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case.22 それぞれの動き

死の香り。



《魔王視点》





「結局……大多数の竜人族トールが魔王国への移住に賛成しちまったな……」


「ま、いいんじゃない? 結局最終的には同じような結果になっていたんだろうし。早いか遅いかの違いだよ」


「ルヴェルフェお前……ハァ……」



 沈んだ声でそう呟いた俺に対して、お気楽な返事をするルヴェルフェに、俺は少し呆れる。



 まあ、事実ルヴェルフェの言う通りなのだから、反論のしようが無いのだ。



「我が主よ。後はガネリアが上手くやってくれるだろうと思いますから……我らは我らの目的を成し遂げましょう」


「……あぁ、そうだよな。分かっているさ」



 森の中を歩きながら、ベルゼリオがそう言った。



 ちなみに現在は、予定通りガネリアに移住する国民達の事を託して、俺たちは再びドライガルへと戻ってきていた。


 そして一度再支度をする為に、森の先にあるヤマトの住処へと向かっていたのだ。



「それにしても、こんな所に隠れ里があったとは……」


「ええ、俺も驚いてるよ。イクサ」


「お前たち……本当についてきて良かったのか?」



 木々の隙間を歩きながら、俺は後ろでそう呟いたイクサとアマクサに問う。


 何故かこの二人は、俺達が再び去るという事を知った途端、「我らも共にしよう」などと言ってきて、こうして現在進行形でついてきているのだ。



「ええ。その方が面白そうだったのでね」


「俺たちが嫌なら、今すぐに殺しても構わないのですよ?」



 ……あぁ。そういうタイプの奴ね?



「―――分かった分かった。別に文句なんてないさ。むしろ助かるくらいだからな」


「それなら良かったです」 



 クソ……。嫌いじゃないが、結構小生意気な奴だな、アマクサ。


 まあ、戦力は多い方が良い。

 多くて困ることは全くありえないからな。



「ほれ、そんな事話している内に……」



 ヤマトがさらに俺の前を歩きながら、木々の隙間からさす光を指差してそう言った。



 どうやら……そろそろ到着するようだな。




 一歩ずつ、着実にハーデスとの戦闘が近づいていっている。


 まずは……戦闘準備からだ。



「時間は有限……少ない時間でどれだけ仕上げられるか、だな―――」



 そんな俺の言葉と共に、俺たちは光の中へと入っていった。






《勇者視点》





「……何だ、ここ」



 魔法陣を潜り抜けた先に広がっていた光景に、俺はついそんな呟きを漏らしてしまう。



 抜け出た先は、眼下を一気に展望出来るかなりの高度の高台。


 左を見ると、長い長い大階段が設置してあって、恐らくあそこを下っていくのが正解なのだろう。

 というか、それしか無いか。



 そして、そんな高台から展望できた場所は、とてつもなく広く、かつ超現代的な一つの国だった。


 高層ビル、城……現代的な建造物と、ファンタジー的な建造物が入り混じったこの場所には、多分住人だと思うのだが、ペッ○ーくんみたいな人型ロボットがたくさん歩いていた。




 そしてさらに気になったのは。



「うん……? なんだァ、こりゃ」


「ええ、不思議な場所ね」


「はい。最初から違和感だらけです」



 みんな各々、この不思議な場所の光景に驚いている中、スレイドさんが言った。



「……おいおい、なんだこりゃ」


「どうかしたんですか?」


「いや、これを見てくれよ。ほら―――」



 そう言ってスレイドさんは、しゃがんで目の前の草を触ろうとした。


 しかしそれは、ジジッという音を立てながらすり抜けていってしまったのだ。



「えっ……?」


「いや、こっちの草は触れるんだが……どうもこっちの、変な模様が浮かび上がっている草は触れないみたいで……」



 変な、模様……?



 何だろう……あれは、モザイク……なのか?



 いや……モザイクが発生する訳が無いか。それなら……



「―――何なんだ?」



 ごめん分からなかった。



「ああ、というか……こっちも気になりますけど、それよりも……ですよ」


「あら、どうしたの?」



 俺の言葉に、レヴィーナさんがそう返す。


 それに俺は頷きながら、階段のさらに左を指差して言った。



「この森ですよ。何か、違和感がありませんか?」



 そう。その場所には、このやけに発展した場所からは想像も出来ないほど生い茂った木々があって、それが森を形成していたのだ。


 ルインさんのさっきの言葉通り、とにかく全てに対して違和感しか感じない。



「まあ、違和感って言われれば確かになァ」


「それも気になりますけど…………どうしましょうか、今後の方針は」



 すると話の流れを変えようと、ルインさんがそう提案してきた。


 こんな違和感談議をしている場合では無かったな。



「それなら、ひとまずこの国だか町だか分からないですけど、この階段を降りて居住区へ行ってみませんか?」



 俺は、すぐにそんな提案をした。


 こんな所で立ち止まっている場合じゃないしな。



 時間は、有限だ。


 時間のある内に、やれるべき事をやっておかないと。



「そうですね……情報収集をするという点においても、それが一番良い……というかそれしか無いかと思います」


「それじゃあ決まりね。みんな! お姉ちゃんについてくるのよ!!」



 ごーごー!とテンション高めに階段を下り始めたアスモフィさんに、苦笑いしながらもみんな付いていくことにしたのだった。




《冥王神視点》




『何なのだあのゴミ虫共はッ!!!』



 腹立たしい。


 アダム様に献上するべく発展させたこの場所に……神聖なるこの正義の国にッ!!



『どうして足を踏み入れているのだッ!!!』



 巫山戯た害虫共だ。


 全部で17匹も居るとは。



 我は、我の正義の為に動く。


 アダム様が訪れる予定のこの地で、我の居るこの地に土足でズケズケと荒らしまわっているあの害虫共には、我が制裁を与えてやろう。



『虚け者め―――我が力を思い知るといい』



 さあ、開花のときだ。


 我が育てた種を、今ここで開花させてみせよう。



 貴様らが階段を下りきった時、その時が貴様ら害虫の死の始まりの合図だ。



『全て、駆除してやる。貴様ら全員、アダム様に献上してやるッ!!!!』

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