case.19 目的地は
後書きに重要なお知らせ有ります!
「魔王が見つかったってェ?」
「はい! 《護王国シュデン》にて、主様の姿を確認しました!!」
会議室へと勢いよくやって来たルインさんが、そう叫ぶ。
その声色は喜々としていて、今のこの会議室の不穏な空気を少しだけ取り払ってくれていた。
がすぐにルインさんもこの部屋の異常な雰囲気の重さに気圧され、神妙な面持ちに早変わりした。
「何か……あったんですか?」
そんなルインさんの問いには、レヴィーナさんが答えた。
「……うん。何かあった、と言うか……あり過ぎた、と言うか」
「……?」
「詳しい話は後でするから、今一番重用な事だけ貴女達にも伝えておくわね」
そう言って、レヴィーナさんは《中央商帝国アルマス》にある“呪占迷宮”から、俺の妹である“皇月夜”が忽然と姿を消してしまっていた事を告げた。
「……完全に私のミスよ。把握出来ていなかった、私のミス」
「なるほど……そちらでも色々と起きていたのですね……」
状況と心境を察したのか、少しルインさんも放つ空気を変えていた。
しかしそんな中で、アスモフィさんはテンション変わらず、面白い作戦を提案して来たのだ。
「それなら! 今から私がこの軍の指揮を執るわ!」
「アァ? 何言ってんだアスモフィよォ」
「しゃらっぷ、よ! サタール、いい? お姉ちゃんはいい作戦を思いついたの!」
「ンだァ? 面白ェ、その作戦とやらを言ってみなァ」
「任せなさい!」
そう言って豊かな胸をポンポンと叩いた後、会議室に集まっていた自分以外の10人の顔を見て、その「作戦」とやらを話し始めた。
「えっと、よく分からないけど。つまるところ、今の状況を整理すると……こうなるわよね?
一つ、《アルマス》で月夜ちゃんが消えた。
二つ、《シュデン》で魔王様が見つかった。
三つ、どっちも探したいけど、城も守らないといけない。
こう……よね?」
「うん。それで大丈夫よ」
「ありがとう、レヴィーナ」
ニコリと微笑んで礼を言うアスモフィさん。
さらに彼女は言葉を続けた。
「まあ、察しの良い人なら私が何を言いたいのかもう分かったかもしれないけど……ずばり、作戦はこうよ!
―――三手に分かれて、それぞれの目標を達成する……よ!」
あー……こりゃまたシンプルな。
「なるほどなァ。シンプルイズベスト、ってか」
「そうよ、サタール。いい? 私は今すぐにでも愛しの魔王様の元へ行きたいの! だから、悩んでいる時間なんて無いのよ!」
「ヘイヘイ、そうかいそうかい。そんじゃあまあ、支度でも始めますかねェ……」
「そうしなさい! 急ぐのよ!」
アスモフィさんに急かされたサタールさんは、隣にいたクサナギさんを引っ張って会議室を出ていってしまった。
「あと今、私は三手に分かれて作戦を同時進行するって言ったけど、《アルマス》に向かうなら、こっち側からだと途中に《シュデン》に寄ることになる筈だから、ついでに一緒に行きましょう?」
「ですね。私もちょうど同じことを言おうとしてました」
うんうんと頷きながら、ルインさんとアスモフィさんはそう提案してきた。
「私は……別に構わないけれど、白夜はどうなの?」
「俺……は―――」
出来る事なら月夜の方を優先したい……が、途中に兄貴にまた会えるなら……。
そして、もし月夜とすれ違ったら……なんて考えたりすると、必ずしも月夜の方を優先するメリットも多くない。
例えば、今、月夜がかなりの強大な敵に捕らえられているのだとすれば、兄貴達と合流してからの方が戦力は上がって助かるだろうし、逆に普通に一人で歩いてて、急いで《アルマス》に向かっている途中で月夜とすれ違ってしまったら、それこそ取り越し苦労と言うことになってしまう。
月夜の事はもちろん心配だが、冷静に考えるならば―――
「―――答えは一つ、か」
「どうするの?」
「……俺は、兄貴を先に探すのに賛成です。早いとこ兄貴を捕まえちゃいましょう」
「よし……決まりね! ―――さ、皆早く準備して! 《シュデン》に行くわよ!」
そう言われて、ほとんどの人は会議室を出ていって、出発の準備をし始めていた。
しかしそんな中、ベルゼブブさんとラグエルさんは動かなかった。
「私たちは、その三つ目の仕事をやろうと思うわ」
「前回もそうだったしな。我らなら、安心出来るだろう?」
三つ目の仕事……というと、城の警備か。
確かに、前もそうだったな。
「分かりました。それじゃあお二人には、それをお願い致します!」
「ウム。任せておけ」
アスモフィさんは礼儀正しくお願いをし、それにベルゼブブさんが答える。
「それじゃあ私達もすぐに準備をして集合しましょう?」
「はい。私も少しだけ身支度を整えてきますね」
「じゃあ10分後に城前集合ってことで、大丈夫ですかね?」
俺はそう提案する。
「うん、いいんじゃないかしら?」
「はい。問題ありません」
「私もよ」
「それじゃあ、また後で」
そうして俺達は一瞬だけ解散する事になった。
特に準備する事は無いが、まあ、気持ちの整理をするには充分な時間だろう。
さて……それじゃあ俺もぼちぼち城前に向かいながら考え事をするとしようかな―――
■
「全員集まったかしら?」
10分後、城前に集まった俺達。
ルインさん、アスモフィさん、サタールさん、マノンさん、レヴィーナさん、クサナギさん、スレイドさん、サタンさん……そして俺という面子だ。
ラグエルさんとベルゼブブさんはさっき言ってた通り、城の警備を担当するという事で城に残るらしい。
そして、アスモデウスさんは天使二人の治療を終えたようだが、大事を取って戦闘には参加しないらしい。
という事で、今ここには俺含めて9人が居る。
これだけ居れば、ある程度強い敵や、数の多い敵なら何とか対処出来ると思う……のだが。
「準備は出来ているわよね?」
「皆さん、大丈夫そうですね」
アスモフィさんの問いに、ルインさんが皆の様子を見てそう答えた。
実際、全員準備万端と言った様子だった。
「それじゃ、行きましょうか。目指すは《護王国シュデン》! 目的はただ一つ、我らが主……魔王ルミナス様を見つけ出してとっ捕まえる事よ!!」
「そうだなァ、ついで……というか魔王を捕まえたら一緒に引っ付いてくるだろうが、ベルゼリオの野郎とルヴェルフェの奴にも色々と話を聞きてェ所だなァ」
「そうね。それに、あの二人がここに来たら……ついに《魔帝八皇》が揃うことになるのよね」
「んァ? ……そうか、ルシファルナ以外はこれで揃う事になるんだな!!」
と、《魔帝八皇》の皆さんがそう話していた。
確かに、ルシファルナ以外はもうこれで揃う事になるのか。
……こういうのが揃うと、ちょっとだけ胸が踊るのは、少年心を忘れられてないせいだろうか。
コンプリートする事に興奮を覚えるタイプの少年だった俺は、少しだけやる気が湧いてきていた。
「それじゃあ、そろそろ行きましょうか」
「はい」
ルインさんの言葉に、俺は返した。
「それではシュデン前までの《転移門》を開きます。皆さん、転移の準備をして下さい―――」
そうして目の前には一つのゲートが開かれた。
ここをくぐれば、いよいよシュデンだ。
また、兄貴と会えるかもしれない―――
いや……会える。
そんな期待と喜びが俺の中で渦巻いて、やる気へと変換されていくのだった。
という訳で!
本日の22時より、【新編集版】転生魔王―――
改め、
《転生魔王の世界支配〜呪いのスキル『転生』の力で何度でも生き返る魔王は世界を支配する〜》
とタイトルを変えまして、投稿を開始しようと思います!
内容に大きな変化はないですが、加筆修正・誤字脱字修正を加えて、さらに読みやすく改稿した物となっておりますので、是非チェックをお願いします!
新規の方や、もう一度読み直したい!という方には特にオススメできると思います!
投稿時間は、
第一話→22時
第二話→0時
と致します!
また、これまで通り最新話は毎日(日曜以外)こちらの方で更新していきますので、忘れずにチェックの程、よろしくお願い致します!
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