようか」


「ハーデスの……?」


「ああ。我が知っでいるハーデスの事を全て話そう。と言っても、この間大体説明したかと思うが……まあその対策でも練るとしようじゃないか」


「……うん、それなら時間も潰せるし、休みも取れそうだな」



 する事が特に無い現状、この提案が最も有効的な時間の使い方と言えるだろう。



「うむ、という事はまた会議するという事だな?」


「ああ、ヤマト。またあのログハウスで作戦会議だ。構わないか?」


「問題無いぞ」


「よし。それじゃあ善は急げ、だ。早速向かおうぜ」





《勇者視点》



「それにしてもここ……えらい長い階段だなァおい」


「ですね……下るだけなのに、すごい疲れました……」



 サタールさんの言葉に俺は同意するも、疲れてきたのも事実だからすぐに次の言葉が出てこなかった。



「というか、なんかやけに静かじゃない? お姉ちゃん怖くなってきたわよ?」


「確かに……さっきまであの変な機械人間がたくさん歩いてたのに、気づいたら居なくなってるわね」


「辺りから気配そのものが消えてますね……。まるで、何者かに意図的に消されてるように……」


「一応、警戒だけは怠らないようにするぞ? あの魔王様をとっ捕まえるまでに俺っちたちがくたばっちまうのは一番ナンセンスだからな」


「ハハ、ですね」



 アスモフィさんを始めとした女性陣が不穏な気配を言葉にしていたので、それを警戒するようサタールさんが注意喚起した。


 それに対して俺は笑いながら答えるか、やっぱり疲れてきたせいで上手く喋れない。



「でも、ゴールが見えない階段ってのもおかしい気がしますけどね」


「そうっすねぇ……もう10分くらいは歩いてると思いますけど、全く地上に着く気配が無いですもんねぇ」



 と弟子組のクサナギさんとスレイドさんが会話していた。


 そんな会話を聞きながら、俺は消えた月夜や治療中のラグマリアたちのことを考えていた。



「おい勇者サマよォ。何しけた面してるんだ。男ならもっとシャキッしろよな!」


「……って……サタンさん!」



 いつの間にか隣に居たのか、サタンさんがバンバンと俺の背中を叩きながら、豪快に笑っていた。



「ずっと俺ァ空気を演じてたからよォ。それに、ベルゼブブもアスモデウスも居ないから、話し相手が居なくてなァ」


「ハハ、それなら俺が話し相手になりましょうか?」


「おっ、いいのか? なら少しだけ話そうじゃないかッ!」



 喜々とした様子でサタンさんは俺の背中を再びバシバシと叩いてくる。



「ちょ、分かったから止めてくださいよ!」


「おう、悪い悪い!」


「それで、何か話したいことってあったりしますか?」



 あんまりサタンさんとはコミュニケーションをとったことがないから、どういう話をすればいいのか分からなくて、俺は一瞬で話題を作ってもらうべく投げてしまった。


 もともと俺はコミュ力が低い人間だったから、こういう時どうすればいいのかが分からないのだ。



 やっぱり、相手は慣れた相手じゃないと会話は厳しいものだよな?



「俺から話したいのはたった一つだけだ」


「一つ……?」


「ああ。《七つの大罪》を集めること……その悲願を達成する事についてだ」



 《七つの大罪》……を集めること……か。


 あれ……そういえば俺、どうやって《七つの大罪》である3人のメンバーが兄貴の配下に加わったのか、知らないな?


 最初から居るのが当たり前、みたいになっていたけど……そこん所、どうなんだろうか。



「サタンさん、俺からも一つそれ関連で聞いてもいいですか?」


「ああ、いいぜ」


「それじゃあ……。貴方達《七つの大罪》はどうやって兄貴……魔王の元へ集まったんですか?」


「ああ、そのことか。そんじゃあまあ、そこん所軽く説明するとするか―――」



 そう言うとサタンさんは軽く伸びをしながら説明し始めた。



「まず、俺たち《七つの大罪》はとある事情で《大罪の間》と呼ばれる虚無空間に閉じ込められていたんだ」


「虚無空間、《大罪の間》……」


「とある人物……と言っても湖の前の襲撃で分かったことだが、俺と同じく《七つの大罪》である【傲慢】の堕天使ルシファーの手によって、7人・・の悪魔がその《大罪の間》に閉じ込められたんだ」



 7人の悪魔が大罪の間に閉じ込められた……あの、ルシファーの手によって。


 なるほどな。まだ分かるぞ。



「そうしてかなりの時をそんな虚無空間で過ごす事になった俺たち《七つの大罪》だが……そこに現れたんだよ、アイツが」


「アイツ…………? この流れだと……まさか魔王アニキが……?」


「ああ。ご明察、その通りだ」



 兄貴が……《大罪の間》に……?


 どうやって、そこまで辿り着いたんだ……?



「どうやって《大罪の間》に辿り着けたのか不思議だって顔してるから、早速答えを教えてやろう」



 俺の心の内を見事当てたサタンさんは、握り拳を心臓の辺りに当てながら、続けて言った。



「魔王は、“死んだんだ”よ」


「は……?」



 兄貴が死んで、《大罪の間》に行った……?


 でも、兄貴は生きてて……《七つの大罪》の方たちもこうして居るし…………?



 あれ、よく分からなくなってきたぞ。



「言葉が足りなかったな。もっと詳しく説明しようか」


「お、お願いします」


「今わかってる段階の説明になるが、あの魔王はまず前提として、『転生リスタート』というスキルも持っているらしい。本人曰く呪いの力、らしいが、その効果だけ切り取って見たらかなり最強のスキルだ。その効果内容は単純明快。―――死んだら蘇る。記憶とかを引き継いだままな」



 ……? リスタート……。


 死ねない……呪い……ってことか?



「そしてその前提を踏まえた状態で続けるぞ」


「はい」


「あの魔王は、《魔帝八皇》と呼ばれるこの世界の、我ら《七つの大罪》の子孫達にそれぞれ殺される事で、対応する罪の《七つの大罪》と出会う事が出来るようなのだ」



 ……そうか。なるほど、分かってきたぞ……?



 つまり、《魔帝八皇》に殺されることで『転生』の力が発動して死ぬことは無く、その上《七つの大罪》に出会うことができる。


 そこで会うことが出来る《七つの大罪》は、自分を殺した《魔帝八皇》の持つ罪と対応した《七つの大罪》のメンバー……ってことだな?



「理解できたか?」


「はい。大体、分かりました」


「それでは最初に話を戻すのだが、俺は《七つの大罪》を全員集めたいのだ」



 ……なるほど……?


 何となく分かってきた気がするぞ……?



「だから俺は……」


「兄貴にあと4回は死んでもらいたいんですね?」


「フッ、その通りだ。残る罪は、【怠惰】【嫉妬】【強欲】【傲慢】だ。そして、その内の3つはもうカードが揃っているんだろう? なら俺は―――」



 ……?


 何かサタンさんの雰囲気がちょっと変わったような―――





「―――やっぱり魔王にはあと4回は死んでもらわないとなァ……?」

ブクマ、と、高評価、お願いします

ノベプラ版やなろう新編集版も始動してますから、そっちも併せてお願いします!

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